子どもたちが1歳を過ぎて、よちよちと歩き始めると、三上先生が私たちを色々な場所に連れて行ってくれるようになった。別荘の庭を抜け出し、少し離れた高原の公園や、時には、車で片道数時間の距離にある水族館や動物園などに足を延ばすこともあった。専属の運転手もいるけれど、休日にわざわざ運転をお願いするのは気が引けた。それに、三上先生といる方が私自身もリラックスできたし、助手席に座り会話をするのが楽しみで厚意に甘えることにした。 彼が運転する車の後部座席で慶と碧が楽しそうにしている姿を見るたび、胸の奥が温かくなった。「華ちゃん、この前言ってた、あのパン屋さんに寄っていこうか?美味しいって評判なんだ」「慶くん、碧ちゃん、あそこに可愛い羊がいるよ!」三上先生は、いつも私たちのことを一番に考えて行動してくれた。子どもたちの興味を引く場所に連れて行ってくれたり、私が話していた何気ない言葉を覚えていて、サプライズで立ち寄ってくれたりいつも細やかな気遣いをしてくれる。帰り道、車窓から流れる景色を眺めながら、時折バックミラー越しに子どもたちの様子を気に掛ける先生。「ねえ華ちゃん後ろ見て。慶くん、碧ちゃんぐっすり寝ているよ。」「本当。気持ちよさそうに寝て
Last Updated : 2025-07-10 Read more