(仮)花嫁契約 ~元彼に復讐するはずが、ドS御曹司の愛され花嫁にされそうです⁉~의 모든 챕터: 챕터 51 - 챕터 60

66 챕터

怒涛の婚約発表に 1

「……ええと、もう一回だけ言ってもらえませんか? もしかしたら、私の聞き間違いかもしれないので」  翌朝になっていきなり朝陽《あさひ》さんに告げられた今後の予定に、私はそれが冗談かと思ってつい聞き返してしまった。朝陽さんの隣に立っている初対面の男性は、そんな私の言葉も無表情のまま聞いているのだけど。 そもそも同じことを何度も言わされるのを嫌う朝陽さんが、これで不機嫌になるのは経験上分かっているのに。「ほぉ? それは俺の言葉が聞き辛かったのか、それとも聞かなかったことにしたいのか……どちらなのかが、気になるところだな」「すみません、ちゃんと聞こえてました。なので、眼鏡を外そうとする手を止めてもらえるとありがたいです」 こんな朝一からドS御曹司バージョンの朝陽さんは、正直ちょっとしんどいので。私は彼が眼鏡を元の位置に戻したのを確認して、さっきの続きを話し始める。「……でも、わざわざ婚約式をするなんて。そんな大事にしてしまうと、本当は『結婚しません』とか言えなくなりません?」「俺たちは結婚式までするんだ、婚約式くらいしたところで大差ないだろう。メインの招待客以外は、エキストラを雇って誤魔化すつもりだしな」 朝陽さんがいうには、本来取材などで来るはずの記者の役等をエキストラに頼むらしい。それでも呼ばれた人達によって、ある程度の噂が広まるのはどうしようもないらしいけど。 しかも、一番問題なのがその婚約式まで二週間もないということで。 本当にそんなんで出来るんですか? くらいは言わせてもらいたくなる。「鈴凪《すずな》は今日の仕事終わりに、ドレスショップに行ってその時のための衣装を数点選んでおけ。店にはこの白澤《しらさわ》に案内するよう言ってある」「……分かりました。白澤さん、よろしくおねがいします」 朝陽さんの隣に立っている男性は、白澤 美杜《みもり》さんという名前だそうで。今日から私の護衛をしてくれるらしいのだけど、もともと無口な人なのかあまり話そうとはしない。 男の人にしては線が細く綺麗な顔をしたこの人に、私が守ってもらって本当にいいのかという気持ちになるのだけど。「鈴凪さんの業務時間は近くで待機してます。終業後は私が迎えに行くまで社内で待っていてください」「はい。色々、ありがとうございます」 凄く丁寧な感じの方だけれど、朝陽さんとはどう
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怒涛の婚約発表に 2

「鈴凪《すずな》さん、その荷物は私がお持ちします」 通勤用のバッグを持って出かけようとすると、白澤《しらさわ》さんはそう言って手を差し出してくる。彼に護衛を頼んだ今までの依頼主は、そういう事に抵抗がない立場の方だったのかもしれないけれど……「いいえ、大丈夫です。本来なら私は、そういう事をして頂けるような人間じゃないので」 白澤さんが護衛しているのは、神楽《かぐら》グループの御曹司である朝陽《あさひ》さんの婚約者である私。 でもそれは(仮)の立場でしかないので、必要最低限のことしか「お願い」はしない方がいい。きっとこの人は、本当のことなんて知らないのでしょうから。 そうやって私が断ると、白澤さんはそれについて特に何も言わないで隣を歩き出した。余計な詮索をしたりする性格でもなさそうだし、その方が私にとっても都合が良いので有り難い。 ……それにしても今日は、やけに人の視線を感じるような? 普段はこんなにジロジロ見られることなんてないのに。 そう思っていたのだが、そのうちに自分の隣を歩く背の高い男性が原因だと気が付いて。「ええっと、私の勤務先はすぐそこなので」 このまま会社の入り口まで一緒に歩いていると、それこそ面倒な事になりかねない。今の状況を誰かに説明するのも難しいのだから、なるべく目立たないようにしておきたい。 そう考えて、少し離れた場所で白澤さんと別行動を取ろうとしたのだが。「ですが、朝陽には貴女を会社の入り口まできちんと送るよう言われています」 「それでも、大丈夫ですっ! 朝陽さんにはちゃんと私から伝えますので。それじゃ!」 驚いた表情の白澤さんをそのまま置き去りにして、走って会社の中へと入っていったのだけれども……「ねえ、さっきの彼……雨宮《あまみや》さんとはどういう関係なの? もしかして、例の学生時代から続いてる彼氏だったりして」「ええー、雨宮さんの彼ってあの人なんですか? もの凄〜くかっこ良かったんですけど」 時すでに遅し、私は速攻で休憩室に連れて行かれ女性陣の質問攻めにあっていた。 婚約
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怒涛の婚約発表に 3

