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蒼い華が咲く のすべてのチャプター: チャプター 71 - チャプター 80

87 チャプター

71

夜、俺は少し憂鬱な気分で家を出た。でも、門を開けようとしてそこで足が止まった。 だってそこには拓ちゃんがものすごく怒った顔で立ってたから… 「な…なんで…」 なんでここにいるのかわからなくて聞いてみた。 「すっぽかされるのが嫌だったからな」 言葉がキツイ。完全に怒ってるね。俺は玄関まで戻り今かけたばかりの鍵をあけた。 「あがれば?その方がいいでしょ?」 扉を開けて言うと 「そうだな」 拓ちゃんは門の中に入ってきて、そのまま家の中に入った。俺も中に入り鍵をかけて気付かれないように溜め息をついた。二人でリビングに入った。拓ちゃんはソファに座ったけど俺は立ったまま。お互い無言のまま。長い沈黙が続く。でも、先に口を開いたのは拓ちゃん。 「これ、どういう意味だ?」 携帯に映し出された俺からのメールを見せて聞いてくる。 「そのまんま。さよならしましょ」 俺は拓ちゃんから視線を逸らす。 「本気で言ってるのか?」 拓ちゃんの口調はキツイまま。本気で怒ってる証拠だね。 「うん。だって拓ちゃんにはちゃんと好きな人がいるんだし?俺にかまってなくてもいいじゃん。ちゃんと本気で好きな人を相手してあげなよ」 自分で言った言葉に自分で傷ついた。ホントに最低だね。胸がズキズキと痛みだす。 「ふざけるな、俺が好きなのは…」 拓ちゃんが途中で言葉をと切った。何かを思いついたように。 「お前、昼間に屋上来たのか?」 その言葉にビクリと身体が揺れる。聞きたくない。 「い…行ってない…」 声が掠れた。はぁって拓ちゃんが溜め息をつく。もうなにも言わないで…このまま終わりにしようよ…「聞いてたわけだ、あの話を…」 ズキズキと胸が痛みを増していく。聞きたくない! 「聞きたくねぇよ!」 俺は叫んでた。わかってる。完全に嫉妬してるってこと。 そんなのわかってる。だからなにも聞きたくない。 「バカヤロウが」 ポツリと拓ちゃんが呟く。 「もういいだろ?拓真にはちゃんと好きなやつがいるんだから俺なんかかまうことなんかねぇんだよ」 俺は握り拳を作り言い捨てる。俺なんかかまわなくてもいい。その瞬間グイッて拓ちゃんに腕を掴まれ引っ張られたと思ったらソファに押し倒された。 「なっ、何すんだよ!放せ!」 拓真から逃げようともがく。 「言っとくけどな俺は
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「俺を…俺を殺して…いつか…暴走したら…俺をあなたの手で…殺して…」俺はいつ人を殺してしまってもおかしくないんだ…今の俺は…あなたが傍にいるからまだ自分を抑え込んでいられるから…でもあなたがいなくなったら俺は…きっともう戻れない…「殺してか…その答えはNOだ」 拓ちゃんは苦笑を浮かべる。当たり前だよね… 「判ってる…言ってみただけ…」でも…本当に望んでいること…「どうせなら一緒に死ぬか?」 そんな言葉が飛んでくる。 「たく…ま…?」 驚き彼を見る。 「お前が死を望むというのなら…共に死のうか?そうすればお前を誰にも渡さなくてすむ。俺だけのモノにできる」 ジッと拓ちゃんが俺の瞳を覗きこむ。吸い込まれそうなほどキレイな漆黒の瞳で… それはとてもとても甘い麻薬。どんだけこの人は俺を喜ばせるの?どんだけ俺の欲しい言葉をくれるの?「それでいい…拓真となら…なにも怖くないから…一緒に死ねるのなら…それだけで幸せ…」あなたは俺にとって光だよ…俺にとってあなたは眩し太陽…だから…闇を纏う俺はあなたに相応しくないんだ…それでもあなたが欲しい…「ほんと…泣き虫だなお前…いい加減泣き止め…」 拓ちゃんはそっと俺の涙を拭う。 