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91

といっても時間になれば仕事モードONになっちゃうわけで… 「わぁ~織田先輩今日はめっちゃキレ~。写真お願いしま~す」 なんて言われれば 「はいは~い」 って答えて昨日と同じパターン。 習慣というものは恐ろしいものだ… 「蒼樹、お前化けたなぁ」 「写真撮ろうぜ」 なんて先輩たちからも言われて… 「はいは~い」 俺は昨日と同じでいろんな人たちと写真を撮っていった。 先輩や後輩。気が付けば一般公開に来てる人達まで… あれ?なんでだろ? なんて思いつつも習慣とは怖いもので、呼ばれれば返事をして写真を撮りまくってた。 「あー!そーちゃん!」 なんていいながら突進してくるのはまーくん。 「まーくん、おはよう」 いつもの様に突進してくるまーくんを受け止めて、抱きしめて挨拶をする。 「俺も写真撮っていい?」 なんて嬉しそうに言われる。断れるわけがない。この輝いてキラキラした笑顔に… 「いいよ。じゃぁこっちね?拓海は?」 一応、拓海にも訊いてみる。 「おっ、そうだな。記念記念」 なんていって傍に来る。結局この二人と一緒に撮った。 イヤ、メンバー全員と撮ったんだけどね…なぜだか翔太とも… 「そーちゃん化けたねぇ~すっごくキレイだよ~」 まーくんが俺の顔をマジマジと見る。 「それは褒めてるのかな?」 「うん」 俺が聞けば、満面の笑みで返事をしてくれた。なんかすっごく複雑… 不意に廊下がざわつく。時計を見ると生徒会の見回り時間で… ヤバイ、ヤバイ… 非常にヤバイ… このままじゃ見つかる。 「あ~織田くん、今日は一段とキレイじゃん」 見つかった… 「へぇ~こりゃすごいな」 ヤバイって… 「見事な化けっぷり」 もぉ~いやぁ~ 「今日はチャイナなのか」 拓ちゃんの楽しそうな声。この人たち絶対楽しんでるよ! 「ねっ、今日も撮ろうよ」 なんて雅はさっさと俺を引っ張っていく。 えぇぇぇ~!! こうしてまたもや生徒会との写真が撮られたのである。 しかもちゃっかり拓ちゃんは俺と二人っきりの分も撮ってました。まる。俺の分もくれたよ。 「蒼樹、休憩どうする?」 美咲ちゃんが聞いてくるから 「あ~…昨日と一緒でいいよ」 そう答えといた。今日は大丈夫。
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俺たちはゆっくりと階段を上っていくんだけど 「うわぁ」 俺がドジって足を滑らせて落ちそうになったのを拓ちゃんが抱きとめてくれた。 ドキドキと伝わってくる鼓動。そっと俺はその背に腕を回した。 「大丈夫か?」 「うん。ありがとう」 俺の返事に拓ちゃんはホッと息を吐き、ちゃんと立たせて屋上の扉を開けて二人で外へと出た。 なにもない殺風景な場所。ここに二人で来てたんだよね… 俺は小さく息を吐き拓ちゃんの方に向き直る。 「昨日のこと聞いたんだろ?あれ全部、俺がやったんだ。俺の中にはあんな野蛮な奴がいる。いつ人を殺してもおかしくないし、いつでも人を殺せる。それでも拓真はこんな俺のことを好きだと言えるのか?」 これが俺の決心。 でも…本当の俺はもっと酷いから… それでもあなたが俺のことを好きだといってくれるのなら… あなたの前で本当の俺を曝け出してもいい… 「好き…拓真が好き…」 拓真が見られなくて俯いて俺は呟いた。 ダメならもう諦めるから…だから…お願い…ちゃんと答えて… 拓ちゃんの手が優しく頭を撫でる。驚いて顔を上げれば頬を撫でそっと塞がれる唇。触れるだけの優しいキスをして 「知ってた。本当は全部、知ってた。お前の隠してる部分を全部知ってる。それでも俺は蒼樹が好きだ。それじゃダメか?」 静かに告げられる。 俺を全部?知ってた?いつ?どこで? なんで知ってるの?この言葉を俺は信じてもいいの? それでも俺は…俺はこの人が好きだから…この人が欲しい… 俺が驚いたまま何も答えないでいたら 「もう戻ろう。