真衣は一瞬、立ち止まった。しかし、気がついた後、彼らが同じ部屋に泊まることに特に驚きはしなかった。何しろ萌寧は頻繁に礼央が住んでいる家に出入りし、かつて礼央と真衣が一緒に寝ていた主寝室で寝ているから、ホテルで一緒に泊まるのも当然なことだろう。ただ、真衣は彼らがこれほどまでに堂々と部屋を行き来することは予想していなかった。真衣は視線を逸らし、部屋のドアを閉めると、キャンプ場の方へ向かった。会社の酔っ払った同僚たちをそれぞれの部屋に送り届けた後、真衣はフロントでヨードチンキを受け取り、自分の部屋に戻った。部屋に戻ったのは22時過ぎだった。真衣がシャワーを浴びようとしたその時、部屋のドアベルが鳴った。真衣は眉をひそめ、沙夜か安浩だろうと思い、手にしていた着替えを置いてドアを開けた。ドアを開けると、翔太が着替えを抱え、気取った表情でこう言ってきた。「お風呂に、入れて」このおばさんには長い間、お風呂に入れてもらっていなかった。真衣の目が冷たく冴えた。「私のことなんだと思っているのよ?お風呂に入れてあげる?」真衣の冷たい表情にも動じず、翔太は言った。「パパとママは忙しいから、お風呂に入れてくれるのはおばさんだけなの。それに今夜はおばさんと寝るの」今夜はパパとママの邪魔をしたくなかったのだ。真衣は冷たい表情でドアを閉めようとした。翔太は真衣の腕の下をくぐり抜けて部屋に入った。翔太はベッドに座ると、「早くお風呂に入れて」と繰り返した。「おばさんは長年、僕のママの立場を奪ってきたんだから、僕に尽くして償うのは当然なことだよ。これはおばさんの借りなんだから!」真衣は鉄壁の心を持っているが、この言葉で胸が鋭く刺された。翔太は幼いながら、言葉には驚くほど棘を持っていた。真衣は心の底から翔太のことを愛し、全身全霊で翔太の成長を見守ってきた。しかし、翔太の目には母への愛のかけらもなく、単なる世話係としか映っていなかった。ますます、翔太を手放したのが正解だと真衣は確信した。他人の子は、どうやっても心が通じ合わない。その一方で、礼央は外山さんと夜を共にし、翔太を自分に押しつけて世話をさせる。なんて都合の良い考えだ。こんな露骨な侮辱をしてきて、自分を一体何だと思っているんだ?呼べばすぐに来て、追っ
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