Semua Bab 異常のダイバーシティ: Bab 61 - Bab 70

93 Bab

61. 賛否≪DO/or/NOT≫

 さっきあれだけいたのが嘘みたいに、一気に閑散とした2階となった。  金氷月のヨハレ、ミステリアスでありながら嵐のような女の子だったな⋯⋯。  SNS上で金氷月らにヒットしそうな事柄を並べても、検索には一つも出てこなかった。  周りを囲っていた見学者たちが、それほどしっかり守っているのだろうか。  だいたい一人くらいは破ったりするけど、宗教にでも入っているかのように、一人も約束を破る人間が出ていない。  もしかして、ネット上に出したら殺すとでも脅されているとか⋯⋯?  それさえも、崇拝対象として持ち上げていたりして。  真似た金ローブを着たりしてたから、相当なものには感じる。  あれはなんだったんだろう、誰かが作って売ってるのか?  そして、金氷月の他3人は男のみで20代前半から半ば辺りくらいだった。一人は長髪細見の男、もう一人はガタイのデカい筋肉男、最後の一人はオールバックのイカつい男だった。その3人は、見るからに話しかけるなというオーラを醸し出していた。  唯一、ヨハレだけが外交サービスを積極的にしているようだった。  その4人に共通していたのは、"どれも同じ形状のハンドガン"を握っていたという点。ということは、あれらもヨハレの撃った一発と、同等の威力なのではないかと思われる。  変わった連中と出くわしてしまったが、梅田にいる限りはまた顔を合わせることになりそう。  特に、ヨハレとの約束は守らないと、何されるか分かったもんじゃない。  とりあえず、敵対しないようにだけはしておきたい。 「さて、そろそろ3階へ続くところを探しましょうか」  エンナ先輩を先頭に、俺たちは大阪駅2階の探索を再開した。  そして複雑構造となった2階フロアの中心の方へ、歩けば歩くほど"ProtoNeLT"が倒れされており、傍にはいつも"金色の氷に包まれた弾丸"が数発。  当然の如く、金氷月が開拓した轍がどこもかしこもにある。  これだけやってくれてるのであれば、車岡が言っていた"ごっついバケモン"とやらもいなくなっていたりして。  と、考えていた数秒後―― 『グオァァァァァァァァッ!!!!』 「⋯⋯待って⋯⋯な⋯⋯なに今の⋯⋯」  エンナ先輩が立ち止まり、全員もたちまち止まる。  薄暗い赤と青の静寂空間を裂くようにして、響いた何者かの凄まじい
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-25
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62. 部隊≪Self-Defence-Force≫

 大阪駅の3階手前で、対立してしまった意見。  正直、どちらにも"メリット・デメリット"があるため、今一度意見を整理して並べてみる。  エンナ先輩の待つ選択を取れば、金氷月がもしかしたら3階の様子を見てくれるという点と、戦略を立て直せるという点。  ただし、金氷月が3階へ行かなかったとなると、ただの無駄時間になり、次からは"ProtoNeLTやバケモン"がさらに増えている恐れがある。  一方、アマの進む選択を取れば、ヤツらが減っている状態の大阪駅ダンジョンとなっているので、比較的攻略はしやすい。バケモンさえどうにかすれば、軽微で"屋上新エリア"へと辿り着ける見込みがある。  しかし、軽微と言ってもあくまで対抗出来たらの話で、もしアマの使う"階銃"でもキツいとなると、ただでは済まないだろう。最悪、バケモンがヤバい場合は、この中から何人か死人だって出る。  考え続けている俺の方へと、5人の視線が刺さる。  お前はどっちにするんだ早く決めろと、物静かな目線が言っている。  結論から言うと、もう俺の選択は決まっている。  後者のアマの意見に従うべきだと思っている。なぜなら、時間が経つほど人が増えるというのもありそうで、"かいじゅう"が目立ってしまう欠点もありそうだからだ。  そうなる前に決着を付けてしまい、次の理由探しへと手を付ける方が一番楽じゃないだろうか。  ⋯⋯って思ってるけど、もしもの時の責任の重大さが⋯⋯  そうなれば、俺たちは誰も信用できなくなって、目も合わせられなくなって、下手したらここで解散することにもなって⋯⋯。  ⋯⋯嫌だ、まだこれからって時にそんな事になりたくない。  1か月後、お互い生き延びていたとしたら、どんな顔で会えるっていうんだ?  片方は恨まれ、片方は一生深い傷を背負って、そんな苦しい未来に何の意味がある?  これは決して考えすぎなんかじゃ無い。それほどの岐路に立っていると言っても過言じゃないんだ。 「俺は⋯⋯」  言おうとした時、急に"ルクア2030"の店内から迷彩服を着たグループが出てきた。  一人一人がアサルトライフルを所持し、中にはロケットランチャーを背負ってる人までいる。 「⋯⋯ん? 高校生か? こんなところで何をしている、危ないからさっさと家に帰りなさい。今、大阪全体がどういう状況なのか知っ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-26
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63. 総力≪All/Efforts≫

