All Chapters of 離婚翌日、消えた10億円と双子妊娠を告げぬ妻ーエリート御曹司社長の後悔ー: Chapter 411 - Chapter 420

448 Chapters

411.包囲網

瑛斗sideこの日、俺は業績打ち合わせという名目で空と成田を会議室に呼び出した。しかし、その実態は今後の「対・長谷部智花」に向けた作戦会議だ。「成田……長谷部には、例のデータを渡したのか? その後、向こうから接触はあったか?」成田は緊張で強張った顔のままプライベートで使用しているタブレットを操作してメール画面を開いた。「はい。相原専務から預かった『偽の顧客名簿』を送付しました。当初は指定されたクラウドに直接アップロードするように指示されていたのですが、『セキュリティが厳しくてアップロードが弾かれる。うまくできないからメールで送らせてほしい』と言って、なんとか承諾してもらいました」「よくやった。メールでの送付に切り替えさせたのは大きいな」「ああ、このメールに受信した相手のIPアドレスや現在地を特定する特殊なプログラムを仕込もうと考えている。ただ、相手は長谷部だ。少しでも不自然な挙動があれば即座に感づかれるだろう。チャンスは一度きりだ」「分かった。それで、実行はいつにするつもりだ?」「できるだけ早い段階で仕掛けたい。成田君の話では、彼はこれまで一度も長谷部の指示に遅れたことがなかった。だから、あまり不自然に時間を稼ぐと逆に不審がられる可能性もあるからね。……成田君、もう少しだけ長谷川とのやり取りを続けてくれ」
last updateLast Updated : 2026-01-27
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412.接点

瑛斗side先日、三村ジョニーを見かけたあの不審な雑居ビルについて探偵に徹底調査を依頼していた結果が届いた。探偵から送られてきたメールの添付ファイルの一つ目を開くと、フロアリストの四階にある『グローバル・フューチャー・ファンデーション』という名称の法人に赤色で丸がつけられていた。メールの末尾には「至急、口頭で補足したい」とあり、俺が直ちに電話をすると、数回のコールの後に探偵の低い声が響いた。「もしもし、一条社長。メールをご覧いただけましたか? 凄いことが分かりましたよ。その法人ですが、表向きは『海外留学を志す学生への支援団体』を名乗っています。ですが、実態は活動実績が皆無に等しいペーパーカンパニー、いわゆるダミー団体です。そして……ここからが本題です。闇ルートで入手した数年前の内部資料を見てください」指示されるまま、二枚目の添付ファイルを開くと、スキャナで取り込んだような不鮮明な職員名簿が映し出される。その最上段に記載された名前を見た瞬間、驚きのあまりPCのモニターに顔を近づけて食い入るように二度見した。「外部顧問……三村ジョニーだって?それに事務局の運営担当責任者に『長谷部智花』の名前があるじゃないか」二人の名を目にした途端、心臓がどくんと大きく跳ねて指先に冷たい痺れが走る。三村ジョニーと長谷部智花。 接点などないはずだと思っていたが、二人は数年前に同じ団体で顔を合わせていたのだ。「この団体、学
last updateLast Updated : 2026-01-28
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414.一本の糸

瑛斗side長谷川への偽メールを送付して捕まえる作戦は、あと一歩のところで失敗に終わった。しかし、玲の横領事件とは別に、今回発覚した個人情報の不正流出とサーバー攻撃について正式に被害届を提出し、彼らが使用していたアジトには警視庁の鑑識が入って徹底的な調査が行われることとなった。成田については、長年にわたる執拗な脅迫関係があったこと、そして自ら進んで捜査に協力したことが考慮され、重罪は免れるだろうというのが刑事たちの見解だ。数日後、担当の刑事から中間報告の連絡が入った。「事務所内の指紋を採取しましたが、警察がデータベース化している既知の犯罪者や一条社長から提供のあった関係者の指紋と合致する人間はいませんでした」「金庫はどうでしたか?」「金庫も中身は空でした。逃走直前に持ち出したか、あるいは最初から何も入っていなかったか……。防犯カメラの映像も近隣を含めて精査しましたが、一階の正面入り口には一回も映っていない。日頃から死角にある裏口や非常階段のみを使用していたようです」「それは、犯人たちがカメラの位置をあらかじめ把握して行動していたということですか?」「ええ、その可能性が極めて高いですね。ちなみにビルの所有者は、九州に住んでいる資産家ですが、この物件は数年前に知人の紹介で購入したきりだそうです。一度だけ下見に来た後は管理を不動産会社に丸
last updateLast Updated : 2026-01-30
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415.長年の陰謀劇