生徒会の仕事もあるし休憩の時間も終わりだからな」 拓ちゃんが時計を見て言う。 「うん」 やっとそれだけには返事をした。 「蒼樹、おいで」 拓ちゃんが両手を広げてくれるからその胸に俺は飛び込んだ。ギュッと抱きしめてくれる。 「心配しなくていい。お前はお前のままでいいんだ。全部ありのままのお前を受け入れるから…受け入れる自信があるから…さてと、迎えもきたかな?」 拓ちゃんはそっと俺を放し扉を開ける。階段の下にはまーくんと拓海。拓ちゃんは俺を二人に渡し 「悪いけど頼む。誰かが声をかけてきても無視をすればいい」 いう。 「わかった」 「じゃぁ、連れてくよ」 二人も頷き返事を
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『お疲れ様でした。文化祭はこれにて終了します。各自片付けをお願いします』 その放送に現実へと戻される。 「先輩ありがとう~」 「楽しかったで~す」 なんて言いながら俺の周りにいたやつらが戻っていく。それを見送り俺は溜め息をつく。 「ほら、俺たちも戻るぞ」 その言葉に振り返ればクラスのやつらがいた。 「まだ片付けがあるんだっけ?」 なんて聞きながらみんなと一緒に教室に戻りだす。 「教室に戻ってもほとんど片付けるものないけど」 なんて言葉が飛んでくる。 「あっ、そうなんだ」 撮影ばっかしてたから知らないや。 教室に戻れば確かに片付けるものは少なかった。恐るべしA組。 「織田や、まだ着替えてないやつは着替えていいぞ」 なんて言われるから俺たち女装組はいそいそと着替え始める。 着替え終えて見回せばもう元の教室に戻ってた。 はえぇなオイ! 俺は牧野にメイクを落としてもらってすっきり。 「お疲れさん、今回の売り上げは、最初に言った通り生徒会に寄付するからな。で、写真代の方だが、思った以上に人が入って予想以上の収益が入った。これも半分は寄付しようと思うんだがどうする?特に織田、お前の意見が訊きたいんだが?」 山根が言うけど俺はボーっと外を見てて話を聞いてなかった。 「このバカ」 翔太くん必殺のデコピンが炸裂して我に返った。 「いてぇ…ごめん、なんだって?」 額を撫でながら山根に聞き返せば 「写真の方に収益がかなりあるからそれも半分寄付しようかと思うんだがお前はどう思う?」 同じことをもう一度いってくれる。 「みんなが遊べる分だけ残して寄付していいよ。明日は休みだし、例の如く遊ぶんでしょ?俺はそれでいいよ」 みんなが遊べる分があればそれでいい。 「じゃぁ決まりだな。他に意見はあるか?」 山根の言葉に反論はない。 「以上、これで解散だ。織田は悪いけど生徒会に持って行ってくれるか?」 山根に言われる。 「了解。翔ちゃん俺に付き合ってぇ~」 山根の傍に行き箱を貰って答えて翔太に言えば、すでに俺の分のカバンも持って後ろにいた。 「うわぁ、早いのね」 俺が驚けば 「さっさと行くぞ」 なんていう。うん、わかってる。俺が限界なの… 「ほいじゃぁみんな明日ね
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俺はというと左に拓ちゃんで右に翔ちゃん。挟まれて帰ってるんだ。 俺は突然、二人の腕を抱きしめた。 「おわぁ」 「おっと」 突然のことで驚く二人に 「ふふふ。二人とも大好き」 俺がそう告げたら二人に頭を撫でられた。 翔ちゃんが好き。拓ちゃんも好き。 どっちも失うことができない大切な人。 でも…でも俺は…闇に染まりすぎてる… だから…二人の傍にいない方がいいのかもしれない… 「ありがとう。またね」 俺は二人に家まで送られてきた。 「明日6時に迎えに来るからな蒼樹」 別れ際、翔太に言われて 「あ…クラスの打ち上げがあったんだ。忘れてた」 そのことを思い出す。真剣に忘れてた。 「だと思った。迎えに来るからな。