Lahat ng Kabanata ng 幼なじみに裏切られた私、離婚したら大物に猛アタックされた!: Kabanata 211 - Kabanata 220

308 Kabanata

第211話

ことははお酒を飲んでいなかったので、ことはが運転した。助手席に座っている隼人は、加恋から送られてきたグッドスタンプを見て、口元を歪ませた。隼人は携帯を置くと、肘を窓枠に乗せ、頬杖をつきながら、ことはの横顔を漫然と見つめた。「加恋さんが言うには、君はその時スプレーを直接相手の顔に吹きかけたんだって?」ことはは「はい」と頷いた。「芳川さんに私のために準備させた護身用の武器ですよね?」隼人は言った。「使い方は良かったが、次からはそんな無鉄砲なヒーローごっこはするな。危険の度合いを考えろ」ことはは、「その時はそんなことまで考えられなかったのです」と反論した。隼人は聞き返した。「その女が加恋さんだとは気づかなかったのか?」ことはは肩をすくめた。確かに気づかなかった。そもそも加恋さんは神谷会長と結婚するとすぐに海外へ行き、しかも手厚く保護されていたため、ほとんどメディアに登場することはなかった。ましてや自分がわざわざ事前に調査するはずもなく、加えてその時は緊急事態だったから、そんな深く考えている余裕などなかった。「縁だな」その言葉を聞いて、ことはは一瞬理解できなかった。隼人は続けた。「加恋さんは君のことが気に入ったようだ」なぜかわからないが、ことははその言葉を聞いて落ち着かなくなり、どう返事すればいいかわからなくなった。仕方なくことはは話題を変えた。「聞くところによりますと、照義さんが逮捕されたそうですね」「ああ」隼人は冷たく返事した。「自宅で違法薬物をやっていた」「本当に頭がおかしいですね」ことははあの夜の照義の狂った様子と痩せ細っていた顔を思い出した。今考えてみると確かに薬物の影響があったように思えた。橘ヶ丘の別荘に戻り、隼人が車から降りた途端に携帯が鳴った。隼人はすぐには取らず、同じく降りていくことはに言った。「花田さんが君とゆきのために食事を準備してくれた。明日の朝食用に持って帰れ」ことはは断る間もなかった。隼人はすでに中に入り、急いで電話に出ようとしているようで、ことはに気づかれないように避けているようだった。ことはは深く考えず、自分たちの帰りを待っていた花田とばったり会い、二つの大きな袋を提げて自宅に戻った。書斎に入ると、隼人はネクタイを外し、ソファチェアに座って電話の相手からの報告を聞いた。
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第212話

ことはとゆきは身支度を済ませると、二人は朝食をとった。加恋からことは宛にLINE電話がかかってきた。朝早くに電話してくるのは、きっとあの写真の件だろうとことはは察した。「神谷会長夫人、おはようございます」加恋はため息をついた。「またそんな呼び方して。聞き慣れないし、私が老けているみたいじゃん。加恋って呼んでくれない?」ことはは、加恋の性格があまりにも優しすぎて、とても断れるものじゃないと感じた。「加恋さん」向かい側にいたゆきはその名前を聞き、一瞬にして目を丸くした。「これでいいわ」加恋は上機嫌になった。「ネットの件、あなたの気分を害していないかしら?」「大丈夫です」ことははもうこういうことに慣れていた。しばらくすれば収まるだろう。ただ、神谷夫人に伝わったらまた何が起こるかわからない。「心配しないで、私に解決策があるわ」加恋の話し方はいつも人に安心感を与える。「今夜、プライベートイベントがあるから、私の友人として参加して。あとは私がなんとかするから」「断らないでね、篠原さん。すぐ場所を送るから、仕事終わりに来て。そうそう、あと私があげた時計も忘れずにつけてきてね?」ここまで言われると、ことはは断りづらくなった。「はい、分かりました」電話を切ると、ゆきが待ちきれない様子でことはに聞いた。「どうしたの?ねえどうしたの?」ことはが簡潔に電話の内容を説明すると、ゆきは断言した。「行きな。絶対に行くべき」約束した以上、自分も行くつもりだった。ネットに載った写真が早く削除されたおかげか、ことはが会社に行っても同僚に写真の件で聞かれることはなかった。今日は隼人が珍しく遅れて会社にやって来て、到着するなりずっと会議続きだった。ことはと彼女の同僚たちも忙しくしていた。ことはは仕事を終えると、すぐ加恋が指定したホテルへ向かった。ロビーに入ると、加恋のアシスタントと名乗る細貝(ほそがい)がことはをプレジデンシャルスイートへ案内した。ソファに並べられたイブニングドレスを見て、ことはは思わず聞いた。「どんなイベントなのか教えてもらえる?」イブニングドレスが必要なほど格式高いものなのかな。「加恋さんは腕時計のデザイナーでございまして、今夜は加恋さん主催のプライベートイベントにご参加いただきます」と細貝が答えた。ことははハッと
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第213話

