Semua Bab なぜか人気俳優に飼われています〜消えるはずだった私がまさか溺愛されているなんて〜: Bab 11 - Bab 20

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人気俳優の告白/遅咲きの後輩

 それからはお互いが忙しくてあまり会う機会がなかったけれど、彼は彼なりに頑張っているという噂を聞いていた。 —————私達には普通の会社員のように朝の〇〇時に仕事が始まって◇◇時に仕事が終わる、という明確な決まりがない。 朝早く仕事が入る事もあれば、深夜近くまで仕事をする時もある。  それぞれが仕事があれば仕事をするし、ない時は演技のためにボイストレーニングや自分磨きをする。  全く別々の時間を過ごす中で、また昴生に接する事になったのは、映画での共演だった。 当時のベストセラー小説を原作とした《真夜中の太陽 明け方の月》という作品。 物語のヒロインは、幼い頃に母親に捨てられた冬美《ふゆみ》という20歳の女性。 その冬美が、自分を捨てた母親がよそで温かい家庭を築いて幸せになっているの知り、復讐を企むというのが大筋の内容だ。 初めは、自分の父親違いである弟・佳《けい》にわざと近付き、自分に惚れさせてからボロボロにして捨てるという計画だった。  しかし冬美は次第に、半分だけ血の繋がった佳に惹かれていってしまい—————。 最大のコンセプトは禁断の愛。  一つの幸せな家族を舞台に、ヒロインである冬美が憎しみと愛との狭間で葛藤し、やがて全てを壊した後で大事なものに気づいた…というドロドロとした愛憎劇である。 ヒロイン役の冬美は私で…昴生はわずかなシーンにしか登場しない、同級生・春希《はるき》という役柄だった。 昴生演じる春希の、最も重要なシーン。  消えた冬美を心配していた同級生の春希《はるき》が、数年ぶりに偶然交差点で彼女を見かけて声をかける。  だが一瞬目が合っても、冬美は春希に気づかず去っていく———というもの。  そのシーンについて、一度だけ昴生に相談された事がある。    「実は、悩んでるんです。俺。  久しぶりの仕事だし。」 撮影の合間に私の控え室を訪れた昴生は、台本を抱えながら溜息を吐いた。  良ければ演技指導して下さいと、彼はどこか暗い顔して言った。 「これ……たったこれだけのワンシーンだけど侑さんと絡む貴重なシーンじゃないですか。  春希は実は侑さんの演じる冬美に惚れていて……目が合っても気づいてもらえなくて、ショックを受けるという場面なんですが。  それがどうもピンと来ないというか。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-21
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人気俳優の告白/遅咲きの後輩

 彼の手を振り解くようにして、私はまた台本に目線を移した。 「…それだけの気持ちを知ってるなら大丈夫だよ。  演技が始まったら、今の気持ちを思い出したらいいと思うよ。  好きな人に会えた瞬間にドキドキしたり、抱きしめたくなったりするその気持ちを。  その瞬間にセリフは自然と出ると思う。  ……そして春希は冬美と目が合った次の瞬間に、気持ちの全てを否定される。  自分に気づいてくれない片想いの相手に……  その時に湧く春希の感情は、どんなものだと思う?」 「———辛くて…悲しい。  やるせない。」 「うん。そう。そうだよ。春希は絶望する。  長い事想っていた相手に裏切られた気持ちになる。  悲しい、何で?辛い。気付いて欲しい。  きっと春希は訴えかけるように彼女を見つめてると思う。  その姿が見えなくなるまで。」 髪をかき上げながら私が笑うと、昴生もつられたように静かに笑った。  今言った春希の気持ちを再現したかのように。  躊躇いがちな笑顔だった。 「大丈夫————綿貫くんの演技は私が保証するよ。」 「うん………ありがとう、侑さん。」 考えてみれば、いつの間にか〈常磐さん〉から〈侑さん〉と呼ばれていたのも驚いたけれど。  それが正しいアドバイスかどうかは正直私には分からなかった。  けれどそこには確かに昴生の気が晴れたような笑顔があった。  これまで昴生は、映画にエキストラのような端役でしか出た事がなった。  だからこの春希役は、例えわずかな登場でも昴生にはけっこう重要だったと思う。  だけど彼にスポットライトが当たる事は殆どなくて、しばらくは芽が出なかった。    俳優はただ顔が良ければ、演技ができればいいというものでもない。  やはり仕事の内容と運も必要になってくる。 あの時はまだ彼にはチャンスがなかった。    それに、たまに同じ事務所の俳優陣達に陰口を叩かれてるのを聞いた事がある。 「あいつのいいとこって、顔だけじゃん。」 「ああ、綿貫?」 「確かに。こないだの映画だってさ———」    「どうせ顔で選ばれたんだろ」  「—————そんな訳ないと思うけど。」      同じ事務所の俳優同士でこんな陰口は気分が悪い。  
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-21
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人気俳優に飼われる女優

