――絶対に許せない!だが、小夜がそれだけのことを語っても、雪は長いこと平静なままだった。ケースからタバコを一本抜き出し、鼻先で匂いを嗅ぐ。その顔には感情らしいものが微塵も浮かんでおらず、小夜は思わず眉をひそめた。小夜が再び口を開こうとした時、雪がふいに言った。「ふん。ずいぶんともっともらしい作り話ね。でも、証拠はあるの?何を根拠に断言できるの?あんたの子が言ったことが真実だって。知らないのかもしれないけど」雪は火のついていないタバコを咥えた。病床にもたれて座っているだけなのに、小夜を見下すような視線を向けてくる。そこには、明らかな嘲りの色が混じっていた。「あんたの子、嘘をつくのがとっても上手なのよ」平気で嘘をつくような子供の言葉に、果たしてどれほどの真実があるというのか。小夜の顔に、一瞬だけ激しい怒りが走った。だが、次の瞬間には理性を持ち直す。ここで怒って何になる。この話を他人にしても信じてもらえないだろうことは、最初から分かっていた。だが、雪は明らかに論点をすり替えている。問題の本質は、そこではないのだ。小夜は顔を上げ、雪をじっと見据えた。一語一語、相手の逃げ道を塞ぐように核心を突く。「こんな事態になったのは、あなたと圭介が引き起こした結果でしょう。いい大人が、自分のしたことくらい堂々と認めて向き合ったらどうなの。何でもかんでも子供に責任を押しつけて、自分で責任を取る覚悟すらないなんて、恥ずかしくないの?大人なら大人らしくしなさいよ。臆病者みたいに逃げ回らないで」小夜は無表情でそう言い放った。病室は水を打ったように静まり返った。次の瞬間、小夜は雪に胸ぐらを掴まれ、ぐいっと顔を引き寄せられた。「この私を、臆病者だと言うの?」雪はそう吐き捨て、その目に凶暴な色を浮かべた。唇の端に咥えたタバコが、怒りのあまり細かく震えている。「私が今まで何をしてきたか、あんたに分かるの!?」「ええ」小夜は静かに視線を上げた。至近距離で、怒りに燃える雪の目を真っ直ぐに見つめ返す。それと同時に、その瞳のさらに奥――怒りの底に深く隠された何かまで見透かそうとしているようだった。数秒の沈黙のあと、小夜は続ける。「雪さん、あなたがしたことは、確かに私には一生真似できないわ。その決断力と勇気
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