とても綺麗だった。このドレスは、彼が高級ブランドの店で時間をかけて選んだもので、生地も仕立ても上等だった。けれど、蒼空がこんなにも美しく着こなすとは、まったく予想していなかった。予想外の美しさだった。オフショルダーデザインのおかげで、華奢で細い肩が柔らかな光を帯びて見える。滑らかな布地は少女のしなやかな身体のラインをなぞり、細い腰を際立たせながら床まで流れ落ちる。高く入ったスリットの隙間から、長く伸びた脚がちらりと覗く。小さな顔に、彼女はほんのりと口角を上げて皆を見渡した。その姿は、見る者の目を奪った。数年後の彼女がどれほど美しく成長するか、容易に想像できる。数秒間、人々のざわめきが消える。「待たせた?」蒼空が静かに口を開く。和人は瞬きをしながら前へ歩み出た。普段の柔らかな笑顔を浮かべて。「いや、ちょうどいいところだ」「それなら良かったです」蒼空は微笑んだ。無邪気で穏やかなその様子を見て、和人の胸の奥にある迷いや後悔がますます大きくなる。言葉を紡ごうとした瞬間、背後から肩を小突かれた。「関水さん、みんな舞台で待ってるぞ。早く上がれよ」声をかけた男は、ふざけた笑みを浮かべ、目の奥に企みを隠そうともしない。蒼空は何も気づかぬふりをして、悪戯っぽくウィンクした。「はい、すぐ行きます」そう言って、くるりと背を向ける。背中一面が露わになる。このドレスは背中が大きく開いたデザインで、両側を一本の紐で結んでいるだけ。細い背筋の上、柔らかな布地の下に浮かぶ美しい肩甲骨が、淡く際立っていた。少女の華奢な体つきが、かえって儚さを際立たせる。少しでも力を加えれば折れてしまいそうな、守りたくなるような柔さ。和人はその背を見つめ、思わず眉根を寄せた。その様子に気づいた隣の男が、からかうように笑う。「和人、みんなあの子の醜態を楽しみにしてるんだぜ。今さら迷うなよ?」「するわけないだろ」和人は苛立ち気味に言い返した。「なら安心だ。にしても......関水、意外といい体してんじゃねぇか。目の保養だな」男は肩を叩き、笑いながら言う。「ほら、早く行けよ。待ってたぜ」和人は歯を食いしばり、蒼空の後を追って舞台へ上がった。舞台の上。蒼空は視線を巡らせる
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