理恵はそのまま弾んだ調子で、景凪をクラスの保護者専用グループチャットへと招待した。何しろ辰希は、この特別進学クラスの中でも抜きん出た「天才」だ。その実母である景凪が参加したとあって、画面の中は瞬く間に歓迎のメッセージで埋め尽くされた。その熱烈な反応に、景凪が少し圧倒されていると、担任の松岡先生が教壇に立った。今日の親子レクリエーションのメイン会場は校庭だが、その前に教室でウォーミングアップの時間を設けるという。集まった保護者たちの緊張をほぐし、親睦を深めるための趣向だ。一般的なクラスなら伝言ゲームや合唱といったところだろうが、そこは特別進学クラス。用意されたのは、知力と瞬発力が試される「知能クイズ対決」だった。隣同士の親子がペアとなり、先生が出題する難問に早押しで答えていく。正解すれば一点加点、不正解なら一点減点。最も得点の高かったペアには、ささやかな景品が贈られるというルールだ。ルールを聞くやいなや、啓明は満面の笑みを浮かべた。「母さん、僕たち絶対に優勝できるよ!」それを聞いた理恵も、これ以上ないほど明るく笑う。「やったわ!私、学生時代から『一番』なんて一度も取ったことないのよ。うちの夫は頭がいいんだけど、機密組織だかなんだかにいて、こういう場には顔を出せなくてね。この知能クイズ、息子の足を引っ張るんじゃないかって冷や冷やしてたの。でも、私たちのペアには本物の天才が二人もいるじゃない!もう勝ったも同然だわ!」理恵と啓明は、期待に満ちたキラキラとした瞳で景凪と辰希を見つめた。景凪は思わず吹き出し、微笑み返した。「……ええ、足を引っ張らないように頑張ります」松岡先生が用意した問題はジャンルも幅広く、難易度も徐々に上がっていく形式だった。最初はどのペアも勢いよく手を挙げていたが、後半になるにつれて挙手する親子の数は目に見えて減っていった。そんな中、理恵と啓明はすっかり応援団に回り、景凪と辰希に手で風を送りながらエールを送っていた。結果は言うまでもなく、景凪と辰希の圧勝だった。手堅く得点を重ねトップを独走した彼らのおかげで、理恵たちは文字通り「何もしないまま」優勝をかっ攫った。景品として配られた小さな金メダルを受け取り、理恵はホクホク顔でスマートフォンを取り出した。「ああ、嬉しい!私も特別進学クラスで金メダルを取るお
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