All Chapters of バケモノが愛したこの世界: Chapter 121 - Chapter 123

123 Chapters

新たに邂逅する幻想

【吾輩とした事が、失敗だったか。こんな事なら横着せず、あのままにしておけば良かったな】 レイ達の方を見て、男が独りごちる。 一行が洞窟の先で見付けたのは、見上げる程に高い天井と、巨大な門が聳える空間だった。 かなりの広さを有するその空間だが、天井付近にある謎の球体が輝き、部屋は明るさが保たれていた。 さながら小さな太陽の如きソレ以外と門以外は何も見当たらず、門とその前に佇む男が、余計に存在感を放っていた。「っ!」 しかし、その男の放つ存在感の理由は別に有ると即座に理解するレイ。 何故ならこれと似た感覚を、少し前にも味わっていたから。 それはランシュとフィオも同じらしく、2人もほぼ同じタイミングで戦闘態勢に移行する。「え!?こんな所に生存者が!?だ、大丈夫!?どこか怪我を……」 しかし、ルヴィだけはその正体を知らない。 故に男を心配し、駆け寄ろうとしたルヴィの腕を、レイは掴んで引き留めた。「レイ?」「ルヴィ……貴女は今の違和感に気付かなかった?奴の声、私達の脳内に直接響いたのよ?」 今、レイ達が居る空間はかなりの広さを誇っている。 にも関わらず、男が独り言の様に呟いた囁きは、明瞭にレイ達の耳に、否、脳内へと届いた。 そしてそれを行う存在と、つい最近相対したばかり。「え?それって気の所為じゃないの?それか何か魔法を使ったか……」 故にルヴィの問に、頭を横に振って否定するレイ。「今の話し方をしてくる奴を、私は過去に2体出会っているわ。そのどちらも『幻想神種』だった」「!?」 だからこそ剣を男に突きつけ、レイは高らかに吼えた。「貴方がここに住まう『幻想神種』、そしてこの異常気象を引
last updateLast Updated : 2026-07-17
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開戦

「ハアッ!」 刹那の内に間合いを詰め、レイが斬り込む。 雷速での移動。 全力では無いとは言え初見では、否、初見で無くとも普通の人間には反応すら出来ないであろう速度に。【は……】 レイの予想通り、男は何も出来ず立ち尽くすのみ。(でも反応された!なら油断せずここで殺すつもりで!) しかし、目線は確実にレイの剣を捉えている。 故に情報を聞き出す為、手加減をするという判断を瞬時に除外。 殺すつもりで、振り上げた剣を男の首に叩き込む。 寸分違わず、吸い込まれる様に首へと至ったその剣閃はしかし。「がっ!?」 金属の様な音を鳴らし、男の首で受け止められた。 予想もしていなかった衝撃が全身、特に手首を遅い、思わず剣を取り落としそうになるレイ。 既のところで、気力だけで剣を握り直し大きく飛び退く。「ぐっ!?何今の硬さ……」【……やいが、ふむ。だだ迅いだけで重さが足らん。その程度では吾輩に傷1つ付ける事すら出来んと知れ】 苦痛に顔を歪めるレイに、男がそんな言葉を投げ掛ける。 見れば、男の言う様に剣が当たった箇所には、かすり傷すら付いていなかった。「嘘でしょ!?あの一撃で斬れないどころか剣を弾くなんて!?」「っ!人間みたいな見た目してても、やっぱり『幻想神種』という訳ね?鉄の塊でも叩いたかの様な手応えだったわ」 レイへと駆け寄ったルヴィが叫び、自身に治癒魔法を施しながらレイが言う。 レイの言う通り、首に当たった時の感触、そして衝撃音は、完全に金属同士が衝突した時のソレだった。 しかも生半可な硬度では無い。 ただの鉄なら、今のレイには断ち切れるからだ。 しかし現実は、あまりの硬さにレイの骨が耐え切れず、ヒビが入ってしまっていて。 これでは、いくら攻撃したところでレイの剣が、何より本人がその衝撃に耐えら
last updateLast Updated : 2026-07-24
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地の支配者

 一際大きい衝撃音が3人へと届いた。 見れば、珍しくランシュは肩で息をしており、男は壁へと吹き飛ばされている。 どうやらランシュは、この時間を必死に捻出していた様だ。 その事に感謝しながらランシュへと駆け寄るレイ達だったが、そこで異変に気付く。 変化が生じているのは男の方。 どうやらランシュの攻撃を防いでいたのであろう腕に、ヒビが入っているのが見えたのだ。 まるで作り物の様なその腕に反して、本人はまるで何事も無かったかの様に立ち上がる。【ふぅ……これは中々。そして、時間稼ぎも終わった様だな?】 未だに余裕の態度を崩さない男に、全員が構え直す。 かなりのダメージを負っている筈なのだが、その様子は全く伺えない。「随分と余裕じゃない。まさか手加減していたとでも?」【当然。その証拠に吾輩からは一切、攻撃をしておらぬだろう?】 レイの言葉に頷き、ランシュを指差す男。 全員がランシュを見ると、確かに体力は減っているが、見た目はかすり傷1つ無い。 どうやら本当に、ただ攻撃を受けていただけの様であった。【全力でもって汝らをねじ伏せる。そうせよとの頼みなのでな】「頼み?一体誰の……」「見て!アイツの腕!」 男の言葉に疑問を感じたレイだったが、ルヴィの叫びで思考は中断される。 見ると、先程受けていたダメージ、腕のヒビがたちまち治ってしまっていて。 それを眺め、拳を開閉しながら男は言う。【これで仕切り直しよ。さて、汝らも準備が整うまで待ってやるぞ?】 それは特にランシュに対しての発言だろう。 無傷とはいえあのランシュが肩で息をするなど、かなりの消耗を強いられた筈だ。 3人も心配の視線を送るが、それに対し。 ランシュは深呼吸を1つ。 それだけで呼吸を整え、拳を構えた。 その顔には無表情ながら、余計なお世話と書かれている。 それに一同は笑って頷き、戦闘態勢へ移行
last updateLast Updated : 2026-07-31
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