手紙を書いた約10日後――ジェニファーが庭で洗濯をしていると郵便配達人が自転車に乗って現れた。「ブルックさんの家にお手紙が届いていますよ」「ありがとうございます」洗濯の手を止めると、ジェニファーは手紙を受け取った。「今日は1通だけです。それでは」郵便配達人はそれだけ告げると再び自転車に乗って走り去っていった。「手紙……誰からかしら……あ!」ジェニファーは封筒の差出人を見ると、辺りを見渡した。(叔母様はいないわね……今のうちに!)手紙をエプロンのポケットに入れると、すぐにジェニファーは屋敷の裏手に回った。建物の陰に隠れ、手紙を開封すると早速目を通した。するとそこには驚きの内容が書かれていた。15日に、ブルック家にジェニファーを迎えに行くと記されていたのだ。(15日……今日は13日だから、もう予定まで2日しかないわ! どうしよう……時間が無いから、すぐにでも叔母様に知らせないと……だけど、勝手に手紙を見たことがバレてしまうわ。そうなると酷く怒られてしまう……)しかし、黙っているわけにはいかない。後2日で迎えが来てしまうのだ。「叔母様に伝えるしか無いわね……」ため息をつくと、ジェニファーは重い足取りで屋敷の中へ入っていった――**パンッ!!殺風景な部屋に乾いた音が響き渡る。ジェニファーが平手打ちされた音だ。「勝手に手紙を開けて見るなんて、なんて子なの!?」「で、でも叔母。その手紙は、私宛に届いた手紙ですよ?」叩かれた右頬を手で押さえながら涙を浮かべて訴えるジェニファー。「おだまりなさい! 誰のお陰でこの家に住んでいられると思っているの!? 私達がお前の後見人になったからでしょう!? そうでなければ、とっくにお前は施設行きになっていたわよ? それが分からないの!?」ジェニファーをお前呼ばわりして乱暴に叱責するアン。「いいえ、叔母様の言うとおりです……勝手な真似をして、ご、ごめんなさい……」零れ落ちそうになる涙を必死で堪えながら謝る。そんなジェニファーの姿を見つめながら、アンはフンと鼻をならした。「分かればいいのよ。ところで、手紙はこれだけなの? 抜き取ったりしていないでしょうね?」「まさか! そんなこと、するはずありません!」「そうね……その様子だと、嘘はついていないようね……なら、いいわ。それにしても後2日で
Last Updated : 2025-06-30 Read more