「拓ちゃんのせいだ…俺をこんなに泣き虫にしたの…拓ちゃんが俺を甘やかすからだ…」あなたに出逢ってから俺は本当に泣き虫になったよ…あなたが俺を甘やかすから…俺を泣かせてくれるから…「俺のせいか。でも俺の前だけだよな、こんなに泣くのも」 拓ちゃんの手はとても優しく俺を撫でる。 「ん、拓真の前だけ…こんなに泣くの…」ほんと拓ちゃんの前だと涙が止まらない…「でも、そろそろ泣きやめ。目が腫れるぞ」 拓ちゃんは俺の目元にキスをする。 「だって…止まらないんだ…全部、拓真のせいだから…責任とって?…」 俺はゆっくりと拓ちゃんの首に腕を回した。 「違う意味で啼くかもな」 拓ちゃんは小さく笑い俺にキスをしてくる。俺はそのキスを受け止めそっと目を閉じた。 拓ちゃんの優しいキスが何度も俺の唇に堕ちてくる。 「もっと…もっと…キスして…」 そう呟いてみる。もっとキスをして…お願い… 拓ちゃんとのキスが好き…抱かれるのも好き… 「キスだけでいいのか?」 なんて聞かれた。意地悪だね。わかってるくせに… 「…意地
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「あんまり言うな。抑えが利かなくなるだろ?」拓ちゃんが苦笑を浮かべる。「我慢しなくてもいいのに…誘ったのは俺だよ?…好きにして…俺…拓真に抱かれたいよ…」これが本当の気持ち。今すぐ抱かれたい。「お前は…ほんとに知らねぇからな」拓ちゃんはそう言ってキスしてきた。奪うようなキス。激しいキス。唇の隙間をぬって舌が忍び込み絡め取っていく。「んっ、っ、ぁ、ふぅ」頭を押さえ込まれて逃げれない。っていっても逃げないんだけどね。俺は拓ちゃんの首に回した腕にそっと力を込めた。もっと…もっとキスして…もっと俺を愛して…「ん、ぁ、ふぅ、ぁん」拓ちゃんの指が胸を弄り始めた。それだけでビクンて身体が反応しちゃう。だって弱いんだもん。この人ほんと俺の弱いとこばっかり狙ってますよ?でも唇はキスで塞がれたままだからちょっと苦しい。「んんっ、ぁ、んっ、ふぅぁ、ぁ」冗談じゃなくてさキスと胸の愛撫だけでいっちゃうぐらい気持ちがいい。ほんとこの人巧すぎ。やっと唇を解放されて拓ちゃんの唇が首へと移動し始める。「ん、ぁ、んんっ」時折きつく吸い付かれ痕を残す。いろんな場所にキスを落としキスマークを付けながら思い出したように唇にキスをくれる。「ん、ぁぁ、ぁん、ぁっ」自分でも驚くぐらい甘ったるい声が毀れる。ほんと…こんなの初めて…どんな相手に抱かれてもここまで感じたことがない…どんな女を抱いても同じだった…拓ちゃんだから?拓ちゃんが好きだから?だからなの?相手が拓真だからなのかな?でも俺すっごく感じてる。頭がボーっとしちゃうぐらい…「ひゃぅん、あぁぁ、ぁん、んん」拓ちゃんの舌が胸を弄り始めた。じっくりとねっとりとした愛撫。まるでそこを味わうみたいに…「ん、ぁぁ、ぁ、ん、ぁぁ」右は舌で左は指で弄られてただただ俺は喘ぐことだけしかできない。「ひゃぅ、ぁぁ、ん、ぁぁ」感じすぎてほんとどうにかなりそう。拓ちゃんの空いてる手がベルトをはずしズボンの中に忍び込んでくる。「ぁん、ん、んんっ」俺が唇を噛んで声を殺してると拓ちゃんはわざと乱暴にしてくる。まるで声を聞かせろと言わんばかりに…「ひゃぁうん、ぁぁ、ん、ぁぁぁ、んぁ、ぁぁ」拓ちゃんの重みが無くなってボーっとしてたら俺は着てるものをすべて脱がされた。拓ちゃんてば手が早いんだから…。いつの間にか拓ちゃんも上
