とりあえず、やる事はやったはずだ。6階へと降りてさっさと車に戻ろう。 俺たちは幅広いエスカレーターから下り、あべのハルカス屋上を後にする。 エレベーターの扉が閉まるまで、あの"成功例とされるProtoNeLTたち"を見続けた、あんなのにならないように目に焼き付けるために。 「まだ油断しないようにしないとね。突然来るかもしれないんだし」 しっかりと注意喚起するエンナ先輩。 6階から3階に降りようとした時に、エレベーター内から出て来たヤツらが、ずっと脳裏にあるのだろう。 あの時ヤツらを一網打尽に出来たが、逆に俺らもされる可能性がある。 今回はあべのハルカスで60階もあるために、エレベーターを仕方無く使ってはいるが、今後も充分注意して使う必要があるだろう。これは絶対に忘れないようにしなければならない。 6階に到着する手前で銃を一斉に構えるが、拍子抜けなほど案外何事も無く、パーキングの方へとやってこれた。そこには一つも変わらない様子の車が待機していた。 車内に乗り込むと、どっと来た今までの疲れからか、俺は死ぬように個室のベッドへ倒れ込んだ。 あんなずっと死の緊張感と恐怖感に苛まれた中でいたんだ、体力の消耗が激しすぎる。 とにかく今は寝たい。次の事はまた起きてから考えりゃいい。 そうして目を瞑ると、あっという間に深い眠りへと落ちていった。 ♢ ⋯⋯ん、なんか首の後ろがくすぐったいな。 ってか、俺寝てたのか⋯⋯。 ゆっくりと振り向くと、そこにはくっ付くように添い寝しているモアがいた。 「⋯⋯なにやってんだ?」 「すみません、ちょっとだけうなじを嗅ぎたいなと思いまして⋯⋯起こしちゃいました?」 「そりゃそうだろ。⋯⋯ちょっと後ろ向いてみ、代わりにやってやるから」 「は~い、どんな感じなんでしょう」 モアはくるっと背中を向け、綺麗に伸びたサラサラの長髪を手で纏める。そして、彼女の綺麗なうなじが露出した。 ⋯⋯今気づいた、これセクハラじゃないよな? 「する前に一つ聞くが、やらしい事されたって他に言いふらしたりしないよな?」 「えぇ!? しませんよそんな事!? (むしろやらしい事して欲しいのに⋯⋯)」 また何かぶつぶつ言ってるような⋯⋯。 まぁいい、こ
Last Updated : 2025-10-13 Read more