 かなり離れているのに、こちらの全身にまで熱さが伝う。  あんなもん撃たれたら⋯⋯俺たちまで焼き溶ける⋯⋯! 「アマッ! 階銃をスアのに撃てッ!! あれだったら、あの"デカい金の時計塔"を止められるかもしれないッ!!」  俺の叫びに頷き、階銃を取り出す。 「⋯⋯白神楽さん、アイツに構えて!」  アマが言うと、スアは即座にヤツへと"苅銃"を構えた。  銃口辺りからピンクの鏡を乗せた羽が4枚伸び、新型人工衛星の顔へと移行する。  あの銃を学園で初めて見た時の印象は、今でも強く脳裏に焼き付いている。  "赤いProtoNeLT"の色を剥がし、動きを止めたという事実を。  俺、アマ、エンナ先輩、スアの4人の中だったら、ここで適任なのはスアなんだ。  そして階銃が放たれると、スアの"苅銃"は強制突然変異し、"別個の鏡がたちまち広大化"し始めた。  なんとその鏡からもピンクの衛星が現れ、俺の海銃5頭の時と同じような、芯部含めた"計5機の新型人工衛星"へとなった。  それが撃たれた瞬間、まるで交換されたかのように5機へと何かが吸い込まれ、と同時にヤツの"デカい金の時計塔"は真っ白くなってひび割れていく。  動いていた時計の黒い針も止まっており、再び高熱なものは溜まる様子は無かった。 「次はエンナ先輩にッ! ここで叩き込まないと終わるッ!」  さらに先輩の"壊銃"へと、アマの階銃の一撃が注ぎ込まれと、"オーロラのようなウェディングベール状の4枚羽"が前面を包み、"2頭の恐竜口はより凶悪なモノ"へと変わり果てた。  それらからは数えきれないほどの、ベールに包まれた四角い純白レーザーが一斉放出されていく。  しかし、"機械巨竜?"の右腕を飛ばしただけで、ヤツの動きを完全にどうにかするまでは至らなかった。 「あれをくらっても片腕なのかよ⋯⋯ッ!」  刹那、ヤツが俺らの方を向く。 『グオォォォォァァァァァァァァッ!!!!!!!!』  あまりに不快な雄叫びが3階全体に反響し、呼ばれたように来た強風で目を瞑ってしまうと、開けた時にヤツはいなくなっていた。 「アイツ⋯⋯どこ行った⋯⋯?」  ヤツがいたとこには、さっきのが嘘だったみたいに何も無い。  本当に嘘だったんじゃないかとさえ思えてきた。  仕舞っていた"不可思議な羽根"を今一度見てみると、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-27
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64. 改札≪TicketGate≫