「ずいぶんと疲れた表情をされてますね? 鈴凪《すずな》さんの仕事内容は営業補佐と聞いてますが、今は忙しい時期なのですか?」「ええと、まあ……今日は少しだけ慌ただしかったかもしれません」 (主に貴方の整った容姿の所為で!)という本音を、口には出さなかった自分を褒めておきたい。白澤《しらさわ》さんは自分の仕事をきちんとやってくれているだけ、私がそれに文句を言える立場でもなく。 それでも今日みたいな騒ぎにならないよう、朝陽《あさひ》さんを交えて三人で話す必要はあるかもしれない。「朝陽にはこの後、ドレスショップに案内するよう言われてましたが大丈夫そうですか?」「ありがとうございます。でも私、昔から体力だけは自信があるので問題ないですよ」 もしここで無理そうだと言えば、きっと白澤さんは『このままマンションに帰りましょう』と言ってくれそうだけど。 まだ大丈夫だと思って、そのまま彼に案内してショップに向かった。 「思ったより遅かったな、途中で寄り道でもしていたのか?」「え? 朝陽さん、どうしてここに……?」 今日は自分だけで衣装を選ぶのだと思っていたのに、ショップの奥にあるソファーに朝陽さんが座っていたから驚いてしまって。 でもそんな私の反応に、何故か朝陽さんはムッとした表情を浮かべた。「まさか鈴凪は、俺がここにいるのが不服なのか? 一人で大丈夫かと思い、時間を作って来てやってるのに」「別に不服なわけでは……それよりも仕事の方は、大丈夫なんです?」 朝陽さんが多忙なことくらい、私だって分かってるのに。わざわざ来てくれたのは嬉しいけれど、逆にそれが心配にもなる。 散々迷惑をかけておいて今更かもしれないけれど、私に関する事では無理をして欲しくない。それを本人に、なかなか言えないでいると……「鈴凪さん、彼の事ならそう心配しなくても大丈夫かと。こうしてこの場にいるってことは、要領よく自身の仕事を済ませてきたはずですから」「……無理をしてないのなら、それでいいんですけど」 確かに今の朝陽さんを見ると、会社の女子社員にもみくちゃにされた私よりピンピンしてそう。 余計なお節介だったかも、と恥ずかしくなっていたら隣にいた白澤さんが「なるほど……」と小さく呟いたのが聞こえた。 不思議に思って斜め上の彼を見上げようとしたら、いきなり私達の間に朝陽さんが割り込ん
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怒涛の婚約発表に 4