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「ぁぁん、ぁぁ、ぁぁ、ん、ぁぁ」 俺の動きに合わせて下から拓ちゃんが突き上げてくる。それが気持ちいい。 「ぁ、ん、ダメ、ぁ、だっ、た、ん、ぁぁ」 拓ちゃんの首に抱きついた。 「いや、かまわねぇよ。お前にだったら大歓迎だ。虫除けになるしな」 首にキスマークつけといてから聞くのもなんだけど聞いてみたらそんな返事が返ってきた。 「ぁ、ん、後輩、ん、の、ぁぁ、告白、ぁぁ、ん、めい、ぁ、わくぅ、ん、だった、ん、の、ぁぁ」 俺はつい聞いちゃった。最中にこんな話はないよな… 「あれか、俺的には迷惑でしかないな」 拓ちゃんは俺の首に吸い付き真新しい痕を残す。 「ん、ぁぁ、ん、ぁぁ、じゃぁ、ぁん、ぁぁ、俺、ん、は?、ぁぁ、んぁ」 より一層快楽を求めて腰の動きが速まる。 「迷惑じゃねぇって。大歓迎だっていったろ?それに俺はお前が好きだって」『だから俺の言葉を信じろ』拓ちゃんが俺の腰を掴み激しく突き上げてくる。 「あぁ、ぁん、ぁぁ、ん、ぁぁ」 俺は拓ちゃんに抱きつく腕に力を込めた。もっと…もっと…あなたに触れていたい…「ぁ、ぁぁ、ん、ぁぁ、す、きぃ、ぁぁ、ん」いつからこんなにもあなたを好きになったんだろう?いつからこんなにもあなたを想うようになったんだろう?「ほんと…お前わざと煽ってんのか?」 そういいながら拓ちゃんの動きが激しさを増していく。 「ぁぁ、ぁぁ、ん、ぁぁ、いぃよぉ、ぁぁぁ、拓の、ぁぁ、スキ、にぃ、ぁぁ、メチャ、ん、クチャ、ん、ぁぁ、して、もぉ、ぁぁ、いぃよ、ぁん」拓ちゃんになら何をされてもいい…俺を愛してくれるのなら…拓真の愛を感じられるのなら…何をされても…俺は後悔しないから…「その言葉、後悔しても知らねぇからな?」 ニヤリと拓ちゃんが笑う。 「ぁ、ぁぁぁ、いぃよぉ、ぁぁ、あなたに、ん、なら、ぁぁ、そぉ、ん、おもぅの、ぁぁ、んん、あなた、だけぇ、ぁぁ、だか、ん、ぁぁぁ」あなたに溺れさせて…もっと…もっと…あなたに…あなただけに…あなたの色に染めて欲しい…「それは光栄だ。でもそれは蒼樹として言ってるのか?それとも蒼華として言ってるのか?どっちだ?」 拓ちゃんが聞いてくる。あなたはどっちの答えが欲しいの?でも…俺は…「ぁ、ん、ぁぁ、どっ、ちもぉ、ぁぁぁ、拓ぅ、ぁぁ、もぉ、ぁぁぁ、んん」 もう限界…いっちゃ
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75 小さな幸せの時間

抱き締めてくれてる拓ちゃんの胸に甘えるように摺り寄る。この腕がずっと俺を抱きしめてくれてたらいいのに…「…っ…ふぅ…っ…」 涙が溢れてきた。俺この人が好き…さよならなんてできない…できっこないよ…「また泣いてる。余計なことを考えるな。俺はお前の傍にいるから」 そんな声と共にギュッと抱きしめられ頭を撫でられる。 「…っ…拓…拓真ぁ…す、き…」 俺の精一杯の気持ち。 「俺も蒼樹が好きだ。これからもずっと…」 やっぱり拓ちゃんは優しいな… 俺は拓ちゃんの服をギュッと掴んだ。俺を抱きしめる拓ちゃんの腕に力がこもる。 やっぱり俺は拓ちゃんの前では泣き虫のようだ。 拓ちゃんは俺が泣き止むまで、ずっと、ずっと、抱きしめて頭を撫でててくれた。「拓ちゃん…時間…」 ほんとは離れたくないけど時間だから…着替えに帰らなきゃ… 「いい。今日はサボる」 そんな言葉が返ってきた。 「どうして?」 間抜けな言葉が出た。 「今日は蒼樹とずっとこうしてたいからサボる」 拓ちゃんは俺の額にキスを落す。どうしてあなたは俺の欲しい言葉をくれるの?どうしてあなたは俺の思ってることが判るの?どうしてあなたはそんなにも優しいの?俺は…あなたに相応しくないのに…なのに俺はあなたの傍にいたい…あなたが好きだから…「いやか?」 反対に聞き返されちゃった。俺は拓ちゃんの服を掴む手に力を込め 「やじゃない。…俺も…俺もこうしてたい…」 抱き締めてくれているその胸に頭をくっつけた。 「じゃぁ、決まりだな。っとその前に…」 拓ちゃんは身体を起こしベッドから降りて自分の上着から携帯を取り出し誰かにメールをし始める。 「生徒会?」 俺はその様子を見て聞いてみる。 「あぁ、榊にな。ああ見えてもあいつが副会長だから。それに1日ぐらい俺がいなくても大丈夫だし」 拓ちゃんは携帯を机の上に置きベッドに戻ってきて 「朝飯は?俺が作るか?それとも作ってくれるか?」 頬を撫でながら聞いてくる。 「あ…覚えてたんだ。俺が作る約束してたの…どっちでもいいよ?でも今はご飯よりも拓ちゃんとイチャイチャしたいかな」 なんて言ってみた。 「それは却下。朝は食べられるんだろ?ちゃんと食べろ。お前、前より少し痩せてるし」 いやぁ~ん。ばれてる~ん。 「ん~、じゃぁさ拓ちゃ