 本来なら、こっちの方には改札口があって、その右奥にエスカレーターがあったんじゃなかったっけ。  それで、階段で下の階にも行けるようになっていたという記憶がある。  これまでのフロア変化からして、以前の覚えが頼りにならなそうではあるけど⋯⋯。  考えを張り巡らせながら、右の大きな窓先の電車がふと目に入る。  ちょうど出発するタイミングのようで、物静かなままに10両ほどある電車が走り出した。 「こんな状況でも電車って動いてるんですね。あれもきっと車と同じで、無人のAIのままなんでしょうけど⋯⋯なんだか怖く感じます」  斜め後ろを付いてきていたモアが俺の隣へと来る。 「いつもと同じ動きしてるのに、環境が変わるだけでこんなにも違って見えるんだもんな。ずっと見てたらなんかメンタル逝かれそう」 「先輩方がいなかったら、あたしも発狂してそうです」 「俺も一人だったらどうなってるやら」  「⋯⋯早く新策を終わらせて、前みたいにランクマ回したり、大会やイベントに出たり、それこそ先輩たちとゆっくり楽しくお喋りしたいです。だからまだ⋯⋯死にたくない。"あんなの"になってからザイ先輩と会いたくないです」  その横顔から漏れる本音は、彼女の生そのものを映しているようだった。  "あんなの"は言わずもがな"ProtoNeLT"のこと。もちろん俺も同じ気持ちでいるからこそ、一人として欠けてはいけないという想いが強まる。  だけど遮るように、"ヤツに成り果てたモア"を想像してしまい、胃液が逆流しているような吐き気が急に喉を襲ってきた。 「ザ、ザイ先輩!?」  手で口を塞ぐさまに、彼女が俺の背中を摩(さす)る。  そのすぐ後に「ザイ!?」と、スアまでもやってきて、さらにみんなまでもが集まってくる。 「⋯⋯ごめん急に、なんでもないから」 「一度休んだ方が⋯⋯」  心配そうにモアが顔を寄せてきた。 「大丈夫、このまま4階を探しに行こう」  口中の気持ち悪さも彼女のありえない妄想死も、何もかも無理矢理飲み込んで俺はまた歩き始める。  これくらいの理由で足枷になっちゃいけないんだ。せめて車に帰るまでは、何があっても踏ん張らないと⋯⋯。  上を向いて大きく息を吸って吐き、さらに身体をクリアに持っていく。 「⋯⋯え? あっち、なんか結構人いない?」  唐突にエ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-28
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65. 認定≪Certification≫

 倒れているヤツを気にする素振りも無く、固まって並んでいる俺たちの横を、"数体のProtoNeLT"が見向きもせず通り過ぎていく。  言うまでも無く、コイツらが襲ってくる様子は毛頭無い。  どこを取っても、あべのハルカス屋上で見た"成功例の一部"と言われたヤツらと大差無かった。  目指すはやはり4階のようで、通り過ぎて行ったヤツらは順にエスカレーターで上って行く。  人間同様に会話しながら歩くのもいるのだが、見れば見るほど"生きているってなんだろう"という問いに駆られる。 「⋯⋯っざけんな。こんな空っぽな大阪になるように、"あのクソ知事"はしてるって事で間違いねぇんだよな? 俺たちがヤツらになったらさ、終いには"こんなん"になんのか⋯⋯?」  問われているのは俺だけでは無かった。  ケンの一言を発端に、みんなが不安そうな顔をする。  こんなのが自分の人生を代わって生きていくなんて、何度だって否定するしかない。 「はっきり言って、ゾンビよりは街の破壊も無くて、人間生活をほぼ自然と維持できて、環境へのナチュラルな溶け込みを見込める。けど、それをさせればさせるほど人間はいなくなって⋯⋯"このAIだけ"になるのよね」  エンナ先輩の呟きは、まさに"この大事件の芯"を突いている。  きっとこれから先もぶつかり続けるのだろう、この芯に。 「⋯⋯ねぇ、これなんだろう? "この脳味噌?"の中に、何か英語が書いてあるっぽい」  倒れて頭の中身をぶちまけている"ProtoNeLTの1体"を、しゃがんで見ながらスアが言う。  それの傍にも"金色の氷に包まれた弾丸"が何発も落ちており、さっきの金氷月の長髪細見の男がやったんだとすぐ読み取れた。  そして俺もスアの横へ行き、彼女が見続ける"ソイツの脳味噌?"を凝視してみた。 「"Certified Diversity KiLLer"⋯⋯って書いてあるのか? 和訳したら"認定された多様性殺人者"って意味⋯⋯ぐッ!?」  読み上げた瞬間、脳に変な電気が走ったような感覚がし、突如あの日のことがフラッシュバックし始めた。 ♢「え、スアちゃん!? 大丈夫!?」 「⋯⋯すみません、ちょっと気分悪くて⋯⋯」 「どこか座る? 何か飲む? 救急車呼ぼうか!?」 「す、すんませんエンナ先輩! 俺たち、明日の準備もしない
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-29
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66. 入禁≪UnEntry≫