 急に何を言い出すのかと思えば……いつもとは違う朝陽《あさひ》さんらしくない台詞に、隣にいた白澤《しらさわ》さんもポカンとした表情を浮かべている。 彼の言いたいことは理解出来るのだけど、そもそも朝陽さんってそんな事を気にするタイプでしたっけ? とりあえず、そんな朝日さんに落ち着いてもらおうと思って……「それは間違いです、朝陽さん。見つめ合っていたのではなく、私が一方的に白澤さんを見つめていただけですので」「そっちのほうが余計に悪いだろ!」 見つめ合うのが駄目なのかと思い訂正したのに、彼はそれも気に入らないらしく。あからさまに怒って見せる訳ではないが、朝陽さんが不機嫌そうなのは流石に分かる。 そんな私達のやりとりを黙って見ていた白澤さんが、ここでようやく口を開いたかと思えば……「へぇ、そんな風に拗ねた朝陽を見るのは久しぶりですね。学生の頃に戻ったみたいで、これは面白い」 そこは面白がってないで、朝陽さんを止めるなり宥めるなりしてもらえませんか? しかし学生時代からの付き合いならば、この二人はかなり親しい関係なのかもしれない。 とはいえ、まずこの暴君をどうにかしなくては。 このままでは今日のうちに、婚約式の衣装を選ぶことも出来なくなるかもしれない。そう思い話題を変えるため、近くに飾ってあったお洒落なワンピースを指差して。「えっと……あの白いワンピースとか、朝陽さんはどう思います? 結構、女性に人気ありそうですけど」 「……鈴凪はあれが着てみたいのか?」 朝陽さんがそう言うと、すぐに彼の近くにいた女性スタッフが私に微笑んでこっちへと向かってくる。 そして……「雨宮《あまみや》様、それでは奥の部屋にご案内させて頂きますね」「え? あの、え……?」 何がどうなってるのかと朝陽さんに助けを求める視線を送ったが、彼は「行って来い」というようにひらひらと手を振って。 そのうえ店内を見回して、スタッフについでのようにこう言ったのだ。「ついでにそっちの服と、ウインドウに飾ってあったのワンピースも。それと……」「かしこまりました、神楽《かぐら》様」 ちょっと待ってよ!? 次から次へと服を決めていく朝陽さんを止めることも出来ないまま、強引に奥のルームへと連れて行かれて。「お手伝いしましょうか、雨宮様」「いいえ、大丈夫なので! 全部、一人でや
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怒涛の婚約発表に 5

「……ふうん」 ……え? まさか自分が何着も選んでおいて、感想がそれだけなんてことはありませんよね? そりゃあ朝陽《あさひ》さんが褒めてくれるかも、なんて期待はしてませんでしたけど。 それにしたって「ふうん」だけって、あんまりじゃないですか? なんて思っていると、そんな状況を見かねたのか白澤《しらさわ》さんがフォローを入れてくれる。「そうですね、どの服もとても良かったと思います。その中でも三着目のドレスが、特に鈴凪《すずな》さんの魅力を引き立てていると私は感じました」 白澤さんが神様に見えそうです、本当に朝陽さんの旧友とは思えないくらい良い人だなって。 お礼を言おうと白澤さんの方を向きかけると、バサッと別の服を横から投げ渡された。「次、それ着てこい」「……はあい、分りました」 何でそう不機嫌なのでしょうか? 面倒だから逆らわずに、着替えのためにまた奥のルームへと向かう。さっきまでいた場所からは「おやおや」と、白澤さんが呆れているような声が聞こえて…… それなりに長い付き合いだから分かる、そんな何かが二人にはあるのだろうけれど。今の私には、朝陽さんの考えている事がさっぱり分からないままで。 ……婚約式の衣装が決まる頃には、お店も閉店ぎりぎりの時間になっていた。あれから何回も着替えさせられて、結局は朝陽さんが選んだ一着に決まったのだけれど。 このままマンションに朝陽さんが一緒に帰るという事で、遅くまで付き合ってくれた白澤さんとは駅で別れた。「本当にあの一着だけで良かったのか? 他に欲しいのがあれば、一緒に買えば済むことなんだぞ」「いいえ、十分です。その他にも数点のアクセサリーまで、朝陽さんが全部買ってくれてますし」 朝陽さんがそう言ってくれるのは嬉しかったけれど、必要以上のものを彼に買ってもらうつもりはない。今までに、十分過ぎるほど助けてもらっているし。 それに……思い出に残ってしまうものは、きっと少ない方が良い。「……しかし腹減ったな、何か食べてから帰るか?」「そうですねぇ、久しぶりにこってりしたラーメンなんかを食べたいですけど。朝陽さんにラーメンはちょっと似合わなさそうだし……」「なに言ってんだ? ラーメンぐらい誰だって食うだろうが。ほら、いくぞ」 そう言った朝陽さんに、彼の行きつけの店に連れて行ってもらったのだけれど。
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怒涛の婚約発表に 6