じゃぁ、おやすみ」 翔太は軽く俺の頭を叩き帰っていく。 「翔ちゃんまた明日ねぇ~」 俺がそう言えば翔太は手を上げて返事をする。 俺は翔太が家の中に入ったのを確認してから拓ちゃんの胸に抱きついた。 拒まれたのならそれでもいい。これで最後にするから… 「どうした?」 優しく抱きしめ返され問われる。 「ううん。…ただ…こうしたかっただけ…」 本当の俺を知って離れないというのなら…本当の愛をください… この瞬間を俺にください…あなたの愛をください… もっと…もっと…俺にください… 「蒼樹、心配しなくてもいい。明日みんなと遊ぶなら身体を休めた方がいい」 優しく俺の頭を撫でてくれる。 「…傍に…いて…」 本当は無理だってわかってる。わかってるのに…でも言っちゃう… 「明日の昼までな。昼からは俺も実家に戻らなきゃいけないから」 小さく笑って拓ちゃんは俺の額にキスをくれる。 「い…いいの?」 自分で言っときながら聞いちゃった。 「あぁ。昼までしかいてやれないけど、それまでなら蒼樹の傍にいてやれるから…だから中に行こう」 拓ちゃんはそっと頬を撫でて家の中に入るように促してくる。俺は頷き家の中に入り自分の部屋に向かう。 部屋に入れば拓ちゃんはブレザーを脱ぎネクタイも外しボタンを何個か外しベッドに腰掛ける。自分もブレザーを脱ぎ捨てネクタイも外して拓ちゃんに飛びついた。 そのままの勢いで二人でベッドに倒れ込みギシリとベッドが悲鳴を上げるけどかまうものか。
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「…ん…んん…拓?…拓ちゃん?…」 目を醒まして名前を呼んでみるけど返事がなくて… 「拓真!」 急に襲いくる恐怖と不安。慌てて飛び起きて探そうとしたらテーブルの上に紙が置いてあるのに気がついた。 「なに?」 恐る恐るそれを取って読めば拓ちゃんからのメッセージだった。 『蒼樹へ 急に実家から電話がかかってきて予定よりも早く帰らなきゃならなくなった。起こそうと思ったんだが気持ちよさそうに寝てるから起こすのがもったいなくて起こさずに行く。今日はみんなとの打ち上げなんだろ?楽しんで来いよ。後、勝手に鍵を借りていく。開けっ放しで行くのは不用心だったからな。今度返すから借りとくな。 拓真』 「気にせずに起こしてくれればよかったのに…寝てた俺が悪いんだもん…」 でも…でも嫌われたわけじゃなかった… 手紙を置いて時計を見ればまだ少し時間があった。 「ん~、シャワー浴びよう~っと」 俺は着替えを取りに行きバスルームに向かいシャワーを浴びた。 頭を拭きながらリビングに戻って時計を見る。 「6時に集合だったらじきにくるか…」 もう一度、自分の部屋に戻って財布と携帯をポケットに入れる。 「あっ…鍵…」 鍵を取ろうとして拓ちゃんが俺の鍵を持っていったのを思い出した。 スペアでいいか。 リビングに戻ってテレビの横にある棚の引き出しを開ける。鈴のついた鍵。母が使っていたもの。親父は結局、置いては行かなかった。 「このままでいいか…」 鈴を外すのが面倒なんだよな~っと ピンポ~ン 不意に鳴るインターフォン。 ありゃ?もう時間? 「はいはい」 玄関に行きドアを開ければ、そこにはやっぱり翔太がいた。 「よぉ、そろそろ行こうぜってお前まだ髪の毛濡れてんじゃねぇか」 翔太は俺の姿を見て言う。 「あ~、いいよ。いこ」 俺はタオルを階段に置いて靴を履き、外に出て鍵をかけた。 そして翔太と一緒に集合場所へと向かった。 ホントはあまり気乗りしないけど… 俺と翔太が最終組だったらしく、みんな集合してた。 「あら、早いのねみんな」 俺が呟けば 「そりゃぁ遊ぶためだもん」 なんて返事が返ってきた。あはは、やっぱりね。 「じゃぁ、移動するぞ」 山根のその言葉ととも
