その時、翔太が部屋の奥から連れ出された。その顔には、恐慌の色が浮かんでいる。「どういうこと……パパ、僕を捨てるの?」翔太は懇願するように礼央を見つめる。「どうなったって、パパは僕のパパだよ。僕を捨てないで。僕は高瀬家の息子だ。他のどこにも行きたくない」礼央は、翔太に視線を落とす。「とっくに、自分で選んでたはずだろ」翔太は、その瞬間、わっと泣き出し、目には涙が溢れている。「違う、嫌だ!萌寧ママが言ってた、僕は高瀬家の後継者で、将来大金持ちになるって!ここから離れたくない!」「ガキのくせに、大それた夢を見やがって」友紀の表情が一瞬で険しくなる。「長年、高瀬家が後継者として育ててあげたのに、あっという間にあの母親側につく。血の繋がりもないくせに、まだ後継者になろうと妄想するなんて。世の中に、タダ飯なんてないのよ」翔太は、胸が張り裂けんばかりに泣き叫ぶ。「おばあさん……僕のこと一番好きで、一番愛してくれてたよね?こんな時に僕を捨てないで。パパもおばあさんも僕を捨てるの?僕、頑張って勉強するから。将来は絶対に、みんなの力になるから……」翔太は、ただわんわんと泣いている。千咲は真衣の傍らに立ち、その光景を目の当たりにしている。高瀬家で最も愛されていた翔太が、こんな末路を辿るとは、想像もできない。そして千咲自身、元々パパの愛情を得られず、ママと去る時でさえ、パパはここまで冷酷な仕打ちはしなかった。千咲は眉をひそめ、眼前の光景を見つめている。幼い千咲にはまだ分からないことばかりだが、目の前で起きていく出来事の衝撃はあまりに大きかった。しかし心のどこかで、妙な爽快感を覚えている。家にいる時、翔太はいつも自分のものを奪い取ろうとする。食べ物もおもちゃも、家族の愛情も、すべてを独占しようとする。学校の成績だって、翔太は一番でなければ気が済まず、自分に譲るよう要求する。今日の結末は、翔太とあの萌寧さんが招いた、自業自得の結果なのかもしれない。桃代が翔太を引っ張る。「おばあちゃんのところへおいで。もっといい生活をさせてあげるから」桃代は冷たい表情を浮かべ、すぐに真顔に戻る。命あっての物種だ。高瀬家で長年育てられた翔太は良い子だ。成長すれば、必ず萌寧を超えるだろう。翔太を連れて海外へ行き、そこで
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