All Chapters of 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー: Chapter 391 - Chapter 394

394 Chapters

392.もう一通の手紙

華side「華さん、あの、今大丈夫ですか?」電話越しに聞こえてくる北條先生の声には、いつになく焦りの色が滲んでいる。いつもは先生の周囲だけ時間がゆっくりと流れているのではないかと思うほど穏やかな、あの先生の動揺。それに反応するように私の心臓も激しく波打ち始めた。「あ、はい……。どうされましたか?」努めて冷静を装ったが、ついさっき届いたあの写真の衝撃で私の声は微かに震えていた。北條先生に悟られないようスマホを握る手に力を込め、心の中で何度も「大丈夫、落ち着くのよ」と何度も自分に言い聞かせている。「実は、僕のところにも宛名だけの封書が届きまして……。不審に思いながら中を開けると、華さんとの写真が入っていたんです。それで、華さんのことが気になりまして」 宛名のみの封書……。自分の手元にあるものと同じものが届いたのかもしれないことに、先程以上に心臓が早く動き、警告音のように大きく音を鳴らしている。「写真……? どんな写真だったのですか?」 「それが、先日の茶会の時のものでして。僕と華さんしか映っていないのです。差出人も不明でなんだか気味が悪くて。華さんのところには届いていませんでしたか?」
last updateLast Updated : 2026-01-05
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393.先生の告白

華side「なるほど……。昨日、私と華さんの元へ届いた写真も、先月届いた手紙も、やはり同一人物の仕業のようですね。封筒のサイズも字の書体も一緒だ。犯人は敢えて自分の存在を示すために前回と同じ形式を使用したのかもしれません。……ですが、一体誰が。華さん、何か心当たりはありますか?」レッスンと片付けをすべて終えた後、私たちは茶道具を整える控室のソファに腰を下ろし、持ってきた手紙と写真を広げていた。静まり返った室内には、時折建物の前を通過する車の走行音だけが響いている。「はい……私も同一犯だと思います。でも、誰がやったのかは全く検討もつかなくて。茶会だって大々的に宣伝していたわけではありませんし、どうして訪問客がすべて帰ったあのタイミングでシャッターを切れたのか……不思議で仕方ないんです」私の言葉に、北條先生は考え込むように視線を落とした。そして、不意に私の顔を覗き込むと、その瞳を真っ直ぐに見つめて私の耳にかかった一房の髪をそっと指先で掬い上げた。 茶碗を洗ったばかりの先生の指先は少し冷たく、頬と耳に触れた瞬間、身体がピクンと跳ねた。先生の透き通った白い肌と、少し薄い唇が目の前に迫っている。あまりの至近距離に頭の中が真っ白になりそうな衝撃を受けた。「え、せ、先生……?」少し上擦った声で問いかけると、先生はふっと顔を離し何
last updateLast Updated : 2026-01-06
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394.先生の告白②

華side「先生、今の……」窓の外に走った一瞬の光に私は身体を強張らせた。しかし、先生は動じることなく、むしろ抱きしめる力を強めて私を離そうとはしなかった。「大丈夫です。今は私だけに集中してください。華さんを困らせるようなことはしませんから」先生の胸の中で戸惑い、小さく問いかけた。「それは……一体どういうことでしょうか?」「華さんのことは、紹介されて写真を拝見した時から、なんて素敵な方なのだろうと思っていました。実際にお会いして話をしてみると、気品に溢れ、まさに名前の通り『華』のある女性だと思った。そのうち、外見だけでなく教室で生徒さんと関わる姿や、パーティーで得意先と話す時の細やかな気遣いを見てますます惹かれていったんです。……以前、縁談を断るために婚約者のふりをして欲しいとお願いしたのも、半分は本当ですが、もう半分はあなたに下の名前で呼ばれてみたかったという私の我儘なんです」「そう、だったんですか……」先生から感じる熱っぽい視線やお世辞以上に感じる甘い言葉など予感はあった。けれど、こうしてストレートに言葉として突きつけられると、脳内が麻痺したように真っ白になる。
last updateLast Updated : 2026-01-07
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