同じ頃、私は長野の別荘で鑑定機関からの電話を待っていた。瑛斗から電話でDNA鑑定を受けることになった時、驚きと同時に安堵した。これで慶と碧が瑛斗の子どもだということが証明され誤解も解けるはずだ。結果まで時間がかかることから、出生届は一条家の瑛斗の戸籍で登録をすることになった。(これで親子関係が証明されれば、慶と碧は実の一条家の子として周囲から歓迎される。)真実が明らかになり、みなが慶と碧のことを祝福してくれることを心待ちにしていた。電話が鳴り、逸る気持ちを抑えながら出ると事務的な女性の声が聞こえる。「神宮寺華様でいらっしゃいますか。DNA鑑定の結果についてご報告いたします」「はい……」私は固唾を飲んで続きを待った。「鑑定の結果、一条瑛斗様とお子様方との間に生物学的な親子関係は認められないという判断が出ました」その言葉が耳に飛び込んできた瞬間、私の全身から血の気が引いた。立っている力も抜けて膝からガクンと音を立ててその場に座り込んだ。「うそ……」私の声は、ひどくかすれていた。(…そんな
Last Updated : 2025-07-05 Read more