「こんばんは、こんな急にすみません。白澤《しらさわ》さんから話を聞いて、すぐに迎えに行きたくなってしまって」「……ああ早速来てくれたんだね、ありがとう。あの子も早く鈴凪《すずな》に会いたがっているから、そのまま奥の部屋に入ってもらって構わないよ」 私たちが来ることを白澤さんが事前に伝えてくれていたのかもしれない、チャイムを鳴らしてすぐにシオさんが扉を開けてくれたから。 確かシオさんの作業場は一番奥だったと思い出し、ドキドキしながら一人で目的の部屋へと歩いていく。白澤さんとシオさんは二人だけで話があると言って、そのままキッチンの方へと向かって行ってしまった。 薄暗い廊下の奥から漏れる明るい光、きっとあの部屋に間違いないわ! 酷く傷つけられてしまったあの人形の姿を思い浮かべながら急いで作業場へと入ると、小さな椅子の上にちょこんと座ってる【あの子】を見つけた。「え……嘘でしょう? あの顔の傷も身体のヒビ割れも、ボロボロにされたドレスまで……こんなにも綺麗になってるなんて」 ナイフによって何ヶ所も付けられた傷が、どこにあったのか分からないほどすっかり消えていて。ぐしゃぐしゃにされた髪もドレスも、以前より美しくなったのではないかと思えた。 あまりに綺麗な仕上がりで信じられないくらいだけど、これもシオさんが特別に人形を愛しているからこそ出来ることなのかもしれない。 ギュッと人形を抱きしめて『痛い思いをさせてごめんね、でも綺麗にしてもらえて本当に良かった』と、小さく語りかけるように呟いて。「ふふ……満足してもらえたようだね、その子も鈴凪に迎えに来てもらえて凄く喜んでいるよ」「シオさん! 本当にありがとうございます、あの時の傷も無いし服も元々のドレスを手直ししてくれてるんですよね。もう何とお礼を言ったらいいのか……」 もちろん謝礼は用意してきたが、それだけでは私の気が済みそうにない。それをシオさんに伝えると、彼女は意外にも豪快に笑い出してしまって。「アハハハ! そこまで感謝されるとは思ってなかったかな、白澤が手を貸したくなるのも納得だ。そうだな、私は鈴凪のことをもっと知りたくなったから今度お茶でもご馳走してもらおうか」「……えっと、それだけでいいんですか? シオさんとのお茶くらいなら喜んで何十杯でも付き合いますけど」 戸惑ってそう返事をすると、シオさん
Last Updated : 2026-02-07 Read more