Semua Bab 異人青年譚: Bab 41 - Bab 42

42 Bab

不死身青年と賢狼烈女の悪戯Ⅱ_01

着なれた着物を着こなして、まるで童話に出てくるような、不思議な綺麗さを持っていた少女。 あの夏休みの熱海旅行で遭遇してしまった、想い人の思いによって重さを与えられてしまった、旅人の異人となってしまっていた幽霊の少女。 そして今でも、その後遺症のせいなのか、成仏出来ずに様々な所を旅する浮遊霊的な何かになってしまった... そのせいで、彼女は僕以外からは、認識されることはない。 そこに彼女が居たとしても、そういう風には誰も見ない。 そんな存在に、そんな概念に、彼女は成ってしまったのだ。 しかし... しかしそれでも、そんな、怖くない筈がない自分の状況でも、彼女は外を見たいと思いを馳せて、遠路に花を掛けるのだ。 高貴で高尚な、桐の花を... 時刻はお昼を過ぎた十五時頃 目的の物は早々に買い終えて、そんなに時間を使わずに帰るつもりだったのに、どうやらそういうわけにはいかなくなってしまったみたいだ。 なぜなら今、僕はその浮遊霊的な彼女を連れて、普段なら確実にスルーしているであろうパンケーキのお店に、来ているからだ。 いや...この場合、連れて来られたのはむしろ僕の方なのだろう。 僕と一緒に居なければ、誰からも認知されることがない幽霊的彼女は、とりあえず今は、事ここに至っては、普通の客として周りから認知される。 それはあの時の最後もそうだった。 だから彼女は、あのときも僕と一緒に、電車に乗ることが出来たのだ。 だからなのだろう… だから彼女は、僕と会ったことをいいことに、今日まで彼女がずっと入りたいと思っていたお店に、僕と共に入ったのだろう。 そして今まさに、目の前に座る彼女は瞳を輝かせ、そのお店のメニュー表を見ているのだ。 そんな彼女に、僕は少しだけ戸惑いながら、声を掛けた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-08
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不死身青年と賢狼烈女の悪戯Ⅱ_02

 「なぁ、若桐...」 「なんですか?」 瞳を輝かせながら、しかしその視線はお店のメニュー表に注がれて、僕には一切目もくれず、若桐は応答する。 「いや...ご満悦の表情でメニューを見ているところ悪いんだけど、僕あまりこういうお店は来ていなくて...その...勝手が分からなくて困っているんだけ...」 そう言いながら、自分でもわかる程に変な緊張をしながら、最初に運ばれてきたお冷に口を付けていると、目の前に座る彼女は、僕の方を一切見ないでこう言った。 「大丈夫ですよ、荒木さん。なにも心配は入りません。あなたはただ、久しぶりにたまたま道で再会した友人に、パンケーキを御馳走すればいいのです」 「えっ...ちょっとまって...話の内容がもはや誰も追いつけない様な、光の速さで進んでいるように思うのは僕だけかな?」 「そうです、あなただけです」 「すげーなお前、言い切ったよ...」  そう僕が言うと、若桐はメニューを閉じて、今度はちゃんと僕を見て、こう言った。 「まったく、荒木さんは私達のあの感動的な夏の思い出を忘れてしまったのですか?読者の皆さんはちゃんと付いて来てくれていますよ?」 「ちょっとまって読者ってなに!?まさかこの世界は小説か何かなのか!?」 「何を言っているんですか?まさか今さら気が付いたのですか!?私はもうとっくに、荒木さんと出会った時から、ちゃんと気がついていましたよ?」 「うそつけ!!そんな筈があるか!!」 「いいえ、荒木さん。これは事実です。なんなら確かめてみますか?」 「確かめる…って、そんなもん一体どうやって確かめるんだよ…」 「簡単です。」 そう言いながら若桐は、徐に、それでいて大袈裟に、店員さんを呼ぶために手を挙げて、そしてその呼んだ店員さんが僕達が居るテーブルに来る前に、彼女は声高らかにこう言ったのだ。  「デラックスパンプキンパンケーキ!!!!!!」 その値段、一皿二千五百円の代物である。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-09
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