  侑⃞さ⃞ん⃞は⃞大⃞人⃞し⃞く⃞、⃞俺⃞に⃞飼⃞わ⃞れ⃞て⃞下⃞さ⃞い⃞ね⃞。⃞  あのホテル街で昴生に会った後————— 不思議な事に体の震えが止まった。 寒さより。悴んだ手より。 夜の闇に白い息が浮かぶ。 全神経が目の前の彼に持ってかれてく。 そんな私に昴生は怒ったかのように近付いてきて、肩に手を回した。 キスを………… されるのかと思うくらいの至近距離。 照明に照らされた綺麗な瞳が、光を受けてキラキラと輝いていた。 こんな夜の闇にまで、美しい姿を見せなくたっていいのに。 「侑さん。具合が悪いんですね? まずは————病院に行きましょう。 話はそれからです。」 なんでかな?私の方が年上なのに。 彼の前で私は体調管理が下手くそな、手の掛かる年下みたいだった。  「胃潰瘍《いかいよう》だったんですね。 しかも侑さん…胃の中にピロリ菌なんか飼ってるんですもん。 良かったですね。ちゃんとした原因が分かって治療もできて。」 「……そうだね。驚いた。まさか私も自分がピロリ菌を飼ってるとは。」 昨夜とは違ってなぜか嬉しそうに声を弾ませている昴生に、薬を飲んだ後またベッドに横になるようにと言われた。 「侑さん。言っときますね。 もうピロリ菌は飼わなくていいんで、侑さんは大人しく、俺に飼われて下さいね。」 「ええ………?」 ベッドの脇に座り、満面の笑みを浮かべる彼。 全然落ち着かない——— だってここは彼の住むマンションで、ここは彼のベッ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-23
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人気俳優に飼われる女優

 翌朝、彼は私が独占していたせいで自分のベッドでは寝てなくて、来客用の布団で寝ていた。 が……同じ部屋だった。 「ごめん…私がベッドを使ってたから。 起こせば良かったのに。 それに、これだけ大きいベッドなんだから…隣に寝ればよかったのに。」 「何言ってるの。侑さん。 同じベッドに寝たりしたら、俺が我慢できなくなっちゃうでしょ? それとも襲って欲しかったんですか?」 昴生はなんだか意地悪そうに笑う。口調がドSっぽい。 ええ……?私と彼の間に、そんな男女の関係が生まれるだろうか。 だけど思い返せば確かに彼はセッ…… 妙なことを思い出して私は口籠る。 それからまた慌ただしく病院に連れてかれて、やっと胃の不調の原因を突き止められた。 ちなみに昴生は帽子にサングラスにマスクという鉄壁の変装をしていた。逆に近寄りがたい感じに。 それで…また帰ってきたのはやっぱり彼のマンションで。 「侑さん。遅くなったけどお昼にしましょう。 薬も飲まなきゃだし、少しは胃に何か入れてくださいね。 人間、健康でいるにはまず食事からです。」 昴生はなんだか、言う事もやる事もすごくしっかりしてた。 何もかもに戸惑っている私に対して、爽やかに笑いながら規則正しい生活を促した。 なぜか2人分ある新品の歯ブラシにコップ。 恋人とかのではないだろうか。申し訳なく思いながら使わせて貰った。 久しぶりに誰かと過ごす時間。 誰かと食事をする瞬間。しかも昴生が作った料理を。 消化に良さそうな柔らかいロールパンに、スクランブルエッグ、ヨーグルトなどが用意されていた。 潰瘍の胃にはありがたい食事。 「昨夜はありがとう………その、急に電話してごめんね。」 「本当に悪いと思ってるなら、大人しくうちで面倒見られて下さいよ。」 ロールパンを口に運びながら、私を見てまた無邪気に笑う。 「え……?何?」 「俺言いましたよね。侑さんが死にたくなったら、侑さんの残りの人生を下さいって。 あの時がそうだったんでしょ? ならもう覚悟はできたはず。 侑さん。俺がこの先の侑さんの一切の面倒を見ます。 だから俺に飼われて下さいね……?」 目の前で腕を組み、恍惚とした表情で私を見つめる彼。 ちょっとこの後輩は。この前から随分とおかしいかも知れない。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-24
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人気俳優に飼われる女優

