華side不審な手紙を受け取ってから、もう四か月以上が経過しようとしている。あの日以来、新しい手紙が届くことはなく、彩菜さんが「写真は捏造されたものである」と記者会見を行ってからは、週刊誌の続報もメディアによる報道もぴたりと止まった。今はまるで最初から何事もなかったかのような平穏が包んでいる。けれど、私たちの日常は元に戻ったわけでも解決したわけでもなかった。犯人は依然として捕まっておらず、その正体も目的も闇に包まれたままだ。私は今も、茶道教室へ通うために、花村をはじめとする警備の者に厳重に付き添われ、周囲を警戒しながら車に乗り込む生活を続けていた。かつては休日になれば、子どもたちと三人で公園へ行ったり、デパートへ買い物に出かけたりしていたが、今はどこへ行くにも必ず神宮寺家の誰かが同行しなければ外出を許可されない。私を守ろうとする優しさは痛いほど感じているが、自由に出掛けることも出来ない生活に息苦しさが溜まっていくのを感じていた。―――玄関から子どもたちの「ただいま」という声が聞こえたかと思うと、絵を描くことが何よりも大好きな碧が、すぐにランドセルを開けて一枚のチラシを私に渡してきた。「ねえ、ママ? 今日ね、学校で動物園のチラシが配られたの。ライオンの赤ちゃんが生まれて今だけ見られるんだって。次のお休みの日に行きたいよ! お友達は、みんなで絵を描いてコンテストに応募するんだって。だから私もお写真いっぱい撮って、かっこいいライオンの絵を書きたいの!お願い、動物園連れて行って!」
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