地下部屋へと戻った俺と先輩は、みんなのいる車へと向かった。 その途中、肩に"何か"が触れるのを感じた。 (⋯⋯すまないが、エンナを任せたよ) !? ⋯⋯今の声って 振り向くと誰もいなかった。 でも確かに聞こえた、"亡くなったあの人"の一言。 「⋯⋯任せてください。俺が必ず⋯⋯」 「喜志可くん、何か言った?」 「いえ、すみません」 地下玄関から出て、準備が完了した車へと乗る。 ⋯⋯なんじゃこりゃ、これ車なんだよな? 隣り合う個室の中央通路を歩いて行くと、突然右の個室からスアが顔を出した。 「やっぱりザイ、会長と一緒にいたんだ」 「ちょっと頼まれたからな」 「ふ~ん」 「⋯⋯別に変な事してないって。理由はなんとなく分かるだろ」 スアは拗ねたように頬を膨らませた表情から、命令でもされたかのように一瞬で普通の顔へと戻った。 「な~んてね、分かってるよ。深夜にあんな事があったら、少しの時間でも一人はやっぱ怖いもん。もし次、私が一人になりそうだったらザイが付いて来てね?」 「そりゃ⋯⋯約束したんだし」 恥ずかしさを堪えて言った甲斐もあり、彼女は喜んでいるようにも見えた。 そしてタイミングを計ったように、今度は左の個室からモアが顔を出してくる。 「あ、ザイ先輩おかえりなさい! ちょっとこっち来てください!」 「どした?」 「ここのマッサージチェア、機能がほぼ"例のアレ"と同じですよ!」 "例のアレ"て⋯⋯言い方よ。 モアの座っていたマッサージチェアに、入れ替わりで座ってみる。 「⋯⋯おぉ!」 「ね!? ほとんど同じですよね!?」 「うん。これが車内でも使えるなんて⋯⋯。けど、モアのとこだけにしかないのかぁ」 「それがですねぇ、なんと全員の部屋のイスが"これ"です!」 「はぁ!? マジで!?」 驚く俺の後ろに、いつの間にかエンナ先輩が立っていた。 「他のところでも座ってごらん、喜志可くん」 先輩に案内され、他の部屋へと入ってみる。 俺ら6人でも余ってるくらいに個室があるため、正直どこ使ってもいいようにしてくれている。 とりあえず、適当にスアの後ろの個室へと入ってみた。 そこには、"さっきと同じデザインのイス"が置いてあった。 誘われるように座ってみると⋯⋯ 「⋯⋯ヤ
Last Updated : 2025-09-28 Read more