その日から、ジェニファーがニコラスと会うのは1日置きとなった。毎回屋敷の近くまでシドがジェニファーの送り迎えをし、2人が会っている間は邪魔にならないように少し離れたところからシドが見守る。その様な状況が少しの間続いていた。そして、ついに写真が出来上がる日がやってきた――****「ゴホッ! ゴホッ!」その日は朝からジェニーの体調がすぐれなかった。「ジェニー、大丈夫?」ベッドで咳をしているジェニーにジェニファーは心配そうに声をかけた。「え、ええ……大丈夫よ……ゴホッ!ゴホッ!」大丈夫と言いながら、ジェニーの顔色は青い。今日は写真が出来上がる日で、当然ニコラスとも会う約束をしていた。もうそろそろ約束の時間になろうとしている。しかし……。「私、ジェニーが心配だから今日はニコラスと会わないわ」ジェニファーは咳をしているジェニーの背中をさすりながら自分の考えを口にした。(シドが近くまで迎えに来てくれているから、伝えてもらえばいいわね。こんなに具合が悪いジェニーを置いてなんか行けないもの)ジェニファーはそう考えていたのだが、ジェニーが首を振る。「駄目よ……ゴホッゴホッ! 私のことはいいから……今日はゴホッ! ニコラスと会ってきてちょうだい」「だけど、こんな具合が悪い状態のジェニーを1人にさせられないわ」ジェニファーの役目はジェニーの話し相手だけではない。体調が悪くなったときには使用人たちや、伯爵に知らせる役目も担っていた。けれど、ジェニファーが外出中はジェニーは使用人を誰も部屋に入れないようにしていた。何故なら、ジェニファーが不在なのを屋敷の人々に知られるわけにはいかないからだ。「だ、大丈夫よ……それよりも……ゴホッ! 今日は写真が出来上がる日でしょう? 私、どうしてもニコラスの写真が……見たいのゴホッゴホッ!」「ジェニー……」本当はジェニーを置いては行きたくなかった。だけど、ニコラスの写真を強く望んでいる。ジェニファーはその望みを叶えたかった。「分かったわ、ジェニー。ニコラスに会って、写真を取りに行ってくるわね。そしたらすぐに帰って来るから」ジェニファーは帽子を被った。「え、ええ……よろしくね……」ジェニーは弱々しく笑いながら、ベッドの上で手を振った――****「お待たせ、シドッ!」いつもの約束時間より10
Huling Na-update : 2025-08-09 Magbasa pa