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「あっ」 拓ちゃんの膝の上でふとしたことを思いだした。 「どうした?」 急に声を上げた俺に拓ちゃんが訊いてくる。うん、驚くよね。 「お昼ご飯どうする?俺は食べられないし。後、晩御飯もなんだけどさ」 「昼か…パンならパンでもいいし。夜も食べていっていいのか?」 俺の言葉に答えながらも反対に聞き返されちゃった。 「うん。拓ちゃんに用がないなら食べてけばいいよ?あー、でもその前に買出しに行かないとダメだけど…」 買い出しに行かないと食材ないんだもん。 「今日は特に用事がないからこのままいようと思ってたんだが…いいのか?」 「うん、いいよ。じゃぁ、今から行こう。俺ちょっと着替えてくるからさ」 拓ちゃんの言葉に俺は身体を起こす。 「判った」 拓ちゃんが笑う。俺はその顔を見届けてから自分の部屋に行き着替える。そして今更ながら翔太に拓ちゃんとサボりだとメールを送った。『今度、奢りな』そんな返事がすぐに返ってきた。さすが翔ちゃん。俺は必要なものをポケットにしまい財布の中身を確認する。 「んー、おろした方がいいかな?」 中身を確認して生活費をおろした方がいいかなとか思いながらポケットにしまい下へと戻る。「拓ちゃん、いこっか?」 ソファに座って待っててくれてる拓ちゃんに声をかければ 「わかった」 すっと立ち上がって一緒に玄関まで行く。靴を履いて扉を開けると 「ちわぁ、宅配便ですけど」 チャイムを鳴らそうとしていた宅配会社の人と出くわした。 「あ…荷物そこに置いてください。えっと…はい、ハンコ」 荷物を玄関のとこに置いてもらって受け取りの印を押す。 「ありがとうございましたぁ」 男の人が帰っていってから荷物を見て疑問に思う。差出人の名前を見て知らない名前だったから…。 「拓ちゃんちょっとごめん…」 拓ちゃんに一言謝り今来たばかりの荷物の封を開けた。 中から出てきたのはビールのケースとタバコと1通の手紙。俺はその手紙を読む。『蒼樹へ 再婚しました。苗字が変わったので今度こちらの名前で荷物を送ります                        母』たったそれだけ書かれていた。俺はそれを破り捨てた。俺に見向きもしないまま捨てて、もう再婚したのかよ。きっと親父も再婚してるんだろう。一度も連絡はこないけど…。それだけ俺
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二人で並んで帰る道。「拓ちゃんは家に帰らなくても大丈夫なの?」 なんて聞いてみた。ずっと気になってたから…。俺の家には泊まったりするけど、俺は拓ちゃんの家を知らないもん。家庭の事情とか聞かないし… 「俺?俺は高校入学と同時に一人暮らしをしてる。実家から呼び出しがない限りは大丈夫だ」 拓ちゃんはちゃんと教えてくれる。俺の知らない拓ちゃん。 「そうなんだ。なら大丈夫だね」もう少しだけ、この人と一緒にいさせて…二人だけで…このままいさせて…「着いた。重かったでしょ?」 俺は家の鍵を開けて訊いてみる。 「いや、これぐらい大丈夫だ」 拓ちゃんは靴を脱ぎ荷物を持ってキッチンに向かう。俺も鍵をかけキッチンへといき袋の中身を冷蔵庫の中へとしまっていく。 