貞元は適当に言っただけで、まさかことはが本気にするとは貞元も思っていなかった。貞元は笑いながら言った。「俺たちは昔からの知り合いだろ」ことはは呆れたように言った。「知り合いだからこそ、もう私は行こうとしたのに。あなたが謝れって私を引き止めたんじゃないの?謝る気がないなら邪魔しないで」「……」貞元は無言になり、目を見開いて信じられないというような表情を浮かべた。まるで目の前にいるこのストレートに物を言う女性がことはだとは思えないようだった。「謝るわ、私たち謝るわ」今度は貞元の彼女である米本梢(よねもと こずえ)が体を張ってことはの前に立ちはだかった。「私たちが謝る前に一つ聞いてもいいかしら、篠原さん。これから加恋のプライベートイベントに参加するの?」「はい、それがどうかした?」ことはは逆に聞き返した。「それなら……」梢は人差し指でことはの腕時計をひっかけ、目いっぱいの嘲笑を浮かべた。「偽物の腕時計をつけて行くのはまずいんじゃないの?」「偽物?プハハハ、まさかことは、よくもまあ厚かましくも偽物の腕時計をつけて加恋さんのプライベートイベントに行こうとしたね」貞元は自分の顎を撫でながら、「ひょっとしてのあの写真のせいで、加恋さんに取り入ろうとして、偽物の腕時計でごまかしてイベントに参加しようとしたんじゃないの?」話をしている間に、梢はことはの手から招待状を奪い取った。「すごいね、本物の招待状まで手に入れたのね」ことはは眉をひそめ、「返して」と求めた。「返す?」梢は顎を上げ、高慢に招待状をことはの目の前で破り捨てた。「私が誰か知ってる?」「あなたが誰であろうと、今すぐ招待状を弁償して!」ことははかなり怒っていた。梢は気づいた。翔真たちと関わりのある人間は、多かれ少なかれを頭がおかしいのだと。貞元は梢の腰を抱きながら、得意げに言った。「ことは、梢は加恋さんの従妹なんだぜ」それを聞いて、ことはの嫌悪感はさらに強くなった。同じ米本という姓なのに、どうしてこうも違うのだろう。まずは照義さんで、今度は梢さんか。梢は破かれた招待状を踏みつけながら、ことはの左手首をつかんだ。「偽物の腕時計をつけて、本物の招待状まで騙し取って、加恋のプライベートイベントに潜り込もうとするなんて。あなたが何を企んでいるのか、私にはよくわかっている
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第214話