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しばらくして 「織田くん寝てるの?」 そんなヒソヒソ声が聞こえる。本気で寝てるわけじゃないから聞こえて当たり前なんだけどね。 「ちょっと疲れたらしいからさ」 「大丈夫なの?」 翔太の言葉にそう聞いてる。 お願いだから邪魔をしないで… 俺は少しだけ握りしめている翔太の手を強く握る。それに反応するように強く握り返される手。 「大丈夫だ。少し休みたいって言ってただけだから。すぐに起きて騒ぎ出すって」 翔太はいつもながらうまくフォローしてくれる。それを聞いて会話が途切れた。 「蒼樹、そろそろ起きろよ」 30分後、翔太が俺の耳元で囁く。起きて参加させるために。 本当は起きたくないけどそうは言ってられないから仕方なく起きて、1曲だけでも歌うために選曲を始めた。 適当に歌って、後はただみんなの歌を聴いてた。 翔太も適当に何か歌ってる。みんなノリノリで歌って騒いでる。俺はソファの背に凭れてそんな様子を眺めてた。 俺だけが取り残されてる。入り込めない世界… ねぇ…そこはそんなにも楽しいの?ねぇ…本当に楽しいの? あぁ…ダメだ…闇の俺が顔を出す…全てを壊してしまいたくなる… 俺は誰にも気づかれないようにそっと部屋を出た。そのまま傍の壁に凭れて溜め息をついた。 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、誰か俺を止め…誰か俺を殺して… 誰か…ねぇ…拓真…あなたの手で俺を殺して… こんな俺を…殺して… 「大丈夫か?」 その声に顔を上げれば翔太が覗き込んでた。 「ヤバイかも…だから抜けた…」 「帰るか?」 俺の言葉に小さく息を吐き聞いてくるけど俺は首を振る。 「大丈夫…抑え込んでるから…それに俺がいなきゃ困るでしょ?俺も込みの打ち上げなんだし…」 本当は一刻も早くこの場所から逃げ出したい。でも…そんなことはできないから… 「まぁそうなんだけどな。もう終わりみたいだぞ」 翔太は部屋の中の様子を見て言う。 「おっ、いたいた。次に行くけど大丈夫か?」 山根が部屋の中から顔を出し俺たちに聞く。 「だいじょうびだよ~ん」 俺はなんともない振りをして答える。余計な心配とかさせたくないしさ。 「おし、じゃぁ移動するぞ」 その声でまたゾロゾロと移動開始。 俺たち行きつけのお好みや『
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~♪ 電話? 誰? 俺は携帯のディスプレイを見て驚いた。そして急いで出た。 「もしもし」 だって拓ちゃんだったから… 『蒼樹? 昼間は悪かったな』 あぁ、やっぱり逢いたいよ… 「うぅん。大丈夫。ごめんね俺が寝ちゃってたから…」 寝てたほうが悪いんだもん。 『やけに静かだけど一人なのか?』 あ…そっか…知ってたっけ… 「うん、そう」 隠してても仕方がないよね。 『終わったのか?』 どうかな? 「うぅん。食欲なくてさ…俺だけ抜けたんだ…」 じゃなきゃ壊してしまいそうだったから… 全部、跡形もなく壊してしまいそうだったから… 『今…どこにいるんだ?』 なんで聞くの? 「……」 どうしよう… 『蒼樹?』 あ…言わなきゃ… 「いつもの…いつもの場所…」 ねぇ…逢いたいよ…あなたに逢いたいよ…もの凄くあなたに逢いたい… 『まだその場所にいるのか?』 どうしてそんなことを訊くの? 「…うん…そのつもりだけど…」 逢いたいよ…あなたに… 『じゃぁ、もう少しそこにいてくれないか?』 どうして? 「どうして?」 ねぇ…どうして? どうしてそんなこと言うの? 期待してもいいの? 俺に逢いたいって… 『俺も今、帰ってる途中なんだ。それに…』 それに? 「それに? …それになに?」 ねぇ…それになに? 『逢いたい。イヤか?』 …っ… 「…たい…逢いたいよ…拓ちゃん…」 どうしてあなたは俺の欲しい言葉をくれるの? どうして俺の心を見透かすような言葉をくれるの? どうして? どうしてあなたは俺の気持ちが判るの? どうして… 『もう少ししたら着くから待っててくれるか?』 