しかし、こんな騒動が起きたため、当然不眠症の治療もストップしてしまっていた。星は尋ねた。「明日、予定はないわよね?」仁志は答えた。「ああ、ないよ」「それじゃあ、担当の先生を予約しておくから、明日治療を受けましょう。それでいいかしら?」仁志は頷いた。「僕は構わないよ」……仁志がシャワーを浴びて間もなく、部屋のドアがノックされた。仁志がドアを開けると、雅人が心蘭を連れて入り口に立っていた。雅人は言った。「仁志さん、心蘭を連れてきました」心蘭は顔を上げて仁志をちらりと見たが、すぐにすっかり顔面を蒼白にさせてうつむき、彼の目を直視することすらできなかった。彼女も低い声で、恭しく言った。「仁志さん……」仁志は二人を部屋に入れると、心蘭に尋ねた。「星野さんは信じたか?」心蘭は答えた。「はい、信じてくれました」仁志は雅人を見た。「残りの痕跡は、すべて綺麗に消したな?」雅人は報告した。「すべて処理しました。あの鈴木航平でさえ、一切の糸口を見つけることはできません」彩香がレストランで偶然心蘭を見かけるなど、もちろんあり得ないことだった。すべては仁志が仕組んだ罠に過ぎない。彼はわざと彩香が異変に気づくよう仕向けたのだ。仁志は言った。「心蘭、鈴木の方には、どう報告すればいいか分かっているね?」心蘭は低い声で答えた。「はい……星野様が自ら異変に気づき、私に辿り着いた。仕方なく私は白状したが、鈴木さんのことは一言も漏らしていない、と」心蘭の姑息な小細工など、当然仁志の目を誤魔化せるはずもなかった。心蘭が自分を陥れようとしていることに気づいた後も、仁志はそれを暴くことも、弁明することもしなかった。彼はわざと、星が自分に濡れ衣を着せるよう仕向けたのだ。短期間で他人の信頼を得るのは非常に難しい。彼にはまだやらなければならないことがたくさんあり、星が徐々に自分を信じるようになるまで待っている時間などなかった。そのため、航平が自分を陥れようとしていると知ると、いっそのことその計略を逆手に取ったのだ。星が一度彼を誤解してしまえば、罪悪感からであれ埋め合わせからであれ、二度と彼を簡単に疑うことはなくなるからだ。心蘭については……航平に脅されて動く人間なら、当然彼に買収されることもあり得る。要は、
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