その腕時計は、梢が加恋の私物コレクション棚でしか見たことがないもので、しかもその棚の中の品は、加恋が人に貸すことも、公の場で見せることすらもしない特別なものだった。加恋が篠原さんに贈るわけがない。梢は、ことはが最近隼人と親しくしていることやあの写真の件を思い出し、ことはがこのタイミングに乗じて加恋に取り入り、加恋の心を掴んで神谷家に入り込もうとしているに違いないと確信した。よくそんな妄想ができるわね。「貞元、もうやっちゃいな!」梢が貞元を急かした。貞元はさっそくことはに飛びかかり、ことはの手首を掴もうとした。ことはは素早くかわし、ほぼ同時にハンドバッグを掴んでいた手で貞元のビンタを喰らわした。「貞元、これ以上私に近づいたら、警察呼ぶわよ?」貞元は頬に鋭い痛みを感じ、手で触れると血が出ていた。梢は駆け寄り、貞元の顔に傷がついているのを見て激怒した。「篠原さん、貞元の顔を傷つけるなんて、どういうつもりなのよ!」ここはエレベーター前で、多くの人が行き来していた。ことははこんな所で恥を晒すつもりはなく、冷静に携帯を取り出し、加恋に連絡しようとした。梢は二歩前に進み出て、ことはの携帯を払いのけ、眉を吊り上げて怒鳴った。「偽物を着けて加恋に取り入ろうとすることだけでも許せないのに、貞元の顔まで傷つけるなんて。篠原さん、今日の件はこれでは終わらないわよ」完全に壊れてしまった携帯を見て、ことはの気分は最悪だった。ことはは怒りに満ちた目で梢を睨み、梢の暴れている手を掴んだ。「私も終わらせるつもりはないわ」だが次の瞬間、ことはの腕時計は急に突進してきた貞元に掴まれた。貞元は唾を吐き捨てた。「偽物の腕時計でコネを作ろうとして、よくもそんなに厚かましくできるもんだ」梢は状況を見て貞元を急かした。「貞元、早く外して!」ことはの腕時計は強引に引っ張られた。ことはは自分の皮膚まで挟まれたので、痛みで顔をしかめた。梢も加わって二人してことはの左手首を乱暴に扱った。しばらくすると、ことはの前腕には数本の引っかき傷ができていた。腕時計が危ないと見るや、ことはは考えることなくすぐに手を振り上げた。ことはは、梢と貞元の顔を同時にビンタした。二人がことはから離れると、ことはは左手首を押さえながら、後ずさりした。近くに突っ立ったまま近づいて来
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第215話

それまでただ成り行きを見ていた周囲の人々も、ことはの一言でハッと気づかされた。その通りだ。今篠原さんは神谷社長が率いるチームに所属している建築デザイナーで、現在もまさにコンペに参加している。わざわざ自身のキャリアを台無しにしてまで偽物の腕時計を着けて、米本加恋さんに取り入る必要があるのだろうか。「もしかして、この二人がわざと篠原さんを困らせているのではないの?」「篠原さんの直属の上司が神谷社長なんだから、わざわざ米本加恋さんに取り入る必要もないだろう」「そうよね……」風向きが変わったことに気づき、梢は逆上して怒った。「加恋は私の従姉よ。加恋がデザインした腕時計は私が一番よく知っているわ。あなたが着けているこの腕時計、加恋は絶対に展示もしていなければ販売もしていないから、これは明らかに偽物なのよ!」ことはは呆れていた。「展示も販売もしていないなら、この腕時計が世に出ていないことを意味するよね。世に出ていないものを、どうやったら簡単に偽造できるの?」この言葉で、みんなは再びハッと気づかされた。「そうだ、公開されていないものを、篠原さんがそっくりそのまま偽造できるわけがない」「米本加恋さん自身が篠原さんに見せたのでなければね」「米本加恋さんと篠原さんの関係がそれほど親しくなければ、非公開の腕時計を見せるはずがないだろう」周りの人たちにあれこれ言われるうちに、梢の言葉はますます信憑性を失っていった。梢は顔を地面に踏みつけられたような屈辱感に襲われ、話題を変えた。「腕時計の話は置いといて、私たちを殴って、貞元の顔に傷を負わせたことは終わっていないわ。篠原さん、自分で自分の頬をビンタする?それとも私がやってあげようか?」「梢!」加恋の声が突然遠くから近づいてきて、人々は自然に加恋のために道を開けた。加恋は険しい表情で歩いてきた。「加恋!」梢は喜んで迎えに行った。しかし、加恋は鋭い視線で警告するように梢をひと睨みすると、そのまままっすぐことはのもとへ歩いて行った。無視された梢は信じられないというような表情でその場で立ち尽くし、面目を失った。「加恋さん」ことはは礼儀正しく呼んだ。この呼び方を聞いて周囲の人々は驚いていた。特に梢が目を丸くした。加恋はことはの左手を取り、引っかき傷を見ると、怒りを隠せなかった。
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第216話

