「お疲れ様です」「おー青山、お疲れー」「あ!三鈴ちゃん来た。五限まで大変だね」久しぶりに新選組同好会に顔を出すと、もう19時過ぎているのに先輩たちが勢揃いしていた。既に就活を終えて残りは卒業論文だけとなった先輩たちだが、こうして今もサークル部屋に入り浸っていることが多い。私も今年で単位が取れそうなので、このままいけば来年は先輩たちみたいに悠々自適な生活が送れるはずだ。まぁ就活と卒論というラスボスが待ち構えているけれど。「天音くん、三鈴ちゃん来たよ」来年から化粧品メーカーに就職が決まった友岡夏実先輩は、私に背を向けてイヤホンで音楽を聴いていた天音くんに声をかける。ジェスチャーに気付いた彼は首だけ動かして、私を視界に入れた。「お疲れ」「うん。天音くんも仕事お疲れ様」「三鈴ちゃんが来るまで、ここで待ってたんだよ」天音氏も立派なうちの部員だな、と豪快に笑う和田先輩は証券会社に就職するらしい。ちなみにサークル長である近藤先輩と来年結婚することが決まった。苗字に一目惚れしたことが始まりらしい。結婚式で浅葱色の羽織を着たいと言っていたが、家族に大反対されていると頭を悩ませていた。「仕事長引いて、講義が終わる数分前にしか着かなかったんだよね」「もう帰っちゃえば良かったのに。後でノートの写メ送るね」「ん。いつも助かる」まぁサークルの先輩情報は置いておいて、なんだかんだ天音くんも新選組同好会に馴染んでいた。全員アイドルやイケメンよりも歴史上の人物がタイプらしく、アイドル天音光春にそう騒ぐこともなく受け入れているのだ。天音くんも居心地が良いのか、こうしてサークル部屋で私を待っていることも少なくはない。「あっそうだ。三鈴ちゃん」思い出したように友岡先輩が私の名前を呼ぶ。「何ですか?」「この前言ってた合コン、三鈴ちゃんどうする?」「合コン?」突如出てきた合コンの話題。「ほら。もうすぐクリスマスじゃん。独り身ってやっぱり悲しいよねぇ」そう言われて「あぁ、」と思い出す。先月だっただろうか。確かに先輩とそんな類の話になった。というか先輩は毎年この時期になると決まって「独り身は悲しいよ〜寂しいよ〜」と言っているのだ。クリスマスの風物詩といっても過言ではない。しかし今年はチャンスがある、と鼻息荒くしていた先輩に何事かと問えば合コンに参加することになったらしい。それも
Last Updated : 2025-07-11 Read more