待ってる…あなたが来てくれるのなら…いつまでも… 「うん。待ってる」 何時間でも待ってる…あなたに逢えるのなら…ここで待ってるよあなたが来るまでずっと… 『後、5分ぐらいで行けるから後でな?』 うん… 「うん。わかった」 俺の返事を聞いて電話が切れた。 「嘘みたい」 ねぇお前が叶えてくれたの? そっと月を見上げる。 「俺の気持ち…お前にはわかってたの?」 なんて聞いたって答えなんて返ってこないけどさ… 冷たく輝く月はじっと俺を見下ろしてる。 俺はずっと地面を見
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「せめて言葉で言ってよ…俺が必要じゃないなら…」 こんな風に置いていかないで…言葉で別れを告げて…そうすれば決心がつくから…期待しなくてすむから… もう傍に寄らないから… 俺は小さく息を吐きバスルームに行き服を脱ぎ捨てて頭からシャワーを浴びた。 これなら涙も隠せるから… 「…っ…」 暫くシャワーを浴びていたけど俺は外に出てタオルで身体を拭きバスローブに身を包みベッドへと倒れ込んだ。 何もする気ないや…また失恋しちゃったんだね…本気だったのに… 本当に好きだったのに…これで終わりなんだ… ベッドの上で動くのも嫌で倒れ込んだままボーっとしてたらガチャって扉の開く音が部屋の中に響いた。 俺はずっとそのままの姿勢でいた。 もう動くのも嫌だよ…相手を確認するのも嫌だよ…期待して裏切られるのが嫌だよ… もぉ…嫌だ… 「蒼樹?」 傍に来た拓ちゃんが俺の顔を覗きこみ名を呼ぶ。 その声で俺を呼ばないで…冷たくするならもう呼ばないで…お願いだから… 拓ちゃんの長くてキレイな指が俺の目元を拭う。 「ごめんな。晩飯を食べてないっていうから買いに行ってたんだけど…食べられるか?」 拓ちゃんが聞いてくる。 「…らない…いらない…」 食欲なんてないよ…食べたくない… 「蒼樹、泣く必要なんかないから…俺はお前を置いていったりはしないから…」 拓ちゃんの手が優しく俺を撫でる。 「…嘘つき…置いてったじゃん…俺が必要じゃないなら…ちゃんと言葉にして…」 その方が決心がつくから… じゃなきゃ…俺… 俺…変に期待しちゃうから…戻ってきてくれるって… 傍にいてくれるって…だから… 俺が必要じゃないなら…必要じゃないなら… ちゃんと言葉にして…俺がいらないと… あなたの口で…言葉にして教えて… 「蒼樹、俺はお前が好きだ。お前が俺には必要なんだ。だからずっと傍にいる」 拓ちゃんは強引に俺を起こして抱きしめる。それがちょっと痛かったけど俺はその背に腕を回した。 そしたら力強く抱きしめられた。 窒息するんじゃないかってぐらい強い力で… 「…っ…ぅ…拓ぅ…たく…まぁ…っ…傍に…いて…っ…ぉれ…を…っ…一人に…しな…ぃで…ぅ…」 こんな事願っちゃいけないってわかってるのに…勝手
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カチッ 拓ちゃんのジッポの音で目を醒ました俺は視線だけを拓真に向ける。 ベッドの端に腰掛けた拓真はすごく…ものすごく真剣な顔をしながらタバコを吸ってた。 俺はそんな拓ちゃんを見るのが怖くて腰に抱きついた。 ねぇ…本当は後悔してるの? 本当は俺のこといらないの? 本当は…俺なんて必要ないんでしょ? そうなら そうと言って。もうあなたに触れないから… もうあなたに抱かれないから…もうあなたに甘えないから…もうあなたに逢わないから… だから…だからハッキリと言って…あなたのその口で… 「どうした蒼樹?」 拓ちゃんはそっと優しく俺を撫でてくれる。 「…な…に…考え…てた…の?」 あぁ、喘ぎすぎで声が嗄れてる… 「お前のこと…」 拓ちゃんの言葉にズキリと胸が痛む。 