胸いっぱいに広がる悔しさと不満を抑えきれず、梢はついに我慢できなくなった。梢は歩み寄り、憤りを込めて言った。「加恋、どうしてあの腕時計を篠原さんにあげたの?篠原さんにそんな高級品を着ける資格なんてないわ。私は加恋の実の従妹なのに、そんな素敵な腕時計を私にくれたことなんて一度もないじゃない」加恋はじろりと梢を睨みつけ、長女としての厳しさをにじませた口調で言った。「梢、あなたがここにいる理由は何?」「もちろん、加恋がここでイベントをやってると知って、貞元と一緒に応援に来たのよ」遠くで貞元は首をすくめ、おどおどと加恋に挨拶した。「加、加恋さん。こんにちは」「私はあなたと親しくないから、安易に馴れ馴れしくしないで」加恋は冷たく言い放った。梢は加恋があまりにも自分に面子を与えないことに唇を尖らせた。「加恋、貞元は私の彼氏なの。少しは私の顔を立ててくれてもいいじゃない」加恋は言い返した。「さっき外で、あなたはことはがわざと私に取り入れようと来たってデタラメを言ってたじゃない?どうしてあなたが言うのはよくて、私が言うとダメなの?」梢は唇をきゅっと一文字に結び、恨めしげで不満そうな表情を浮かべた。加恋には梢が何を考えているのかをよく分かっていた。加恋は続けて言った。「私がさっきそこで事を荒立てなかっただけで、十分あなたたちに面子を与えたわ。それに、あなたのお父さんが亡くなったのよ。家でちゃんと喪に服していないで、彼氏連れてここに来るなんて……来るだけならまだしも、騒ぎまで起こすなんてどういうつもり?あなたは自分が正しいと思ってるの?」これを聞いて、ことはは平静を保つことができなくなった。ことはは、米本家の三男の埋葬がまだ終わっていないことを覚えていた。「別に...…私することないし」梢は自信なさげに言った。加恋はことはの手を放し、さっと立ち上がると梢に歩み寄り、梢の頬にビンタした。「ふざけるのもいい加減にして!何もすることがないからって、こんなふうに外で騒ぎ回っていいと思ってるの?あなたのその行動がどれだけみんなから非難されるのかわかってるの!」梢は悔し涙を浮かべた。「加恋、私のこと殴ってもいいわ」加恋は自分の額に手を当て、梢のせいで頭が痛くなりそうだった。そして加恋は視線を貞元に向けた。「あなたが梢を連れ出したの?」
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第217話

話し終えると、加恋はくるりと背を向けて椅子に座った。ことはは下を向きながら110番通報しようとした。その時、貞元は考えもせずにことはの元に駆け寄ってことはの腕を掴み、媚びへつらった表情を浮かべた。「ことは、やめてくれ……頼むからやめてくれ。翔真との長年の情に免じて、俺が翔真の友人ということで。今すぐ謝罪するから、それでも足りないなら何度でもビンタしていい。だけど警察に通報するのだけはやめてくれ」翔真の名前が出た途端、ことはは苛立ちを覚えた。ことはは冷たい視線を貞元に投げかけた。「セクハラで追加起訴されても文句言えないわよ?」その瞬間、貞元は手を引っ込めた。梢はまだ興奮から冷めやらぬ様子で、「よくもまあデタラメを」と言い放った。「あなたたちを見習ったまでよ」とことはが言い返した。梢がまた言い返そうとしたところを、貞元が慌てて止めた。「もうやめろ!本当に通報されたらどうする?加恋さんは俺ら助ける気がないんだ。本当に警察に連行されるまで待つつもりか?」もしそうなったら、米本家全体にまで波紋が広がる貞元は、通報されたら全てが台無しになることを理解していた。せっかく苦労して梢を手に入れ、米本家の婿として神谷家と取引する足がかりにしようとしていたのだ。梢は微動だにしない加恋を見て、最終的に貞元の言うことに従った。梢はしぶしぶ口を開いた。「謝罪して、自分で自分をビンタするわ。それでも足りないなら、私はどうすればいいの?ただ……ただ、通報だけはしないで」この言葉で、梢の面子は完全に地に落ちた。たとえここに部外者がいなくとも。ことはは確かに発信ボタンを押さなかった。自分の怒りはまだ収まらないが、加恋さんの顔も立てないといけない。「私の携帯代と医療費、それに90度でお辞儀して誠意のある謝罪をすること」「90度のお辞儀?!」梢は心底不満そうに聞いた。「ここまで正確にする必要ある?」ことは再び携帯を持っていた右手を上へ上げた。「じゃあ警察署で会おう」「するから!お辞儀するから!」貞元はあっさりと決断し、右手で梢の背中を押さえつけ、強制的に頭を下げさせ、自分も一緒に深々とお辞儀をした。もはや90度ではなく、120度に近い角度だった。「申し訳ございませんでした!」貞元がまず、わざとらしく丁寧な口調で謝った。そう言う
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第218話

