「……分かった。空、お願いできるか。玲の身辺、玲が関わった案件や人について徹底的に調べてほしい。あと、その資料を全て置いて行ってくれ。詳しく確認する」 「わかった」 部屋を出ようとする空を、俺は引き留めた。そして、まっすぐ彼の目を見つめて言った。 「あと、空……。俺は、お前を信じているからな」 空は不思議そうな顔をした後、黙って深く頷いた。彼の表情には、俺の言葉に対する戸惑いと、それ以上に強い信頼の感情が読み取れた。 その夜、俺は空が持ってきた資料と社内に保管されている原本と見比べ、整合性を確認した。持ってきた資料に相違はなく空が言っていることも事実だった。 (空のことを疑うわけではないが、信頼しているからと言って何でも鵜呑みにしてしまうのはよくない。俺は、俺の目で見たもので判断しなくては……) 翌日、空からメールが転送されてきた。彼が担当部門に問い合わせた際のやり取りだ。そのメールを読むと、当時この案件に関わっていた責任者は既に退職しており、詳細は不明とのことだった。しかし、社内規定を確認するとチ
最終更新日 : 2025-08-24 続きを読む