Semua Bab バケモノが愛したこの世界: Bab 81 - Bab 84

84 Bab

二転三転

「ぐっ……!」 全開で発動した力が、目の前の事象全ての情報を映し出す。 そのあまりにも膨大な情報量に激しい頭痛を覚え、思わず声が漏れてしまうレイ。 それはどうやらニイルも同じの様で、微かに響いた苦悶の声がレイの耳へと届いた。 まずは自身の周囲に展開している魔法、その後すぐに視界全てに広がる海水、その性質、構成、海水が海水たる情報の全てが瞬時に脳へと送られてくる。(余計な情報は切り捨てる!必要なモノだけを視て、それ以外は受け流せ!) その全てを受け止めていては、どんなに優れた人間であろうと脳がパンクし死に至る。 それを回避する為、必要な情報だけを抜き出す様意識するレイ。 例えるなら視界全体を見回しながら、1つの物を注視しないで見付けだす様なもの。 そんなある意味矛盾した荒業で、情報の海を突き進んで行く。(まぁだからって、それが出来るなら苦労しないわよね!) しかしそんな付け焼き刃が通用する筈も無く。 人間、してはいけないと意識すればする程、それを強く意識してしまうのは必然。 結果、大量の情報を処理し切れず頭痛は激しさを増し、鼻や目から血が流れて来るのを感じる。「あ……れ……?」 その余りの痛みから意識が飛び掛けた寸前、多少ではあるが確実に、脳の負担が減ったのを感じるレイ。 混濁しそうな意識に喝を入れ集中してみれば、レイが受けていた余分な情報をニイルが少し肩代わりしているのに気付いた。 レイよりも脳の処理能力が高く、何よりこの『神威賦与』の使い方を熟知している分、レイよりも負担が少ないのだろう。 今までもそうして肩代わりをしてもらっていた事は有るが、今回はその比では無いらしく歯を食いしばる音すら聞こえてくる。(私は何をやっているの!彼の力になる、その為に覚悟を決めたんじゃない!いつまでも足手まといのままで良い筈無いでしょう……)「がああああああああああ!!!」 そんなニイ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-10
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幻想を超えし『モノ』

 レイ達の目の前に現れた巨大な死骸。 その有り得ない大きさに誰もが目を疑うが、しかしその物体から放たれる強烈な腐臭が、これが現実だという事を示してくる。「この強烈な臭い……これが原因か」「確かに、この大きさなら納得ね」 流石にこの距離では『柒翼』といえど辛いものが有るのだろう。 表情を歪めながら呟くディードに同意を示すレイ。 しかし半ば上の空で同意しただけで、目の前の現実を受け入れられた訳では無い。 何せ目の前の存在が、今乗っている船とほぼ同じか下手をすればそれ以上の大きさなのだ。 レイ達が乗っている船は決して小さくは無い。 寧ろ30人以上が乗船して尚余裕が有り、この国の頭首が乗るに相応しい物だった。 それと同等の大きさの生物など、レイは見た事も無かった。 そう、現実では。「本当に、御伽噺に出て来る怪物の様な大きさね」 思わずそう呟くレイ。 それは他の乗員も同じ様で、2人を除いてほとんどの者が強烈な腐臭も忘れ、目の前の存在を呆然と眺めていた。「多種多様な生物が存在すると言っても、これ程の大きさを誇る生物は『幻想種』以外存在しないでしょう。もちろん全ての『幻想種』が大きい訳ではありませんが、これでもまだ『幻想種』の中では普通のサイズです」「これで普通か……俺の知ってる『幻想種』はこれ程デカくは無ぇが、だが存在感は確かに共通するところが有るな」 その例外であるニイルとディードがそう語る。 確かにディードの言う通り、体が大きいだけでは説明がつかない何かを、レイは感じていた。 確かに異様では有るのだが、それだけでは無いモノを感じる。(これは……そう。『神性付与保持者』に出会った時の様な……) そう思い立ち、『神威賦与』で解析を試みる
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-17
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幻想神種

