今回もまさかこの喧嘩が週刊誌に載せられるとは思っていなくて、社長からも少々お小言を言われたらしい。「天音光春の彼女推せるってウケる」と、怒られたわけではないらしいのだが。「私も、ごめん。光春くんの気持ちをはなから蔑ろにしちゃった」「謝るのは俺の方。三鈴は何も悪くない。当たり前のことを言っただけでしょ」「ううん。光春くんの仕事に口を出すのは違うと思うから」だから、もうお互い様ってことにしない?と告げる。「何回も連絡くれていたのに、全部無視してごめんね」「・・・いくら喧嘩したって、正直無視されるのは耐えた」光春くんはそう言って腰を上げたと思えば、ベッドの上に乗りあがってきて私の右隣で横になってきた。そして身体を起こしている私の腰に右腕をぐるりと前から回す。「いや、光春くん。それはちょっと」しかも腰のすぐそばに顔を寄せてすんすんと何やら匂いを嗅ぎ始める。寝ている間に絶対汗をかいているから匂いを嗅ぐのは本気でやめてほしい。慌ててベッドから落とす勢いで身体を引っぺがそうと思って、身を捩ると「でも、」と彼は口を開く。「俺が知らないところで、三鈴がしんどい思いをしているのはもっと嫌」今回は責められないけれど。と、深くため息をつく彼はよっぽど連絡がなかったことにショックだったらしい。風邪程度で、なんて思うけれど今言っちゃうと何となく怒られそうだから黙っておいた。まぁそれだけ心配してくれたという光春くんの愛の深さを確認できたと思って喜ぼう。「今度はちゃんと連絡するよ」「喧嘩中でもレスポンスは絶対」知らないの?と尋ねてくるので「何が?」と返せば、光春くんは無言のまま私をベッドに沈めた。右を向くと、目と鼻の先に光春くんの顔がある。相変わらず格好良いな、と思っている間に一発キスを決められた。「恋愛は付き合い始めが大事っていうでしょ」「・・・私たち、もうかれこれ5ヶ月くらいは経ってると思うけれど」「長い人生で考えたら5ヶ月なんてまだまだ序盤だから」そう言われた私は「まぁ確かに?」と納得する。人生100年を考えたらそりゃ5ヶ月なんてちっぽけなものだけど、そう考えたところで「あ、」と声を上げる。「キスは流石に風邪移しちゃうかも」「は?そんな、」「そんなに身体ヤワじゃないから、でしょ?」「分かってるじゃん」「当たり前だよ。だから、」もう一回、キスを希望します。そ
Last Updated : 2025-07-11 Read more