いきなり部屋の中に響いた悲鳴に驚いて部屋の入り口を見れば、いつの間にか青白い顔をした鵜野宮《うのみや》さんが立っていて。 もしかして朝陽《あさひ》さんを後を追って来たのだろうか? それとも私たちの様子を確認しに戻って来たら、偶然この状況になって吃驚《びっくり》しただけ? どちらにしても彼女の行動が怪しい事に変わりはないけれど。 だけど窮地に立たされていた流《ながれ》からしてみれば救いの女神だったのだろう、彼はすぐに鵜野宮さんへと駆け寄ろうとしたのだが……「鵜野宮さん、ちょうどいいところに! アイツが……神楽《かぐら》 朝陽がいきなり乗り込んできて、これじゃあ話が違うじゃないですか!?」 けれども鵜野宮さんはそんな流からあからさまに距離をとり、先程までとは別人のような態度で彼の行動を責め始めたではないか!「ちょっと流君、貴方こそ何を言ってるの!? 私はあれほど早く雨宮《あまみや》さんを解放するように言ったのに、まだ諦めずにこんな事をしているなんて!」「……え? あの、鵜野宮さん?」 彼女がいったい何を言っているのか、私と流は頭がついていかない。ついさっきまで私が繋がれた姿を楽しそうに見下ろして、その上で蔑み小馬鹿にしていたのは他ならぬ鵜野宮さんだったのに。 それなのに、この人は……この状況を流だけの所為にして、自分は私を助けようとしていたかのように話している。どうしてここまで自分勝手で、事実を捻じ曲げ都合の良いような嘘を簡単につけるの? 流は戸惑ってその場で動けないでいるが、鵜野宮さんはまだ彼に責任を押し付けるかのように話しを続ける。おそらく流が何か言えば彼女にとって都合が悪いから、あえて口を挟む隙を与えないようにしているのだろう。「それに手錠まで、どこで用意して来たのよ? こんなの立派な犯罪なのに、どうすればいいの……私が流君を止めれなかったばっかりに」 そのまま自分が止められなかった所為だと落ち込んだ様子を見せるが、それも全て彼女の芝居なのだと分かる。 鵜野宮さんにとって予定外の事が起こってしまい、彼女は今それを誤魔化そうとしてるのかもしれない。そんな二人の様子を黙って見ていた朝陽さんだったが、少し考える様子を見せて普段より低いトーンで質問したのだけど。 「……つまり? この誘拐は全て守里《もりさと》 流の単独で行われた犯行だと?」
Last Updated : 2026-02-26 Read more