 だけどあの瞬間に死を望んだ自分も、大概おかしくなってるとは思う。 「飼うって…具体的には何するの?」 この前言ってた一緒にご飯食べたり、映画観に行ったりっていうニュアンスとはまた違う気がする。 女性を飼う…つまり飼育とは自分好みに仕立て上げたり調教したりするという意味だろう。 どちからというと、後ろめたい意味で使われるような。 ごくりと喉を鳴らして、昴生を見つめた。 「そうですね。まずは病気を治しましょう。 ピロリをやっつけましょう。 俺といる時は、ただひたすらにダラダラしましょう。 いない時もダラダラしてください。 朝昼晩俺が手料理を作ってあげます。 できない時はデリバリーを頼みます。 掃除も洗濯も俺がします。 できない時は家事代行サービスに来てもらいます。 だから侑さんはこの家で自由に暮らしてみて下さい。」 ……………………え? 「できないと言ってもやるんです。 侑さんは次の仕事が決まるまで、ただダラダラと過ごすのが仕事です。 好きなものいっぱい食べて、ガリガリな侑さんじゃなくて、3食昼寝付きでゴロゴロして、太ってしまえばいいんですよ。」 「え……え? そんな事出来るわけないし、それに私には自分のマンションが。」 「ああ。あそこは今朝早く不動産に電話を入れておきました。 半年分の家賃を入金しておいたので、家賃の心配はしなくて大丈夫ですよ。 必要なら一緒に荷物を取りに行きます。」 「半年分って結構な額だよ…?どうしてそんな……それにあそこには熱帯魚が」 「ここに運んでくればいい。侑さんと一緒に俺が面倒を見ますので。」 「どうして……そこま
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-25
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人気俳優に飼われる女優

 3食昼寝付きで家事もせずにひたすらダラダラ。  家賃、生活費の心配はない。  欲しいものがあれば買ってもらえる。 どこの世界に、そんな夢みたいな話があるって言うんだろう?  今まで私を欲しがる人には、必ず見返りがあった。 例えば有名女優と交際してるというステータス。知名度。有名になりたいという野心。  有名人を紹介して欲しいという願望。  利用して這い上がりたいという欲望。  そして…昨夜の是枝のように単純に身体を欲しがる事もそう。 「————見返りは何?」 見返りがなければ人は、誰かを助けようなんて思わないはずだ。 「見返りですか?言ったじゃないですか。  侑さんの人生ですよ。」    「その中には体も———————」 「セックスですか?勿論込みです。  侑さんの全てが欲しいんで。」 「隠さないんだね。」 「隠したって得しませんからね。」 目の前で昴生が躊躇なく笑う。 最終目的がそれなら……じゃあなんで、昨夜抱かなかったの?  具合が悪くても、病気でも抱こうと思えばいくらでもできたはずだ。  なのにこうされたら。まるで昴生に、私が大事にされているみたいな気になってしまう。 人に優しくされるの事にはあまり慣れてないのに。 「でもね、侑さん。体が欲しいのは本当だけど俺は———  あなたの心もセットがいいんです。  それに侑さん……まだ元彼の事忘れてないんでしょ?」  どうしてあなたが、聖の事を………?  ————何もかもお見通しって?  本当にあなた一体何なの………?
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-26
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人気俳優に飼われる女優/3食昼寝付きの生活