「優しい?」加恋が厳しく詰め寄る。「じゃあ正直に答えなさい。今夜出てきたのはあなたの意思?それとも貞元の意思?」「私が……」「篠原さんが事を荒立てずに見逃してくれたのは私の顔を立ててくれたからなのよ。ただこれで私があなたたちを許したことにはならない。梢、正直に話さないなら今夜私が直接米本家まで送り届けるわ」それを聞いて梢は怯えた。「貞元の意思」ことはは本来口を挟むべきではなかったが、この梢という女は、どう見ても甘やかされて育った高慢なお嬢様タイプ。純粋でで根っこは悪く、しかも貞元に完全にいいように操られているようだった。ことはは口を開いた。「一つ聞きたいんだけど、普段お金を使う時、貞元の方が多く使う?それともあなた?」梢はことはを睨んだ。「あなたに聞かれる資格なんてないわ」加恋が眉をひそめた。「じゃあ私が聞く」梢は恐れおののき、思い返しながら答えた。「私です……だって、貞元の両親が毎月くれる小遣いには限りがあるけど、私の方が多くもらえるから。でも貞元は私にとても良くしてくれて、お小遣いをもらうたびに真っ先に私のために使ってくれるの。だからすぐに使い切っちゃうの」それを聞いてことは笑った。「そうかな?そんなはずがない。私が知っている限り、貞元は限度額のないクレジットカードを持っているし、彼は雲の塚一の消費金額を誇っているのよ。雲の塚の会員規則では、毎月6000万円以上の消費が求められていて、途中で中断することも許されないのよ」「自分で調べてみたらどう?貞元が今でも雲の塚の会員かどうか」「そんなはずがない!」梢は即座に否定した。「だから調べてみなって。あなたの力なら会員リストを入手するのも難しくないでしょ」ことはは面白がりながら言った。梢は突然黙り込んだ。加恋はあきれ果てたように言った。「自分で調べなさい。全部分かってから、別れるかどうかをもう一度私に話しに来て。今すぐ人を手配してあなたを米本家に送り返すわ。この期間はおとなしくして、きちんとお父さんの喪に服しなさい」そう言うと、加恋は電話で人を呼び、梢を連れて行かせた。加恋は申し訳なさそうな顔でことはを見た。「篠原さん、本当に申し訳ないね。前は従弟の照義で、今度は従妹の梢か」照義のことになると、加恋は最初から恥ずかしそうに口をつぐんだままだった。慎之助
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第219話