瑛斗side玲は、海外の大学に進学する際、三村と長谷部が所属していた『グローバル・フューチャー・ファンデーション』という留学支援団体から五千万円という多額の奨学金を受け取っていた。探偵は受話器の向こうで一呼吸おいてから、さらに重要な事実をはっきりとした口調で告げた。「その奨学金ですが、名目上は貸与型となっているものの、無利子かつ現在に至るまで一円も返済された形跡がありません。それどころか、返済を催促した記録すら存在しない。三村たちは何らかの理由をつけて返済免除とし、神宮寺玲にそのまま金を『贈与』していた可能性があります。そして玲も、返済義務がないことをいいことにその資金を自分のために使っていたと考えられます」「返済義務がない……? 三村と長谷部は、最初から玲に金を渡すことで懐柔しようとしたということか?」「その可能性が高いでしょう。学生の身分でこれほどの大金を手渡されたら心が動くでしょう。どちらにせよ、あのアジトは警察の手が入った以上、もう使われることはありません。今頃、新しい拠点に移るか別の場所に合流しているはずです」「分かった、ありがとう。……それにしても、玲なら五千万円なんてすぐに返せるはずだ。そもそも借りる必要もない。素性の知れない団体から金を受け取っていたなんて、あまりに不自然だ。玲はどうやってあの団体の存在を知ったんだ? 突き止めることはできるか?」「……さすがに動機まで遡るのは困難を極めると思いますが、調べてみますか?」
last updateLast Updated : 2026-02-01
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416.幸せな未来

瑛斗side「失礼します――」あの日、都内にある料亭の個室の襖を開けて中に入った瞬間、俺の人生は大きく変わったのだった。(今時、政略結婚なんてありえないだろう。相手の家柄や財力なんて当てにしたくないし、全く興味はない。そんなものに頼らなくても、俺は俺の実力だけで一条を世界に通用する企業へ大きくしてみせるんだ)大学を卒業して社会人としてのキャリアを歩み始めたばかりの俺は、青臭い野心に溢れていた。だからこそ祖父や父が独断で決めたこの縁談には、猛烈に反発していた。乗り気ではないというレベルではない。当日まで「縁談はしたくない。取りやめてくれ」と最後の最後まで反論し続けていたのだ。「今更そんなことが出来るわけないだろう!お前は、一条家の跡取りなんだぞ!言うことが聞けないなら、今すぐ勘当だ! 二度と一条の敷居を跨ぐな!」俺の反抗的な態度に痺れを切らした父は、と半ば脅しのような剣幕で迫ってきた。家を追い出されては、野心も何もない。俺は苦虫を噛み潰したような思いでその場に顔を出した。一度会ったら適当な理由をつけて断ってやる。そう、腹に決めていたのだ。それが、神宮寺家との縁談だった。「……一条くん?」深々とお辞儀をして俺を出迎えた女性が、顔を上げて俺を見つめると、小さな声が漏れた。 そこにいたのは、社交的で快活な雰囲気を持つ妹の玲とは似ても似つかない、凛とした正統派美人の華だった。「え……神宮寺さん?」当時から自分の意見をはっきり口にする玲とは対照的に、華は控えめで一歩引いて周囲に同調するタイプに見えた。同じ姉妹でも、こうも正反対なのかと驚いたのを覚えている。奔放な玲と接することに慣れていた俺にとって、最初、物静かな華と過ごす時間はどこか物足りなささえ感じていた。しかし、俺の冷めた感情など置き去りにして縁談は驚くほどの速さで進んでいった。両家の感触はすこぶる良く、周囲の期待に押し流されるように俺と華の結婚はあっという間に調印された。俺は、自分が家を守るための「道具」として扱われることに強い不満を抱き続けていた。だが、当事者である華は文句一つ言わずにそれを受け入れていた。それどころか、彼女は俺と目が合うたびに耳まで真っ赤にして、慌てて視線を逸らすのだ。(なんでこの人は、家同士が決めた勝手な結婚に何も反論しないんだ。自分というものがないのか? それとも最初
last updateLast Updated : 2026-02-03
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417.恋のライバル