3⃞食⃞昼⃞寝⃞付⃞き⃞の⃞生⃞活⃞な⃞ん⃞て⃞、⃞し⃞た⃞事⃞な⃞い⃞。⃞  彼の家に拘束されてから3日目。    具体的に何をしたらいいのか、さっぱり分からないまま。 ダラダラもゴロゴロも…そもそも最近は眠ることさえ苦痛で仕方なかったのに。  ***  昼過ぎには彼はドラマの撮影の為、出掛けて行った。 残された私はというと————  薬を飲んで寝た後で目が覚めて、まずトイレに行った。  部屋の中は暖房がついていて快適だった。    もう眠る気にならなくて、ダイニングルームにあるふかふかとした高そうなソファに腰掛けた。 なぜかスマホは没収されてる。帰ったら渡すと言われた。  しかも事務所と鳥飼さんにはすでにピロリ菌と胃潰瘍治療のため、当面仕事しないと連絡済みだった。 ネットが開けない。そう考えるとクセになっていたエゴサをする必要がなくなった。 だってしたくてもできないんだから。 静かだった。立派な高層マンション。  階層はかなり上階だったと思う。  夕方近くに窓辺に立てば、綺麗な海が見渡せる。  いつもの煩い喧騒もない。  誰かの声も聞こえない。  大きなテレビはあるけど、勝手につけていいかは分からないから触らない。 私は一体ここで何をやってるんだろう。  謎だ。  「好きな事して過ごして下さいね。  俺の部屋にさえ行かなければ、どの部屋に行っても、何をしてもいいです。  冷蔵庫の中には適当な食材や飲み物が入ってるので、好きに食べたりして下さい。  夕飯には家事代行サービスでご飯を作りに人が来ます。  シャワーもお風呂も好きなように使って下さい。  少し遅くなりますが仕事が終わって俺が帰ったら、侑さんのマンションに一緒に荷物を取りに行きましょうね。」 私の好きな事って何……? 好きな事は分からないが、マンションに戻る必要はある。  そうだ。確かに私の普段使っていた化粧品や歯ブラシや服や着替えは必要だ。    熱帯魚は…アクアリウムごとすでに業者に手配してあり、こちらのリビングで元気に泳いでいた。  餌があげられてホッとしている。  彼は……  俳優業でもそうだけど色々と仕事が早かった。 それに着替えや下着も、昴生に言われて2日目にはネ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-27
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人気俳優に飼われる女優/3食昼寝付きの生活

 温かい。だけど人の家のお風呂で私は一体何をやってるんだろうと思う。 湯気でぼやけた視界の中で、微かに汲み上げた湯を見つめる。  手の中から少しずつお湯は溢れていく。  それでもまたすくえば、湯は必ず私の手の中に。  光に反射して揺めきながらも存在していた。 日本一売れてる俳優は今はいないのに。  1人なのはいつもと変わらないのに。  なぜ彼の家にいるというだけで、こんなにも気持ちが変わってくるのだろう。 死にたかった。  ————あの夜は、確かに死にたかった。   もう全てが終わりだと思った。  空っぽの自分が嫌になって、この世から消えてしまいたかった。 なのに今は…  何もかもを失って、自分には価値がないという焦燥感は確かにあるのに。 それでも何で、こんなに穏やかな気持ちでいられるんだろう。 * 夕方————家事代行サービスの人がやってきた。 「あらあ。もしかして常盤侑さん!?  初めて生で見た!何てラッキーなのかしら。  可愛い〜可愛い〜わあ〜。  あ、ご紹介が遅れました。私家事代行サービスの米本って言います。  どうぞ宜しくね!」 お茶目な…乙女心を持った男性《ひと》だった。  見た目は中年のイケメンなのだが、自分はLGBTだとあっけらかんと明かす人だった。    ここが昴生の家だと分かっている人に、私の存在が気づかれてもいいんだろうか。    「うふふ。私はねえ、昴生くんとは旧知の仲なの。  だから彼のプライベートな事を誰かにベラベラ話したりしないから心配しないで♡」 「…そうなんですか。……助かります。」 もし今私がここにいる事をマスコミとかにリークされたら、間違いなく昴生に迷惑が掛かる。  それだけは避けなければ。 「あらそんな顔しないで。美人さんが勿体ないわよ?  あ、ねえ。そうだ、侑ちゃんは何が好き?さっそく夜ご飯作るわねえ。」 ……侑ちゃん。  そう呼ばれるのはいつ以来かな。 「私が好きなのは……」 私は一体何が好きなの?  びっくりする。まさか自分の食べ物の好みさえ分からないなんて。 近頃まで、何を食べても味もしなかった。 でも昴生と向かい合って食べたご飯は…  そう言えばちゃんと味がしてた。 手際よく米本さんが
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-27
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間話・昴生と人気女優

