「ち、ちょっと!?そのまま海に入るつもり!?」 慌てて叫ぶレイ。 視線の先、そこにはいつも通りの格好、つまり水着では無いニイルが海へと入ろうとしていた。 それに不思議そうな顔を浮かべるニイル。「別に、魔法が有ればこの格好で問題無いのでは?」 そう言うニイルに、呆れながらもレイは返す。 「その格好で海に入る事がおかしいと言っているの。魔法が有ろうと水の中に入るのだからそれなりの格好をしてもらわないと。こっちが違和感を覚えるわ」 そうしてその表情のままニイルの全身を見やり、更に続ける。 「そもそもここに来てからもいつもと同じ格好で、傍から見てるだけでも暑苦しいのよね」 そう言われ自身の格好を見下ろすニイル。 その全身はフード、更にその下は今までと変わらず黒一色の全く肌を出さない服装であった。 女性陣はあまりの暑さに、今朝から観光で買った涼しげな服装をしていたのに対し、ニイルだけは変わらずいつも通りの服装を維持していた。 いつも身に着けている手袋までそのままで、まるで肌を見せてはいけないかの様だと感じるレイ。「実はとある事情から肌を出さない様にしているのです」 そして、そのレイの予想はこの言葉でどうやら正解だったと分かる。「また隠し事?」 しかし、だからと言ってそれで納得するかと言われれば否である。 半眼でニイルを見つめるレイ。 しばしの無言の後、降参だと言わんばかりに手を挙げ、ニイルが口を開いた。 「分かりました……あまり楽しい物では無いですからね?」 そう言い残し、着替える為に立ち去るニイル。「何……?それ……?」 「だから言ったでしょう?楽しい物では無いと」 数分後、戻ってきたニイルの姿を見て言葉を失うレイ。 ニイルの服装は昨日皆で選んだ水着だったのだがその下、正確にはその肌にビッシリと模様が刻まれていたのだ。 元の肌の色が分からなくなりそうな程、様々な色の模様が隙間無く首から下の全身を覆っている。 手足の先まで及ぶそれをよく見ると、所々何処かで見た事が有る様な物も含まれていた。 その時、ニイルが口を開く。 「貴女ならこれが何か分かる筈ですよ」 その言葉にまさかと思い、少しだけ神威賦与を発動
Last Updated : 2025-08-23 Read more