瑛斗side午後の打ち合わせが終わり、社長室に戻ってパソコンを確認すると、芦屋彩菜から一通のメールが届いていた。先日、華から預かったあの不審な手紙と中に入っていた写真をデータ化して彩菜さんに送ったが、その解析結果についてだった。『芦屋彩菜:写真の件、元奥様である神宮寺華さんに届いたものが、週刊誌に掲載された写真の元データで間違いなさそうです。専門家に解析してもらったところ、奥様と湊さんの写真は合成ではなく本物。推測通り、何枚も連写した中の一枚を選別したものだと思われます。一方で、私と一条社長の写真は、マンション前のもの以外はすべて加工が施された捏造だと判明しました』「華と北條の写真は、本物だと……?」彩菜からの報告メールに、胸の奥が鋭い刃で削られるような痛みを覚えた。心のどこかで、華たちの写真も合成であってほしいと願う自分がいたのだ。たとえ華にその気がなかったとしても、写真の中の北條湊が華を見つめる目は、単なる経営者と従業員という雰囲気ではなかった。慈しむような愛おしさが混じったようなその視線に、俺の心は穏やかではいられない。彩菜さんにお礼の電話をかけ、平静を装いながら北條湊について探りを入れることにした。「もしもし、一条です。メールありがとうございました。写真の解析、助かりました」 「いえ、とんでもない。元データと思われるものが見られるなんて、私にとっても大きな収穫ですわ。ところで神宮寺さんの自宅に届いたとのことですが、ポストに入れる怪しい人物などは映っていなかったのですか?」 
last updateLast Updated : 2026-02-04
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419.結束

瑛斗side北條湊に日時を連絡すると、彼は朗らかな声で応じてくれた。「もし良ければ、一緒に食事でもどうですか?個室の部屋にすれば話が漏れることもなく、周りの目を気にしなくてもいい」食事を共にすることまでは想定していなかったが、ここで断るのはよくないと思い、俺は彼の提案を承諾した。指定されたのは、都内ホテルの二階にある格式高い和食店だった。(彼は一体、俺をどういう目で見ているんだ? 華と俺がかつて夫婦だったことは当然知っているはずだ。もし俺の推測通り、彼が華に想いを寄せている、または既に二人が恋人同士だとしたら……元夫の俺とわざわざ二人きりで食事をするなんて、普通の神経なら避けたがるはずだよな……。華の過去すべてを受け止めた上で、彼は俺に対して余裕を見せようとしているのか?)頭の中で疑念がどす黒く渦巻く。もし彼が華のすべてを受け入れて、今日、俺の前に立っているのだとしたら、彼の人としての器量に敗北感を感じていた。(いや、弱気になるな。最終的に決めるのは華だ。それに、まだ二人が深い関係にあると決まったわけじゃない……。俺が今すべきことは、三村の尻尾を掴むための情報を引き出すことだ)店に入ると北條は既に到着しており、係の女性に案内されて引き戸が開く。「ああ、一条さん。お忙しい中、足を
last updateLast Updated : 2026-02-06
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420.三村の秘密

瑛斗side「……一条さん、顔を上げてください。今日は、私もそのことを話そうと思ってここに来たんです。私たちの目的は、華さんを守ることだ。お互い目的が同じなら協力しましょう」北條さんの言葉に、俺はすぐさま顔を上げて礼を述べた。彼が味方として加わってくれることは、今の俺にとって何よりも心強い。「このところ、華さんの元気がないんです。きっとあの手紙が原因でしょう。華さんのことだから、事態が大きくなった時のことや、神宮寺家の名誉、そして何より子どもたちのことなど、色々と独りで考えて胸を痛めているんだと思います。私は、彼女に以前のような屈託のない明るさを取り戻してほしい。ただ、それだけなんです」北條さんの表情は、慈しむような温かみに満ちていた。その眼差しに、俺は胸を突かれるような思いで見ていた。北條さんのように自分の気持ちを堂々と濁りなく伝えられたらどんなに楽だろうか。しかし、今の俺の立場ではその言葉はあまりに無責任で重すぎる。「あなたと華さんのところに届いた写真ですが、芦屋彩菜さん経由で専門機関に解析をしてもらった結果、写真は合成ではなく本物であることが判明しました。つまり、誰かがあの場所に潜み、シャッターチャンスを伺っていたことになります」「そうですか。私もあの写真には心当たりがあるので、本物だろうとは思っていました。あの日、客人が全員帰ったことはこの目で確認しています。私の招待客の中に、あんな下劣な真似をする人間はいません。もう一枚の当日だけ雇ったスタッフを送迎した時の写真も、茶会が終わって控室で食事を済ませ、数時間が
last updateLast Updated : 2026-02-07
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