 *** 撮影は予定より随分遅くに終わった。  アイドルの子のリテイクが続いた為だ。    スマホの時計を確認して、昴生は足早にその場を離れようとする。 「綿貫さん、お疲れ様です。」 共演者が互いに挨拶を終えて解散、スタッフが機材などを片付ける中、足を止めたのは、人気女優の浅井まりかだった。 「今日の撮影もすごく良かったです〜  さすが綿貫さんですね。」 「浅井さん。ありがとう。  浅井さんも良かったよ。」 やたら距離感の近い彼女。人当たりの良い昴生は営業用の顔で笑ってみせた。 「ねえ…綿貫さん。この後ひま…ですか?  まりかと、飲みに行きません?」 ちらり、とまりかは昴生を上目遣いで見上げる。 同じように昴生も彼女を見下ろしたが、控えめに右手を左右に振った。「あー…ごめんね。俺の帰りを待ってる人がいるから。」 全く隠す様子もなく、昴生は笑顔でまりかの誘いを断ってしまう。 「え……それって……」 「うん。そう。大事な人。」 「え、待っ……綿貫さん、もしかしてお付き合いしてる人がいるんですかっ?」 身を躱した昴生に、まりかはひつこく食い付いた。  背の高い昴生を、うるうるとした瞳でじっと見上げて。  両拳を握ってあくまでもいじらしく、可愛らしさを演出する。    「それって一般人の方ですか?  それとも————」 進行方向を遮るまりかに、昴生は普段はしない、冷ややかな瞳を見せた。    「浅井さん————人のプライベートはそうやって暴くもんじゃないよね。  それくらい、浅井さんなら分かるでしょ?」 口元は微笑んでるのに。  声はかなりエッジが効いている。    その瞬間の昴生は、普段と全く違って冷淡だった。  今日はこれ以上は無理っぽいな、まりかは渋々引き下がることにした。   誰にでも愛想が良くて、優しいイメージがある昴生に初めて冷たくされて、まりかは1人その場に佇んでいた。  もう既に昴生の姿はそこにはない。    実は憧れの昴生と同じドラマに出る事になって、まりかはずっと2人きりになるチャンスを伺っていた。 「まりかさん、どうでした?綿貫さん。  飲みに誘えましたか?」 今日何度かリテイクをしてしまったアイドルの如月《きさらぎ》モカが遅れて駆け寄ってくる。  だがまりかは暗い顔
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-27
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人気俳優に飼われる女優/不思議な関係性

あ⃞な⃞た⃞の⃞側⃞は⃞、⃞心⃞地⃞が⃞い⃞い⃞。⃞ *** 「侑さん、ただいま。」 「お帰りなさい……?」 普通に、今まで何年も共に暮らしてきたかのように「ただいま」と言う昴生に、私はまた不可解な感情を抱いた。  靴を脱いだ彼のコートを自然と受け取る自分にも驚いている。 「今日ね…撮影でリテイクが結構続いて疲れたんですよ。」 「大変だったね。お疲れさま。」 「だけど侑さんの顔見たら全部吹き飛んだ」 「私の顔で…どうしてかは分からないけど回復できたんだったら…良かった。  もしかして私の顔が面白い…とかで?」 何て言ったらいいんだろう。  彼の求めてるものが今だに良くわからなくて。    「ぷっ…侑さんの顔が面白い?  何それ……  侑さんの顔は凄く美人さんですよ。」 何かウケたらしい。でもやっぱり最後の一文は理解できなかった。 「ねえ、侑さん。  ちょっと甘えてもいいですか……?  俺が抱きつくのは平気?」 口元は笑ってるのに。疲れた顔に疲れた声。  最近、私の事でもバタバタさせたしドラマの撮影も忙しい筈だ。 こんな私に抱きついてやはり彼が得するとは到底思えないけど。 「……大丈夫だと…思う。」 「やったあ。」 ————弾むような声が聞こえた瞬間、私の体は昴生の腕の中に包まれていた。  久しぶりに誰かに抱き締められて、心臓がバカみたいに早くなる。 「うわあ。侑さんの抱き心地、さいこう。」 「そ、そんなに……?」 「うん、興奮する。」 「え……?」 まるで匂いを嗅ぐように、昴生はさらに深く私を抱き寄せ、瞼を閉じる。  マリン系の香水の匂いが鼻先を掠めた。  服の上からでも分かる温かな体。  逞しい腕の力。息をするのが心地よい。 「……いいね。こんな事できる日がくるなんて。  俺…俳優やってて良かった。」 「え……?ええ〜……ふ、……ふふ。」 「何?侑さんご機嫌だね?」 吹き出してしまった私の顔を昴生が不思議そうに覗き込む。  何でだろう。  久しぶりに可笑しいという感情が溢れ出して、隠しきれなかった。 「だ、だって…綿貫くんが。  私と抱き合うために俳優してきたみたいな言い方するから……なんか、おかしくって。」 「あー侑さんそれひどい。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-28
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