隼人が撮影している間、ゆきも手を止めることなく、同じアングルでことはの顔の半分が入るように撮っていた。間もなく、隼人からセルフィーが送られてきた。ゆきは写真に目を通し、舌打ちを二度した。「まったく、ことはは本当にいい男を捕まえたな」写真を見終わると、隼人から多額の金額が銀行へ振り込まれ、備考欄には「ゆき、ご苦労様」と記されていた。ゆきは太ももを叩き、口を押さえて爆笑した。【苦労なんてしてませんよ】ゆきは手際よく2枚の画像をフォトショップで加工し、完璧に仕上がったのを確認すると、ことはの携帯を使ってその写真を涼介に送信した。ことはには少し申し訳ないが、後悔はしていない。涼介のあのクソ野郎が狂人のように怒り狂う様子が、ありありと想像できた。その頃。涼介は写真を受け取った瞬間、即座に携帯を粉々に叩きつけた。あまりの物音に、寧々が涼介がいる書斎のドアをノックした。「お兄ちゃん、大丈夫?今書斎からすごい音がしたけど、何かあった?」「出て行け!」涼介は怒鳴った。外にいた寧々は驚き、唇を噛むと、不機嫌そうに自分の部屋へ引き返した。涼介はすぐに冷静さを取り戻し、引き出しから新しい携帯を取り出して、ことはに電話をかけた。着信音は1秒で切れ、再びかけても話し中と表じされていた。涼介の怒りは再び爆発し、この新しい携帯もさっきの携帯と同じ運命をたどることになった。-今日は出勤する必要がなかったため、ことはは久しぶりに朝寝坊した。目覚めて携帯を確認すると、ことはは驚きのあまり携帯を投げ出しそうになった。何度も自分の携帯か確かめた後、例の写真をじっと見つめ、最後にゆきに電話をかけた。「ことは、起きた?」「この写真は一体どういうこと?」洗面所に立つことはは、鏡に映った紫がかったあざだらけの顔を見つめ、表情が歪んでいた。「フォトショップよ。礼はいらないわ」「ゆき、あなた図々しくなったわね。隼人の顔を別の男の写真に合成したの?!」ことはは、この写真が隼人の目に触れたらどうなるか、想像もつかなかった。何より驚いたのは、ゆきがこんな必殺技を思いついたことだ。「あ、違うよ。これは神谷社長本人の自撮り写真だよ」「???」「感謝はいらないわ、ことは。これはもう伝家の宝刀だよ!」「ゆ!き!」ことはが怒
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