 ニイルの声に反応出来た者がどれだけ居ただろうか。 レイやディード、その他数人の獣人族は反応し海に飛び込むが大半の者達、特に先程の戦いで怪我を負い治療中だった者達などが取り残されしまった。 彼らを巻き込み沈み行く船。 無事だった者達も何が起こったか理解出来ず、思考停止に陥りそうになった時、2人の叫び声が意識を現実へと引き戻す。「魚人族!沈んだヤツらの救助!残りのヤツらはそれを援護しこの場を離脱しろ!」「レイ!全力戦闘!」 ディードとニイルの叫びにいち早く反応し、全ての力を解放するレイ。 それに1拍遅れ、亜人達がそれぞれ行動を始める。 鳥人族以外の全員が海へと落ち、レイも水中行動が出来る様に魔法を展開しながら周囲を見回……「レイ!下です!」「くっ!?」 ……そうとしてニイルの警告に咄嗟に障壁を展開。 その瞬間障壁が破壊され、衝撃で水上へと弾き出される。「レイ!クソ!」 それを心配する余裕すら与えず、ニイルにも下から巨大な水刃が襲い掛かる。 その大きさはニイルの身長を優に超え、更に速度は魔鮫の比では無い程に速い。 故にその破壊力は凄まじいものがあり、レイはそれに耐えられず弾かれてしまったのだろう。 ニイルも間一髪避ける事に成功するが、更に次々と水刃が迫る。 連射速度も魔鮫とは比べるべくもない。 そんな斬撃の雨が下から襲い掛かって来ていた。「舐め、るなぁ!」 その全てを『神威賦与』にて解析、ニイルに当たる直前で全て吹き飛ばす。 そのまま水刃が迫って来た方向へ向けて、大量の氷魔法を撃ち込んだ。 更にその隙にニイルは他の者が巻き込まれない様、船から移動する。「んだこりゃ!一体何が起きてる!?」 大量に魔法を撃ち込んだお陰か。 一時的に攻撃が止み、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-24
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海の支配者

「『幻想神種』?」 聞き慣れない言葉に思わず聞き返すレイ。 それはどうやら『幻想種』を知っていたディードも同じの様で、疑問符を浮かべニイルに視線を送る。 その2人の問に応える様に、ニイルは語り出した。「以前説明した通り、『幻想種』とは神の力を得た魔獣ですが、ごく稀に『幻想種』以上の力を得た者や、神から産み出された魔獣が存在します。それらは『幻想種』とは一線を画す程の力を持っている為『幻想種』の上位存在、『幻想神種』へと成ります」『原初の海獣』へと厳しい視線を送りながら、ニイルは尚も続ける。「特に目の前のケートスは空の『龍』、地の『巨人』と並び称される程で、神に代わり海を支配する為に産み落とされた存在です」 その言葉に息を飲む2人。 ただの死骸でさえ圧倒的な存在感を放っていた『幻想種』、それの上位存在が居るという事実に驚きを隠せない。 しかし続く言葉に更に驚愕する事になる。「その力は絶大で、相性にもよるでしょうが『神性保持者』が複数人で相手取り、ようやく互角に持ち越せるレベルでしょう」「嘘!?」 ニイルの言葉に思わずケートスを見るレイ。 未だにレイは、全力の『神性保持者』達と戦った事が無い。 それにも関わらず、自分よりも格上だと分かる程の圧倒的な力を持っていた。 そんな存在相手に、複数人でようやく互角という事実に恐怖すら覚えそうになる。 しかし、ディードはその言葉に何故か納得したかの様に言う。「なるほどな。確かにアレの放つ重圧は尋常じゃねぇ。……アイツと同じでな」 最後の呟きが気にはなったレイだったが、それを意識する余裕は無い。 ディードの言う様にケートスから放たれる威圧感に、下手をすれば意識を持っていかれそうになるのを必死に堪えている為。 そして1番の理由が、どんな時も余裕の態度を崩さないニイルが、かなりの緊張感
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-31
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