ニコラスはソファを並べて、ブランケットを用意するとテーブルの上に置かれたランプ以外の灯りを全て消した。今の時間は23時。ベビーベッドに眠るジョナサンの様子を見ると、気持ちよさげにぐっすり眠っている。「ジョナサン……」一月ぶりに同じ部屋で眠る我が子の頭をそっと撫でると、ニコラスは並べたソファの上に横たわってブランケットを掛けた。いくら夫婦とは言っても、2人は書類上だけの関係だからだ。同じベッドで眠るなど考えてもいない。「……おやすみ、ジェニー」今は亡き愛しい妻に「おやすみ」を告げると、ニコラスは目を閉じた――****――真夜中「……」ニコラスはウトウトしながらソファの上で何度目かの寝返りを打った時。「……さい……ごめんな‥‥…さい……」悲し気な、すすり泣きのような声が聞こえてきた。「!」ニコラスの脳は一気に覚醒した。「まさか……ジェニー……?」そんなはずは無いと思いつつ起き上がり、声はベッドから聞こえていることに気付いた。そっと近づいてみると、ジェニファーが眠っている。その寝姿はあまりにジェニーに似ている為、ドキリとた。「ジェニー……?」気付けば愛しい妻の名を口にし、ついニコラスはジェニファーに手を伸ばしかけ……。「……ごめんなさ……フォルクマン伯爵……許して下さ……」眠っているジェニファーの口からフォルクマン伯爵の名前が呟かれ、頬に涙が伝ってきた。「!」その様子に、ニコラスは我に返った。「そうだ……彼女は、ジェニーにそっくりだが……ジェニファーなんだ……。だが、何故君まで泣く? 君はジェニーを苦しめた張本人なのだろう……? 伯爵と一体何があったんだ……?」けれど、眠っているジェニファーは質問に答えることなど出来ない。「……ジェニー……」ポツリと呟くジェニファーの頬を再び涙が伝う。「こんな風に泣きながら眠るところまで……ジェニーにそっくりなんだな」ニコラスはハンカチを取り出すとジェニファーの涙をそっとぬぐい、再びソファに戻ると眠りに就くのだった――****――翌朝カーテンの隙間から差し込む太陽の光がジェニファーの顔を照らす。「う~ん……」眩しさのあまり窓から背を向けたとき、自分がベッドの上にいたことに気付いて目が覚めた。「え? ベッド……? 私、いつの間に……!」慌てて飛び起きると、昨日着た
Terakhir Diperbarui : 2025-11-06 Baca selengkapnya