車に乗り合わせてから数時間と掛からない間に到着した、関東近県のリゾート地である静岡県熱海市は、相模さんの言う通り、遠過ぎず近過ぎない、言ってしまえば、程よく旅行気分を味わえる程度の距離に位置していた。 もっともそれは、スタート地点が埼玉県や千葉県とかではなくて、神奈川県の横浜市だから言えることで、僕や琴音や柊が過ごしている大学の立地の良さが関係していると言っても、過言ではないのだ。 それにこの場所を指定したのは、実は僕ではない。 ここまでの経緯でなんとなく、察しの良い方なら気付くかもしれないが、あの夜、僕の携帯に着信を入れた相模さんに、僕は今日のことを、どこかいい所は無いかと、相談したのだ。 そしてその結果が、今日のコレである。 運転手付きの車を用意したことに関しては、あまり詳しく言及していなかったけれど、相模さん曰く、仕事のついでということらしい。 まぁそれを聞かされたのは今日の出発当日で、それどころか出発する時間に、いきなりそう言われたわけだから、驚くというか、呆気に取られたという感じだったのだけれど......でもまぁ、それ以上に驚いたのは、やっぱりこの二人を会わせたことだ。 そんな風に思いながら、僕は両隣の、やはりどこか険し目な雰囲気漂う彼女達に、視線を向ける。「「なにか用?」」「......いや、べつになんでもないです......」 お前等、ほんとうは仲良しなんじゃないのか......? 熱海駅周辺に到着後、車から降りた僕等四人は、相模さんが手配した車を見送った後、相模さんの案内で昼食を取ることになった。 その道中、僕は未だに無言を決め込んでいる二人の雰囲気に耐えきれなくて、逃げ道として相模さんに話しかけた。「......それにしても、相模さん」「ん?なんだい?」「どうして熱海だったんですか?」「べつに、特に理由はないよ。強いて言うなら、僕が好きな町だからかな?」 そう言いながらいつもと変わらずに、口元に笑みを浮かべる彼の表情に、僕は苦言を呈する。「いや......相模さんがそう言うと、なんだかメチャクチャ嘘くさいです」「ヒドイな~相変わらず。別に君等の旅行を邪魔する気なんてサラサラないから、安心しなよ」「......その言い方だと、やっぱり何かあるんですか?」 そう言いながら、僕は彼の方に視線を向けると、彼はこ
Huling Na-update : 2025-08-10 Magbasa pa