All Chapters of 火葬の日にも来なかった夫、転生した私を追いかける: Chapter 151 - Chapter 160

おかしい。性格が変わったのか、それともまた何かつまらないことを企んでいるのか？萌寧が口を開いた。「真衣さんはお家で子供の面倒を見ないといけないし、みんながみんな病院に来るわけにもいかないし。それに私がすでにここにいるんだから」「そうだな」高史は口角を上げ、気だるげに言った。「ああいう女は、家で料理して子育てしてるのが一番お似合いなんだ。それぐらいの価値しかない人生なんだ」常陸を取り入れようとしたり、九空テクノロジーにすがって、自分の身分やステータスを上げようなんて、都合のいい妄想だ。自分自身の実力がどれほどのものかもわかっていないくせに。「常陸は本当に真衣が好きみたいだ」高史が突然言った。「この前、会社傘下のグループ会社で、常陸は自ら真衣を連れてきて、真衣がプロジェクトの責任者だって紹介したんだ」「真衣を持ち上げるためにそこまで話が進んでるけど、実力が伴ってないのは誰の目にも明らかだよな」高史は目を細めながら言った。「まさか二人の関係はすでに最後の段階まで進んでいないだろうな……」常陸は特に何も得しないのに、どうしてこんなに真衣によくしてあげるんだ？「ここまで不貞を働いているのに」高史は病床にいる礼央を見た。「礼央、お前は何も言わないのか？」礼央は静かにスープを飲んでいた。高史が真衣と安浩についてあれこれ推測するのを聞いていたが、礼央は気にも留めていないようだった。礼央は真衣が誰と一緒にいて、どんな関係になっているか、全く気にしていないようだった。高史は礼央の冷淡で興味なさそうな顔を見て、ついにこの話題をやめた。そりゃそうだよな。礼央は真衣のことなど最初から気にしてもいないから、真衣が誰と一緒にいようと、礼央には全く関係ないのだ。-昼休みの時間。真衣が試験場から出てきたところで、千寿江から電話がかかってきた。「真衣、礼央の様子はどうだった？お見舞いに行った？」千寿江は真衣を探るためにわざわざ電話をかけてきた。というのも、昨日千寿江は礼央と長話をしていた。どうやら礼央と真衣の間には、わだかまりがあるようだった。真衣は少し躊躇って、目を伏せた。「うん、大丈夫そうみたい」真衣は適当にごまかした。千寿江は笑った。「実家で煮込んだ鶏のスープがあるけど、礼央に届けてくれる？」

慧美は真衣が近づいてくるのを見て少し驚いてた。「どうして……」「私が来なかったら、ずっと私に隠し通すつもりだったの？」「だって真衣は自分自身のことで精一杯でしょ」慧美は深く息を吸い込んだ。「母親として、真衣にずっと迷惑をかけるわけにはいかないし、何せこんなことは自分で解決できるわ」「携帯を返してちょうだい、もう何通か返信するから」真衣は目を赤くして慧美を見た。「安心して体を休めて、私が解決するから」「お母さん、どうしてここまでして会食に参加したの？」慧美の目頭は熱くなり、彼女は鼻をすすりながら窓の外を見た。「修司が病気になって、会社は支えを失ったから、私が踏ん張らなきゃいけない。修司の治療にはお金がかかるし、あなたは今離婚するって言ってて、そっちもあれこれお金がいる。千咲も一緒じゃ、出費も小さくない。もし私まで耐えきれずに倒れたら、あなたはどうするつもりなの？」慧美は深く息を吸い込み、顔を覆って泣きじゃくった。「私はあなたの母親よ、もちろんあなたには幸せでいてほしいし、負担をかけたくないの」「このプロジェクトが失敗したら、何十億もの借金を抱えることになる。あなたまで巻き込みたくないの」真衣はこれらの話を聞き、胸の奥で感情が複雑に絡み合った。前世では、お母さんの会社が業績不振だったにも関わらず、会社は決して自分に助けを求めず、修司が体を壊すまで、ただひたすらもがき苦しんでいた。自分は何も知らなかった。病院でお母さんに会わなければ、今でも修司おじさんが癌だとは知らないままでいたかもしれない。真衣は今、呼吸をするたびに心臓が押しつぶされるような感覚に襲われた。前世の自分は、高瀬家の世話をすることに心身ともに振り回され、自分の身の回りのあまりにも多くのことを見落としてしまっていた。自分はずっとお母さんの会社の業績はまあまあいいと思っていた。「お母さん……」真衣は深く息を吸い込んだ。「私たちは家族なんだから、この問題は私が解決する」言葉だけでは説得力はない。自分が行動で示す時がきた。-慧美は手術室に運び込まれ、真衣は外で待っていた。1時間以上かかった手術は無事終わり、慧美は手術室から出てきた。慧美は病室に運ばれ、真衣は付きっきりで世話をした。ただ、病院の病床数は限られており、慧美た

