最近ネットで話題になっているパクリ疑惑のことは、花音も耳にしていた。けれど、兄が結衣のために動くどころか、星乃の肩を持っているなんて、夢にも思っていなかった。怒りと呆れが一気にこみ上げ、彼女は「パタン」と勢いよくノートパソコンを閉じた。「お兄ちゃん、もう完全に善悪の区別がつかなくなってるよ。星乃に、いったいどんな魔法をかけられたの?結衣さんが、お兄ちゃんのやってることを知ったら、どれだけ傷つくと思ってるの?」悠真はパソコンをもう一度開き、淡々と言った。「善か悪かを決めるのは、ああいう連中じゃない。そもそも、人を罵る資格なんてどこにもない」花音は言い返した。「だってみんな正義のためよ。結局、星乃はあんな卑怯な手を使ったんだから」その言葉に、悠真は軽く視線を上げた。「この件は、星乃ひとりの問題じゃない。仮にパクりだと確定したとしても、それは開発部門全体の責任であって、誰か一人を責める話じゃない。言い換えれば、遥生にもある程度の責任はある」矛先が遥生に向いた瞬間、花音は思わず顔を赤くして反論した。「それは違うよ!遥生だって、星乃の口のうまさに騙されただけで、悪気があったわけじゃないでしょ」悠真は、呆れたように花音を見た。その視線に、花音はなぜか少し後ろめたさを覚えたが、すぐに気を取り直して言い返す。「だってそうでしょ。遥生は星乃に本当に良くしてたの。あの崖から落ちた日々、お兄ちゃんは見てないから分からないけど、遥生がどれだけ彼女を心配してたか……彼女のためなら、特別扱いする可能性だってあると思う」そう言う声には、どうしても棘が混じっていた。遥生の星乃への気遣いは、「優しい」なんて言葉で済むものじゃない。あまりにも特別だった。今でも忘れられない。星乃が生きていると知ったとき、遥生がどれほど喜んでいたか。いつも感情を表に出さない彼が、あそこまで分かりやすく感情を露わにしたのは、あれが初めてだった。あのときの彼の目は、まるで燃え尽きたはずの灰に、再び火が宿ったようだった。思い出せば思い出すほど、花音の胸は締めつけられ、喉の奥が苦しくなる。しおれたようなその表情を、もちろん悠真の目からも逃れられなかった。悠真も一瞬、どうしようもなく思った。もともと佳代と雅信は、冬川家の厄介な問題を花音に任せるつもりは
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