隼人が携帯が入った箱をことはに手渡した。「明日、一緒にお寺に行こう」「はい?」ことはは一瞬その言葉を理解できなかった。「君は本当にツイてないよな」ことははようやく理解し、「自分だって被害者だし、どうしようできない」とでも言いたげな表情をした。「運が悪かっただけだ」ちょっと出かけただけで、毎回必ずと言っていいほど因縁をつけてくる知り合いに遭遇する。よく考えてみると、自分って本当にツイてないよね。たとえ大安の日に出かけても、どうせトラブルに巻き込まれるんだろうね。隼人は上着を脱いでことはに掛け、「行くぞ」と言った。「ダメです、まだ加恋さんに話さないといけないことがあるんです」「もう加恋さんには君を先に連れて行くと伝えてある」「でも腕時計を返さないといけないです」それを聞いて、隼人は首を傾げ、怪訝そうにことを見た。「腕時計を返すつもり?」ことはは腕時計を指さし、真剣な面持ちで隼人に聞いた。「神谷社長、この時計が12億円ほどするの知ってました?」隼人は頷いた。「こんな高価なものなのに、どうして事前に教えてくれなかったんですか?12億円ですよ!120万円でも1200円でもないんですよ!」ことはの声は思わず大きくなりかけた。隼人はことはが興奮する様子を見て、なんとか笑いをこらえた。ことはは上着を引き剥がすように脱ぎ、隼人の胸に押し付けた。「神谷社長、わざわざ携帯を届けに来てくれてありがとうございます。私は先に中に入っています」言い終えるや否や、ことはが背を向けたその瞬間、一つの腕がことはの首に回され、そのまま彼女は後ろへ引き寄せられた。「一度贈ったものを取り戻すなんて筋が通らない。それに、その腕時計は12億円以上の価値があるけど、加恋さんの命には到底及ばない。君なら受け取る資格がある」「違うんです、神谷社長。まず私を離してください!」ことはは隼人の手を払いのけようとしたが、びくともしなかった。「後ろから見られているぞ」隼人は首を傾げ、ことはの耳元で囁いた。その言葉を聞いて、ことはは背筋を凍らせ、やましさに頭を俯かせた。「では私の手を放してください」「放したらすぐ逃げるだろ」「逃げません」ことはに約束した。「信用できない」隼人はことはの手を離さず、エレベーターへと連れていった。車に乗り
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第220話

ことはは急いで警察署に入ると、ゆきはことはを見るなり、すごく悔しそうに立ち上がり、顔をことはの肩に預けた。来る途中でことははすでに事の経緯を把握していた。ことはの胸の中は怒りでいっぱいになっていたが、それ以上に申し訳ないの方が勝った。「新しい場所に店舗を移転しよう。今夜の件もきちんと仕返ししてあげるから」ゆきはふてくされたように言った。「前より広い店舗がいいな」ことはは返事した。「うん、必ず広くて、しかも一番いい場所じゃなきゃダメね」そう言いながらも、ことはの視線はちらりと隣で警察幹部と話す隼人を捉えていた。ことははゆきに「ここで待ってて」とだけ言い残し、踵を返してその場を離れた。そして無表情のまま、携帯を取り出してブロックリストから寧々を解除し、そのまま電話をかけた。電話がつながるのと同時に、寧々はイライラした口調で文句を言った。「頭おかしいの?夜中に電話してきて」ことはは冷たく言った。「寧々、私は100万人のフォロワーがいるXのアカウントを買うつもりよ。1時間以内に私の前に現れなかったら、謝罪文が書かれた誓約書と謝罪ビデオを全部ネットにアップするわ。翔真が私を拉致し、あなたが私を殺そうとしたことも全部含めてね」「来年のバレンタインに予定してるあなたたちの結婚式、無事に挙げれるかな?」その瞬間、電話の向こうで寧々が叫んだ。「私が何かしたっていうのよ!夜中に発狂してんじゃないわよ!」ことはは無表情で言った。「今から時間を計る。1時間後、森田フラワーショップで会いましょ」森田フラワーショップと聞いて、寧々は何の事かわかった。寧々は少し慌てたが、すぐに落ち着きを取り戻した。バレるはずがない。きっとクソ女のことはは自分を脅してるのよ。だが、ことはがビデオと謝罪文が書かれた誓約書を持っているのは事実だった。寧々は唇を噛みしめ、急いでベッドから出て、両親の元へ直行した。-森田フラワーショップの店内はもう悲惨だった。観賞用のガラスもドアのガラスもすべて粉々に割られていた。幸い、お店の外には、すでに広告が掲載されている大きな布がかけられていた。さもなければ見物客が絶えなかっただろう。ことはそれを見て、胸に押し込めていた怒りが爆発しそうになった。「この店舗の立地はあまり良くなくて、どちらかといえばゆきが長年顧客と築いて
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