「ママー、誰とお話しているの?けーくんやあおちゃんも知っている人?」インターホンの向こうから聞こえてきたのは幼い子どもの無邪気な声だった。その声に、俺は思わず息をのんだ。「しっ。ふたりはお部屋に戻っていてくれるかな」華は焦ったように子どもたちをたしなめている。華が子どもたちを抱きかかえ、困った顔をしている様子が目に浮かぶ。「なんでみーみのようにお部屋に入れないで、ここでお話しているの?」「けーくんとあおちゃんもお話したい!!」二人の子どもたちにせがまれている華の様子は、俺が想像していた「監禁された悲劇のヒロイン」とはかけ離れていた。「はじめまして。一条 瑛斗です」俺が子どもたちに語りかけるようにインターホンに向かってそう言った瞬間、子どもたちは無邪気な声を上げた。「わー、お話してくれた!」「ねー、ママ!あおちゃんちに話しかけてくれたよ!」「ちょっと、瑛斗!!何を……」
最終更新日 : 2025-08-14 続きを読む