華が神宮寺家を去って一週間が過ぎ、広大な本邸の一室には熱狂と高揚感に満ちた空気が渦巻いていた。私は透き通るような白ワインのグラスを片手に、向かいに座る母・櫻子と目を合わせた。シャンデリアのきらめきが二人の瞳に宿り、祝祭的なムードを一層際立たせる。テーブルには高級シャンパンの空瓶から残り香が微かに漂っていた。「玲、本当にやったのね……!」母の声は歓喜に震えていた。瞳は潤み、長年の願いが成就したかのような深い満足感に満ちている。母は後妻として神宮寺家に嫁いできた。華とは血縁関係がなく、私だけが母の実の娘だ。由緒正しき一条家の縁談が持ち上がった時、母は実の娘である私を嫁がせるように父に言ったらしい。しかし、父も祖父も当然のように長女である華に決めた。母は内心では腹正しかったが、瑛斗と華が婚姻したことを機に諦めたそうだ。でも、私は諦めきれなかった。瑛斗と一緒になるのは私であるべきだと信じて疑わなかった。私が諦めずに計画を企てていることを知り、母はその背中を強く押してくれた。私の熱意が母がかつて抱いていた野望の炎を再び燃え上がらせたのだ。私は陶然とした表情でグラスを傾け、ワインを一気に飲み干した。「ええ、お母様。見て
Last Updated : 2025-06-23 Read more