「……あの、朝陽《あさひ》さん。なんだか、話に聞いてた感じとだいぶ違う気がするんですが?」「そうか? こんなものだろ、普通は」 あぁ、なるほど。そうでした、私と朝陽さんの普通の感覚が同じなわけがないですよね。 婚約式に呼ぶのは親しい友人や身内、それ以外は取材等のフリをしたエキストラだけと聞いたはずなのに。 ……まさかこんな大人数の前で、朝陽さんとの婚約宣誓をすることになるなんて。 都内のホテルで行うとは聞いていたけれど、まさかこんな広いフロアを使用するとは思ってなかったし。これからの事を考えてしまうと、さすがに胃が痛くなってきた。「さあて、アイツがどんな顔を見せてくれるのか……楽しみだな」「朝陽さんはずいぶんと余裕があるようですね、本当に羨ましいです」 招待状の準備は全て朝陽さんの秘書である、濃野《のの》さんが手配してくれたとは聞いている。そして……その招待客の中に鵜野宮《うのみや》さんが含まれている事も、ちゃんと教えては貰っていたのだけど。 信じられない事に、私の元彼にまでそれを送ったという朝陽さんが怖ろしい。本当にこの人は、いったい何を考えてそんな事をしたのだろう?「鈴凪《すずな》、そのおどおどした顔はここだけにしておけよ? 会場では堂々と自信を持って微笑んでいろ、最高に愛された俺の婚約者として」「……そう見えるように、努力はします」 朝陽さんは緊張とかしないのだろうか? もうすぐこの場所に彼の想い人である、鵜野宮さんも来るはずなのに。 そういえば、あれから朝陽さんが落ち込んでいる姿を見てはいない。私からわざわざ聞いたりはしてないけど、もう大丈夫になったのかな? 色んな事が分からないままになっているけれど。今日はこの婚約式で、誰よりも愛されている婚約者を演じ切らなければ! そう気合を入れるために、拳を強く握っていると……「鈴凪、ちょっとこっち向いてみろ」「え、はい? ――っ!?」 私の腰に腕を回した朝陽さん。そのまま強引に引き寄せられ驚いていると、額に何かが触れて。それが彼の唇だと気付いて、頭が混乱状態になった。「これくらいは笑顔で見せつけてやろうぜ? 届いた招待状を、無駄にはしないでくれたみたいだしな」 つまり……会場に入っていった人の中に、流《ながれ》の姿を見つけたという事なのだろう。 意地悪な笑みを浮かべている朝
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怒涛の婚約発表に 7

 会場の中にいた人達が一斉にこっちを向いて。 そんな周りの視線を浴びながらも堂々と、自分は誰よりも幸せな花嫁になるのだと見せつけるように朝陽《あさひ》さんの隣を歩く。  この婚約式の進行役を受けてくれたのは白澤《しらさわ》さんで、私達が所定の位置に着いて開会のあいさつをしてくれる。こういった事に慣れているのか、白澤さんはスラスラと来場のお礼の言葉を述べて。 次は私達の自己紹介や二人の馴れ初めについて説明するのだが、そこはちゃんと決めていて話を合わせる事になっている。 ……私が朝陽さんの会社に突撃したことなどは、さすがにそのままで話せるわけもなく。かなり捏造したものになってしまっているけれど。 そしてメインである婚約発表をするという時になって、ある男女の二人組が目に入ってしまう。 そう……鵜野宮《うのみや》さんと元彼の流《ながれ》が並んで、私たち二人を「信じられない」と言わんばかりの表情で見ていた。「……おい、どうした? 鈴凪《すずな》」「いえ、何でもないです」 私の様子がおかしいと感じたのか、朝陽さんがそう声をかけてくれる。でも今は演技の最中で、余計な事は考えちゃいけないって自分に言い聞かせて。 ただ……いつも綺麗で洗練された雰囲気の鵜野宮さんとは思えない、彼女のその表情に恐怖を感じてしまって足が震えてしまう。「神楽《かぐら》 朝陽と雨宮《あまみや》 鈴凪はこの度、婚約することになりました。これから二人、お互いを愛し慈しんでいくことを誓います」 誓いの言葉を終えて、会場にいる皆さんからの拍手で祝われる。そのことに一瞬だけホッとしたが、すぐに隣に立つ朝陽さんの視線が鵜野宮さんに向いている事に気付いてしまう。 ……ああ、そうだった。私達のこの婚約式も、本当は彼女の気を引くためだけのものだって。 きっと朝陽さんは、今の鵜野宮さんの反応を確認しているのだろう。さっき見た感じだと、彼女もこの婚約式に納得出来ないという表情だった気がする。 婚約式が始まる前に、流がどんな反応をするのか楽しみだと朝陽さんは言っていたけれど……今の私にはそれを確認する勇気もなくて。 だって、流の隣には鵜野宮さんがいるもの。 見るのが怖いのは多分、元彼の今の反応じゃない。私が目を逸らしたいのは鵜野宮さんと朝陽さん、二人の反応なんだって。 全部終わるまでこんな自分
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怒涛の婚約発表に 8

