「ぐっ……!」 全開で発動した力が、目の前の事象全ての情報を映し出す。 そのあまりにも膨大な情報量に激しい頭痛を覚え、思わず声が漏れてしまうレイ。 それはどうやらニイルも同じの様で、微かに響いた苦悶の声がレイの耳へと届いた。 まずは自身の周囲に展開している魔法、その後すぐに視界全てに広がる海水、その性質、構成、海水が海水たる情報の全てが瞬時に脳へと送られてくる。(余計な情報は切り捨てる!必要なモノだけを視て、それ以外は受け流せ!) その全てを受け止めていては、どんなに優れた人間であろうと脳がパンクし死に至る。 それを回避する為、必要な情報だけを抜き出す様意識するレイ。 例えるなら視界全体を見回しながら、1つの物を注視しないで見付けだす様なもの。 そんなある意味矛盾した荒業で、情報の海を突き進んで行く。(まぁだからって、それが出来るなら苦労しないわよね!) しかしそんな付け焼き刃が通用する筈も無く。 人間、してはいけないと意識すればする程、それを強く意識してしまうのは必然。 結果、大量の情報を処理し切れず頭痛は激しさを増し、鼻や目から血が流れて来るのを感じる。「あ……れ……?」 その余りの痛みから意識が飛び掛けた寸前、多少ではあるが確実に、脳の負担が減ったのを感じるレイ。 混濁しそうな意識に喝を入れ集中してみれば、レイが受けていた余分な情報をニイルが少し肩代わりしているのに気付いた。 レイよりも脳の処理能力が高く、何よりこの『神威賦与』の使い方を熟知している分、レイよりも負担が少ないのだろう。 今までもそうして肩代わりをしてもらっていた事は有るが、今回はその比では無いらしく歯を食いしばる音すら聞こえてくる。(私は何をやっているの!彼の力になる、その為に覚悟を決めたんじゃない!いつまでも足手まといのままで良い筈無いでしょう……)「がああああああああああ!!!」 そんなニイ
Terakhir Diperbarui : 2025-10-10 Baca selengkapnya