その女性はそこそこ整った顔立ちをしていたが、口数が少なく、あまり感情を表に出さないタイプに見えた。仁志の視線に気づき、星が紹介した。「彼女は私のボディガードの坂本心蘭(さかもと みらん)よ。これから私の護衛を担当してくれることになったの」心蘭の他にも、星には吉田結月(よしだ ゆづき)というもう一人のボディガードがいた。二人は一日交代で、万全の態勢で星の安全を守ることになっていた。星の紹介を聞いても、仁志はただ軽く頷くだけで、心蘭とそれ以上言葉を交わす気はないようだった。仁志にとって、星のそばに留まるのは不眠症の治療を試すためでしかない。他の人間に関わるつもりなど毛頭なかったのだ。彩香が仁志の退院手続きを済ませると、心蘭は黙々と仁志の荷物を持ち、彼らの後ろに続いた。「星、奇遇だね」その時、不意に低く穏やかな声が響いた。声の方を見ると、航平がゆっくりとエレベーターから降りてくるところだった。彼を見て、星は少し驚いた。「航平、どうしてここに?」航平は穏やかに説明した。「今日は手の怪我の再検査に来たんだ。溝口さんもここに入院しているのを思い出して、ついでに様子を見ようと思ってね。まさか、ここで君たちに会えるとは思わなかったよ」この数日間、航平は星の前に姿を見せていなかった。頻繁に星の前に顔を出せば、その下心が誰の目にも火を見るより明らかになってしまう。航平がそんな初歩的なミスを犯すはずがなかった。星の視線が航平の手首に落ちた。そこには、まだ分厚い包帯が巻かれていた。「航平、手首はまだ良くなっていないの?」航平は事もなげに答えた。「ああ。大丈夫、もう良くなったよ」星は眉をひそめた。「もう良くなったのなら、どうしてまだ包帯を巻いているの?」航平は何事もないかのように、怪我をした手をスッと後ろへ隠した。「水に濡れて化膿するのが心配なだけさ。星、心配いらないよ。本当に大したことないから」当然、星はそんな言葉で簡単に誤魔化されるような性格ではなかった。彼女は、航平の表情に一瞬浮かんだ不自然な翳りを見逃さなかった。「航平、手首の傷、本当はひどいんじゃないの?」正直なところ、あの日星は航平に感謝し、怪我の具合を気遣いはしたものの、そこまで深刻には受け止めていなかった。彼
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