「鈴凪《すずな》さん、飲み物を取って来たのでどうぞ」「……白澤《しらさわ》さん、どうもありがとうございます」 婚約発表後に宣誓書に二人で記名してから、色んな人へと挨拶をしてまわったのだけど。正直なところ、私に対しての反応はそう良さそうではなかった。 どこの会社の社長令嬢なのか、それとも名門家のお嬢様なのか? といったような、品定めをするような質問ばかりで。 中には婚約したばかりの朝陽《あさひ》さんに、自分の娘はどうかと薦めてくるような人までいたくらい。 作り笑顔にも限界が来た頃、朝陽さんに奥に用意された小部屋で休んでいるように言われ今はそこにいる。 白澤さんはそんな私に、わざわざドリンクを取って来てくれて。さすがに喉もカラカラに乾いていたので、有難くそれを受け取ってゆっくりと流し込んでいく。「朝陽が戻るまでは、私が鈴凪さんについているよう言われてますので」「そうだったんですか。白澤さんには、色々と迷惑かけてしまってすみません」 それだけで会話は終了してしまったけれど、別に居心地の悪さは感じない。白澤さんの持つ独特の雰囲気の所為なのかな? そんな事を考えながら、ぼんやりしていると……「すみませーん! スタッフが先ほど司会をされた方に、確認したいことがあるそうなので少しいいですか?」「……すぐ戻るので、鈴凪さんはここで待っていてください」 白澤さんはそう言うと、呼びに来た男性と一緒に部屋を出ていってしまった。何となく落ち着かなくなって、立ち上がると扉がノックされる。 てっきり白澤さんが戻って来たのかと思い「どうぞ」と返事をして。 するとドアを開けて中に入ってきたのは、元カレの流《ながれ》で……その斜め後ろには、笑みを浮かべた鵜野宮《うのみや》さんもいた。「なん、で……アンタがここに?」「何でって、鈴凪がわざわざ俺に招待状を送ってくれたんだろう?」 どうやら流は朝陽さんが送った招待状を、私からのものだと勘違いしているようで。彼のそのニヤニヤした表情に、苛立ちと吐き気を感じてしまった。 鵜野宮さんはニヤつく流に横から何か耳打ちをする、その二人の様子に何か嫌な予感がして。「……鈴凪は、なんで俺に招待状を送ったんだ? もしかして今も未練があって、俺の気を引きたかったのかなって思ってさ」 まさか、そんなわけないでしょう!? あれだけの事
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怒涛の婚約発表に 9