フライングテクノロジーがどれだけ危機的な状況にあっても、会社の仕組み自体は整っているから、手に入れる価値はある。資金繰りがしっかりしていれば、フライングテクノロジーは完全に再生可能だ。今、フライングテクノロジーは危機に瀕しており、お母さんはそのせいで胃出血を起こしてしまった。一方、礼央はこの時、スマートクリエイションが次々とプロジェクトを獲得したことをお祝いするパーティーで彼らと祝杯を上げていた。なんて皮肉なものだ。礼央たちは、ただ私的な恨みをそのままビジネスの場に持ち込んだに過ぎない。真衣はパソコンを置き、「ちょっと出かけてくる」と言った。-真衣は礼央の病室の前にきた。湊が病室の入り口で見張りをしていて、真衣が来るのを見ると、すぐに近寄った。「奥様——」「高瀬社長のお見舞いに来られたのですか？」真衣は黙って湊のことを一目見た。湊は軽く唇を噛み、真衣から以前とは明らかに異なる態度の変化を感じ取った。それでも湊は口を開いた。「奥様、高瀬社長は今お休み中です。外山さんから、邪魔をしないようにと言われています」「もしどうしても高瀬社長とお話があるなら、早めにお願いします。外山さんはすぐ戻ってきますから」真衣はこれらの言葉を聞いて、実に滑稽に思えた。湊はまるで、萌寧のために礼央の周りに女の影があるかどうかを見張っているみたいだった。まだ離婚する段階でもないのに、どうして自分はまるで不倫相手のような扱いを受けなきゃいけないのか？「礼央は私に会いたくないって言ったの？」湊は眉をひそめ、目を伏せた。「いいえ」だが、礼央は一貫して萌寧には特別に接していた。湊は誰の言うことをより聞くべきか分かっていた。ただ今の状況では、湊も真衣をこれ以上止めるのは難しいと感じた。真衣は病室に真っ直ぐに向かってドアを開けた。礼央は物音を聞き、パソコンから視線を外し、わずかに頭を上げた。礼央は真衣が何も持たずにやって来るのを見た。礼央の表情に変化はなく、淡々と視線を逸らし、一言も発することもなければ、何か尋ねることもなかった。礼央は再びパソコンの方を向いて仕事に取り掛かった。礼央の右手はひどく怪我していたので、ほとんど左手でパソコンを操作していた。真衣は冷たく無関心な瞳で、冷淡な礼央をじっ

