「ああ、それか。ただのおもちゃだ」コルシオは興味なさそうに言いながら、ポケットから銀色のUSBメモリを取り出した。手の中で弄び、軽く放り上げては受け止める。「大切なものは、いつだって身につけておくものだ。欲しいか?」佑介の緑の瞳が、わずかに細くなった。その銀色のメモリが姿を現した瞬間、佑介は懐から銃を抜いた。コルシオと初めて会った日に、遊び道具として渡されたものだ。今はその銃口を、血のつながった実の父親へと向けている。声の震えを押し殺して、佑介は言った。「それを渡せ」銃口を向けられても、コルシオの笑みは消えなかった。緑の瞳はむしろ愉しげな光を帯び、USBメモリを弄ぶ手も止まらない。「いいじゃないか。少しは度胸がついたようだな。だが、お前は人を殺したことがあるのか?」最後の一言だけ、声が低く沈んだ。窓の外では激しい雨が降り、雷鳴が山荘を揺るがしている。窓枠に腰を下ろした男は、佑介を圧倒するような気配を隠そうともせず、銀色のUSBメモリを目の前で揺らしてみせた。「父親を殺せば、手に入るぞ」佑介の緑の瞳から光が消えた。銃を握る手は汗ばみ、指先がかすかに震えている。歯を食いしばり、絞り出すように言い返した。「……僕にできないとでも?」コルシオは首を傾けた。雨に濡れた金茶色の巻き髪が肩へ落ち、稲妻に照らされた顔がいっそう蒼白く浮かび上がる。赤い唇が薄くつり上がった。「ああ。お前には無理だ」蔑むように目を伏せ、片手で黒檀のステッキの銀のハンドルを握る。……一方、小夜は浴室の中を落ち着きなく歩き回っていた。連れ去られた日に着ていた白いシャツとニットベスト、黒いワイドパンツに着替え、足首の銀の錠もすでに外されている。それでも、佑介からは何の知らせもない。浴室では相変わらずシャワーの水が流れ続けていた。小夜はスマホを強く握りしめた。昼間、若葉が来た時、最初は佑介に止めに行ってもらうつもりだった。だが、佳乃がすでにあの香水を使わされており、しかもそれに依存性があることが分かってしまった以上、今だけ若葉を止めるより、この機会に香水の調合データを手に入れる方が先決だ。詳しい配合や作用が不明なまま、いつ依存の症状が出るかも分からないのに、配合比も対処法も見つけられなければ、手遅れになってし
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