「いきなり……なにを、言ってるの?」 流《ながれ》の意味深な発言に、心臓がバクバクと音を立てている。 この男はいったいどこまで気付いてる? それともただ何かの思い違いをして、こんな事を言い出しただけなのか。 でも彼の傍で、鵜野宮《うのみや》さんが意味深な笑みを浮かべていたから……「それ以上、近付かないで! いますぐにここから出ていかないのなら、大声出すわよ」「はあ? あのなぁ鈴凪《すずな》、俺に構って欲しいのなら素直にそう言えって」 自分が優位だと思っているのだろう、そんな余裕の薄ら笑いを見せて流が私の腕を掴みかけたのだが。 逆にその手首を別の誰かに捕まれ、慌てて二人が振り返る。 そこには先ほど部屋を出て行ったはずの白澤《しらさわ》さんが、怖いくらいの無表情で立っていて。「これは、何の真似ですか?」 ギリギリと流の手首を、強く締め上げているのが分かる。白澤さんって見た目よりも、ずっと力が強いのかもしれない。 美人は怒ると怖いとよく聞くけれど、今の白澤さんを見ていたら確かにそうだと思った。「彼の手を離してもらえないかしら? 私はただ、朝陽《あさひ》の今の婚約者にお祝いを言いに来ただけなのだから」 さりげなく強調された「今の婚約者」という部分、そこに鵜野宮さんの本音が見え隠れしてる。 つまり、この人は新しく朝陽さんの婚約者になった私の存在が気に入らないようだ。 ……朝陽さん、良かったですね。 貴方の考えたこの計画は、ちゃんと鵜野宮さんの心を揺さぶれているみたいですよ? この様子ならば、私がお役御免になる日もそう遠くないのかもしれない。 彼女がちゃんと朝陽さんだけを見てくれれば、それで私と彼の間で交わされた契約は終わるはずだから。「貴女の小狡いその性格、以前と変わらないですね」「あら……貴方なんて私が朝陽に言えば、どうにでも出来るってこと忘れてるんじゃないかしら?」 白澤さんを煽るように、鵜野宮さんはとんでもない事を平気で口にする。そんな状況に
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怒涛の婚約発表に 10

「朝陽《あさひ》さん、ちょっと待ってください! さっき白澤《しらさわ》さんが、二人を追い払ってくれたばかりなので。すぐに頭を整理して、きちんと説明しますから」「……いいえ、鈴凪《すずな》さん。私も朝陽に話しておきたい事がありますので、貴女はまだ休んでいてください」 白澤さんはそう言って私をソファーへと座らせてから、朝陽さんに向き合うとさっきの出来事を話し始める。 彼は自分が最初に席を外したせいだと説明してから、戻ってきた時の状況まで細かく朝陽さんに伝えたのだけれど……「……本当に、アイツがそんな事を? もしかしてそれは元婚約者の守山《もりやま》が、勝手にやっただけなんじゃないのか」「今の説明を聞いて、朝陽は本気でそう思うのか? 私からすれば、あの女ならこれくらいの事は平気でやると考えるが」 今ここで起こったことを話しても、朝陽さんは信じらないというような顔をしていて。 確かに乱暴な行動をとったのは元彼の流《ながれ》だけど、彼にそうさせていたのは……多分、鵜野宮《うのみや》さんの方だ。 そんな中で意外だったのは、白澤さんが鵜野宮さんに対してハッキリと嫌悪感を表していること。先程の二人のやり取りから、あまり良い関係ではなさそうだとは思っていたのだけど。 「今回のことだって……彼女がスタッフを買収して、私を鈴凪さんから遠ざけたことにすぐ気付くべきだった。私のミスで鈴凪さんに怖い思いをさせて、本当に申し訳なかったと思う」「いいえ。私はギリギリで助けてもらえたので、それだけでありがたかったです」 何度もすまなそうに私に謝る白澤さん。そんな彼を目の前にしても、朝陽さんは今も戸惑った表情のままで。 「まさか、あの梨乃佳《りのか》が? この部屋に来てまで、鈴凪にそんな事をするなんて。いったい、何のために……」「朝陽! お前は少しくらい、鈴凪さんの気持ちも考えて――」 白澤さんは私の為に、朝陽さんにそう言ってくれたのだろうけれど。自分で思っていたよりもダメージが大きかったのか、とうとう限界を感じてしまって。 「……すみません。気持ちを落ち着けたいので、少しの間だけ一人にさせていただけませんか?」 「分かりました。とりあえず私と朝陽は、フロアの方に戻りますので」 私のその言葉に、すぐに応えてくれたのは白澤さんの方で。婚約者であるはずの朝陽さんは、私
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