その人自身が最大のリソースでない限りは。一時的に助けることはできても、一生助けることはできない。リソースを与えても握りしめることができず、いずれかは沙のようにパラパラと掌からこぼれ落ちる。萌寧は深く息を吐いた。時として礼央の決断は確かに冷酷なものだと気づいた。幸い、礼央の冷酷さは自分に向けられることはなかった。-真衣は慧美の看病をしていた。その後、真衣は家に戻って千咲の世話をし、千咲を寝かしつけた。真衣はパソコンを開き、フライングテクノロジーが進めているプロジェクトのリソース一覧を開いた。実はAI医療アシスタントのプロジェクトは非常に先見性がある。以前、スマートクリエイションに最初に引き抜かれた下請け工場は彼らとの協力を拒否した。そこで真衣は海外の工場を探し出し、今は数社の協力先が必要になっている。同規模の協力先なら2～3社必要だが、大企業であれば1社で十分だ。この日の夜、真衣はフライングテクノロジーが現在確保しているすべてのリソースとその不足分を一覧にまとめていた。AI医療アシスタントのプロジェクトは進行中だったが、資金調達が途切れて進捗もかなり遅れているため、母親が別荘を担保に入れて銀行から4億円を借りた。この4億円も一時的にしか持たない。だからこの期間内に、真衣は協力先をしっかりと見つける必要がある。真衣は関連業界にいる知り合いの社長たち全員に協力依頼のメールを送った。翌日の早朝。真衣は慧美と千咲の朝食を作り、千咲を幼稚園に送った。しかし、最近真衣は気づいていた。千咲が最近登園を嫌がり、毎回ぐずぐずして行きたがらないことを。今も幼稚園の入り口の前で、千咲は振り向いて真衣を見つめている。真衣は眉をひそめ、しゃがんで千咲を見た。「どうしたの？幼稚園楽しくない？誰かがいじめてるの？」千咲は目を伏せた。「いや、ただ最近勉強するのがちょっとだるいだけ」真衣は千咲を見つめた。「もし誰かにいじめられたり、嫌なことがあったら、必ずママや先生に言うのよ、わかった？」真衣は手を伸ばし、娘のおでこの温度を確かめた。熱はなかった。真衣は心配しながら、「体のどこかが気持ち悪いの？」と尋ねた。千咲は首を振った。「大丈夫だよ、ママ。ただ昨日の体育の授業でちょっと疲れちゃっただけ」「わ

ここまで言ってくるということは、この協力先がいかに重要かがわかる。真衣は安浩を見て尋ねた。「どこの会社なの？」「バンガードテクノロジーだ」真衣は少し戸惑いながら聞き返した。「バンガードテクノロジー？彼らはこの業界の老舗企業で、すでにトップまで上り詰めたのに、私たちと組むの？」「バンガードテクノロジーはこの業界の老舗企業で、業界のトップに立てたのもそれなりの理由がある」安浩は机にもたれかかりながら、淡々と口を開いた。「彼らは自分たちの考えに固執しない。業界の古株でありながら、常に新しい血を取り入れることを大切にしている。どこかの会社が成果を上げたと聞けば、必ず協力を持ちかけてくるんだ」何せ、テクノロジー業界は進歩が速いからな。正確に言えば、わが国のテック業界は出遅れており、まだ伸びしろが十分にある。「バンガードテクノロジーは君が先月開発した特許を目当てに来る」「あの特許？」真衣は眉をひそめた。「バンガードテクノロジーなら簡単に作れるでしょ」あの特許は中小企業向けに開発したもので、ただの小銭稼ぎに過ぎない。「違う。バンガードテクノロジーにも作れるが時間がかかる」安浩は真衣見て笑った。「君は違う。君は速い」前回、国際宇宙設計大会が開催された会場で、バンガードテクノロジーから連絡があった。バンガードテクノロジーは明らかにすでにターゲットを定めている。「午後には戻ってくるから」安浩は頷いた。「あまりプレッシャーに感じないように」真衣は微笑んだ。「プレッシャーがなければ殻は破れないよ？」プレッシャーは時として悪いものではない。真衣は九空テクノロジーからフライングテクノロジーへ向けて出発した。真衣は慧美の代理として、フライングテクノロジーで株主会議を開いた。株主たちは真衣に納得していなかった。真衣は壇上に立ち、株主たちを冷静に見つめながら書類を投げつけた。「よく中身を見てください。会社の存亡の危機において、役に立てなければ今すぐ出て行ってください」株主がただ黙って座って、何もせずに見ているだけなんてあり得ない。何も行動しないなんてことはないはずだ。真衣はフライングテクノロジーの株主たちにプレッシャーをかける必要があった。午前中いっぱい、真衣はフライングテクノロジーで、株主たちと共に問題解決