月子は隼人との付き合いにも慣れてきたが、彼の発言にはいつも驚かされる。先ほどの会話では隼人の顔を見ていなかった月子だが、あまりの意外さに思わず振り返った。隼人の横顔は実に整っていて、少年の華奢な体つきとは明らかに違った鋭い喉仏から続く肩は幅広かった。月子は彼の言葉に乗らず、こう言った。「鷹司社長、私はずっと、あなたが静真のことを眼中に入れていないと思っていました……失礼ですが、実際はすごく気にしているように見えるんです」隼人は黙り込んだ。彼は月子の方をちらりと見た。そして、また前を向いた。月子は説明した。「だって、あなたはいつも私の行動を、静真と結びつけて話すじゃないですか。私が言いたいのは、静真はそんなに重要じゃないってことなんです。まさか、私が今、彼氏を作ったのも静真に見せつけるためだっていうんですか?そんなことしたら、私はまだ静真の周りをうろちょろしているようなものじゃないですか?」月子は微笑んで言った。「静真のために、そんなことをする価値はありません。私はもう前に進んでいます。いつまでも過去にとらわれてはいません。静真はもう私にとって重要じゃないんです。これで、お分かりになっていただけます?」こんなこと、月子は誰にでも言わなければならないとは思っていなかった。しかし、隼人のことを思うと、静真のことは、何度も何度も説明する必要があった。隼人はすぐに答えず、交差点を一つ過ぎるとハンドルを切り、M·Lの店の前の駐車場に車を停めた。月子は、隼人が離婚プレゼントをくれると言っていたのを覚えていた。きっとM·Lのグラスのことだろう。月子は隼人が車を降りるのを待ってから、自分も動こうとした。すると、突然彼が口を開いた。「ああ、お前はただホストと遊びたかっただけか」月子は絶句した。隼人は彼女を見ながら言った。「それなら、忍のパーティーを逃すべきじゃないな」月子は言った。「鷹司社長、私……」「行くのか?今すぐ送ってやるぞ」「……結構です」「俺のことが気になるのか?」「そういうわけでも……」隼人は再び尋ねた。「じゃあ、行きたいのか?」「行きません!」隼人は尋ねた。「好きでもないのに、どうしてホストを呼んだんだ?」月子は言った。「こういうサービスを受けたことがなかったので、試し
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