あぁ、やっぱり…俺は誰にも必要とされてないんだ… あなたも俺のことを必要とはしてくれないんだね… 「そっか…お別れ…しよっか…」 俺は拓ちゃんから離れる。付き合ってもないけど別れようよ。俺が必要ないのならさ。 拓ちゃんはタバコを消し灰皿を持ってテーブルの方に行きテーブルの上に灰皿を置くとビニールの袋の中からペットボトルを取り出しそれを持って戻ってくる。 「そんなことを考えてたわけじゃない」 蓋を開けて俺に差し出す。 「じゃぁ…なに?」 俺は身体を起こし座るとそれを受け取り少しだけ飲む。それだけで喉が潤う。 「本気で蒼樹が好きだなって…」 拓ちゃんは俺の隣に腰掛けると俺の手からペットボトルを取り上げ蓋をしてサイドボードの上に置き俺を強く抱きしめてくる。 「傍…傍にいてもいいの俺?」 俺の問いに答えるようにもっと強く抱きしめられる。 「終わりになんか出来ない。俺にはお前が必要だから、だから俺の傍にいてもいんだ蒼樹」 拓ちゃんの言葉を聞き俺の瞳からまた涙が零れ落ちる。 なんでこの人は俺の欲しい言葉をくれるんだろう? なんでこの人はこんなにも俺を喜ばすのが上手いんだろ? ねぇ…なんで? なんであなたはそんなにも優しいの? なぜあなたは…何故… 「相変わらず泣き虫だな。まぁ、そんな所も好きだけど」 拓ちゃんは泣き出した俺に笑う。 「拓ちゃんのせいだもん。俺が泣き虫になったの…」 俺は呟きのように言
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100

「…好き…拓真が…好き…」 俺は拓ちゃんの手に自分の手を添えた。 「俺も…好きだ…」 その言葉と共に熱い唇が降りてきた。触れ合う唇が熱くなっていく… この人の熱で…俺を溶かして…あなたの熱で… 俺の総てを溶かして… 「明日…どっか行くか?」 「へっ?」 拓ちゃんのあまりにも突然の提案に俺は間抜けな声を出しちゃった。 「明日は日曜日だろ? 二人でどっかに行かないか?」 拓ちゃんがもう一度聞いてくる。 「いいの? 俺とでいいの?」 これまた間抜けな質問をしちゃった。 「お前がいいから…蒼樹と行きたいから聞いてるんだけどな」 なんて苦笑気味で言われちゃった。 「拓ちゃんが迷惑じゃないなら行きたい」 俺はタオルを取って拓ちゃんを見て答えた。 「迷惑だったら最初っから誘わない。じゃぁ、決定だな。明日は二人で行こう」 なんて拓ちゃんはすごく…もの凄く優しい笑みを浮かべて言ってくれる。俺はそんな拓ちゃんに抱きついた。 「好き…拓ちゃんが大好き…だから…傍にいるのを許して…」 闇の俺にはそんな資格はないけど…今の俺だけは傍にいさせて… 「傍にいればいい。誰が文句を言おうとも俺の傍にいればいい。俺がそれを望んでるんだからな…」 拓ちゃんは俺を抱きしめてくれた。 この優しい腕がずっと俺を包んでくれてたらいいのにな… 「んふふ。拓ちゃんはやっぱり優しいな。明日はどこに行くの?」 俺はそのままの体勢で聞いてみる。 「どこでもいいけど? 蒼樹は行きたい場所あるか?」 拓ちゃんが俺を抱きしめたまま頭を撫でてくれる。 「ん~。今のところないかも」 俺はそっと目を閉じた。だって気持ちいいんだもん。拓ちゃんに撫でられるのってさ。 だから俺、話の途中で寝ちゃったんだ… 拓ちゃんに抱きしめられたまま…撫でられたままで… 朝、目が覚めたら拓真の姿がなくて飛び起きた。 また置いてかれたのかと思ったらシャワーの音が聞こえて俺はホッと息を吐く。 「重症」 一人ポツリと呟きまた横になった。 ホント重症あの人に置いていかれるのがこんなに怖いなんて… 蒼華が人に媚びるなんて…あの人が初めて… 俺は溜め息をついて枕に顔を埋めた。ガチャって音がして拓ちゃんが戻って来た。でも俺はそのままの体勢でい
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