「拓ちゃんハイ、パン食べていいよ」 俺は袋の中から拓ちゃんのお昼ごはんのために買ったパンをテーブルの上に置く。 「あぁ、ありがとうな」 拓ちゃんは椅子に座りそれを食べ始める。俺はというと拓ちゃん用のコーヒーを作りながら晩ご飯の仕込みですよ。でもその前に玄関の荷物を片付けないとね。「拓ちゃんプレゼント。もらってくれる?」 俺は送ってもらったタバコを拓ちゃんに差し出せば 「いいのか?」 拓ちゃんは驚く。当たり前だけどね。普通はこんなものあげないもん。 「うん。俺あんまり吸わないし。それに翔ちゃんに止められてるから…」 闇の俺がひどくなっていくから… 「じゃぁ一つはここに置いて帰ってもいいか?」 なんて訊かれた。 「どうして?」 意味がわからず俺が聞き返せば 「俺が泊まった時よう」 なんてサラッと言われましたぁ~! 「わかった。じゃぁ部屋に置いとくね。灰皿は部屋だしさ」 俺は返事をして玄関へと向かった。後はビールの箱だけ…玄関にある段ボールを解体して出てきたのはビールの箱が3箱。また3箱。俺はそれをもってキッチに戻れば 「すごいな」 拓ちゃんが驚く。 「いつものことだから…」 俺は小さく答えていつもの場所へとしまっていく。そう、いつものこと。物を与えるだけだった人たち。「よし!では仕込み開始!」 俺は全部片付け終えて準備を始める。俺ね、シチューを作るときは自分でルーを作る人なの。だからね今回もそれなのよ。材料を切って煮込んで灰汁を取って…完全に主夫してるね俺…
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夕方、俺は作っておいたシチューの鍋に火をつけ温め直す。仕上げに生クリームを入れるのが俺流。そして生野菜サラダ。に俺特製のドレッシング。ご飯は悩んだ結果チキンライスにしてみた。それを全部用意して 「拓ちゃんできたから食べようか?」 リビングにいる拓ちゃんを呼ぶ。 「ん」 小さく返事をして拓ちゃんがキッチンに出てくる。 「美味しそうだな」 椅子に座り料理を見ていう。 「あんまり自信はないけど召し上がれ」 自分も椅子に座り言えば 「いただきます」 両手を合わせて食べ始める。正直いってドキドキもん。 「ん、美味い。冗談抜きに美味しいぞ」 拓ちゃんが俺に向かって笑ってくれる。 「へへ、よかった」 その言葉に俺は安心して食べ始めた。「ご馳走様。ほんとに美味かった」 全部食べ終えた拓ちゃんが言ってくれる。 「よかった」 俺は照れながら後片付けを始める。翔太の時はいつも作ってるから気にしないんだけどなぁ。やっぱり拓ちゃんが相手だからかな…。俺が片付け終えるといつの間にか拓ちゃんが隣に来ててリンゴを剥いてた。 「食後のデザート」 なんて言って俺に差し出す。俺はそれに齧り付いた。 「ん、蜜が一杯入ってて美味しい」 シャクシャクと食べながら言えば拓ちゃんも皮を剥き食べていく。 「ん、だな。美味しい」 なんか普通にこうしてるのがすごく不思議で嬉しい。結局そのままの場所で俺たちはリンゴを食べてた。「食べ過ぎた~」 俺はソファに座る。 「お前は少し痩せすぎだからちょっとぐらい食べ過ぎても大丈夫だ」 拓ちゃんは俺の隣に座っていう。違う…拓ちゃんが傍にいてくれるから…だから俺はこんなにも食べられるんだ…拓ちゃんが傍にいてくれるから…ねぇ。拓ちゃんすごく怖いよ…今すごく幸せ過ぎるから…だからすごく怖いよ…あなたがいなくなるのが…「蒼樹?どうした?」 あなたはいつもそう。俺のちょっとした変化を見つけてしまう。 「なんでもない。拓ちゃんが好きだなって…」 だから俺はそう言って笑う。あなたが傍にいてくれるのなら…笑っていられるから…「蒼樹。おいで」 俺に向かって両手を広げてくれる。俺はその腕に飛び込んだ。 そしたらギュウって抱きしめられる。この瞬間が好き。拓ちゃんを独り占めにできるから…でも、いつかこの腕を離さなきゃ
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pipipipipipipipipi俺はいつものように携帯の音で目が覚める。でもそこには拓ちゃんの姿はなくて…俺は昨日のことが夢だったのかなって思いながら下に行くとキッチンに拓ちゃんがいた。「おはよう」俺が声をかけると「おはよう。オムライスの応用編」とか言って出してくれたのはオムライスに昨日の夜に俺が作ったシチューの乗ったもの。「わお!おいしそ~」俺は席に着き食べ始める。「ん~おいし~!やっぱり拓ちゃんのオムライスはくせになる~」俺はそういう。拓ちゃんは笑っていた。「お前の作ったシチューも美味しいからくせになるな」なんていわれました!でも嬉しい!「ありがとね」俺はそういう。拓ちゃんは俺の頭を撫で「お互い様だ」そう言って笑う。たったこれだけで嬉しいんだから俺もどうかしてるよね。「さてと…時間だし…着替えに行かないとな…」拓ちゃんが時計を見ていう。「あ…片付けは俺がするからいいよ。帰って準備してよ」俺は片付けを始めようとした拓ちゃんに言う。「いいのか?」そう聞いてくるから俺は頷いた。だって、拓ちゃんは一度家に帰らないとダメだからさ。「じゃぁ頼むな」拓ちゃんはそういうとリビングに行き自分の上着を着てポケットに色々しまいこむ。そして俺は玄関まで拓ちゃんを送っていく。「じゃぁ。学校でな」拓ちゃんはそう言って俺にキス一つして帰って行った。「学校でね。拓ちゃん」俺は呟き食器を片付けるためにキッチンに戻った。俺は制服に着替えるといつものように家を出た。一人で歩く道。昨日は拓ちゃんと一緒だったんだ。なんて思いながらバスに乗った。本当の俺を知ったらあなたはきっといなくなるよね……そうしたら俺きっと壊れていく…&hell
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「考えすぎだ。みんなにバレるぞ」翔太のその言葉にハッとする。ここはいつもの場所じゃないんだと…学校なんだと…。俺は偽りの織田蒼樹を演じなきゃいけないんだ。「ん~もぉ~翔ちゃんったら朝からだいた~ん」なんていつものオチャラケた俺に戻る。「アホか」なんて翔ちゃんはもう一度だけ頭を撫でて手を放した。俺たちはふざけ合いながら教室に向かう。その先にはいつもの見慣れた金髪の後姿。「おはにょ~拓ちゃん」俺は自然と後ろから抱き着いた。ほんの数時間前に別れたばっかだけどさ。「おはよう。いきなりで悪いんだが各学年のクラスに回って文化祭のプリントを集めてくれないか?無理ならいいんだが…」さすが拓ちゃん朝から生徒会長様だ。「だいじょうび。放課後まででいいんだよね?」俺はそのままの体勢で訊きかえす。翔太は先に教室に行っちゃったけどさ。「あぁ、今日までが提出期限なんだ。…蒼樹、昼休み屋上にいるから来いよ」最後の方は俺だけにしか聞こえないようにいう。「ん、わかった」俺が返事をして離れれば拓ちゃんは俺の頭を撫でて自分のクラスに入っていった。俺も自分のクラスに入って自分の席に座る。いつもの日常が始まる。昼休み前までに各クラスに回って「文化祭のプリント集めに来たけど実行委員いる~?」声をかけてプリントを集める。俺が取りに行ったことで驚くやつらが続出。そんなに驚くなよな。昼休み前までには全クラスのプリントが集まった。さすが今日が提出期限だけあるね。プリントを持って自分の教室に戻ろうと歩いていたら「織田さん」声をかけられて振り返ると数人の生徒。なんとなく予想はできたんだ。「うーんと、なに~?」取り敢えず話だけは聞きますよ。「金城さんに付き纏わないでください」あー、やっぱりね。「なんで?」その理由も聞くだけ聞きますよ。「金城さ
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