 あの一番奥の扉はスアも見ておらず、唯一話せるのは俺だけ。 「⋯⋯え、待って、大学内にそんなのがあるなんて初めて聞いた。説明も紹介も一切されたことないわ」  そうか、結局先輩には気を遣って話さなかったんだった。  引き抜きで編入したばかりで落胆させたくなくて、ずっと茶を濁してきた。  もうここまで来たら話すしかないよな⋯⋯。 「エンナ先輩、オープンキャンパスで案内してくれた先週の金曜日、俺とスアが少し離れた時間がありましたよね。あの時、学際理工学研究科棟で"謎の扉"を見つけたんです、【ProtoNeLT ONLY】って書かれた赤と青の扉を」 「⋯⋯なにそれ⋯⋯全然知らない」  予想通り何も知らないか。  こうなったら、洗いざらい話しておく方がいいはずだ。 「その扉の先に、"New DiversityROOM 1"って名付けられた謎施設が広がっていたんです。あそこには"大量のProtoNeLT"が座っていて⋯⋯ProtoNeLTの日岡知事も、同級生のコウキも大井さんも座っていた。その3人の足元に⋯⋯"ヤバそうな冷凍の棺桶"があったんです」  話す途中、アマが割って入って来た。 「ストップ。その話って、2日前の日岡知事の会見直前に"ある場所に二人の首無し死体があった"って、ザイ君の話そうとしていたので合ってる?」 「⋯⋯お前ほんとよく覚えてるな。あの時は適当に誤魔化そうとしたんだ、編入したばかりのエンナ先輩に迷惑かけたくなくて。けど話そうとした瞬間、知事の会見が始まって話せなかったけどな」 「そうか⋯⋯。でも僕も同じ事しただろうね。ごめん、話を続けて」  俺はさらにこの数日間と今を繋いでいく。 「さっきの"ヤバい冷凍棺桶"の話に戻すと、そこには日岡知事、コウキ、大井さんの"3人の首無し死体がそれぞれ入っていた。さらには、棺桶横のホログラムパネルに"死因と名前"が表記されてた。ここまでが俺とスアが共通で見た内容だったんだ」 「じゃあ⋯⋯ザイだけ【Diversity KiLLer ONLY】ってのを見たんだよね⋯⋯?」  スアの疑問に、俺はまた頷いた。  そのさらに意味不明な扉には何があるのか、確認しなきゃいけない時が来たのかもしれない。  黙って聞いていたケンとモアも唖然としている様子。 「⋯⋯え、ザイ先輩!? 顔から血ッ!? 血が
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-30
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67. 遊園≪UmedaHeaven≫

 4階に着くと、目の前に芝生と遊び場一面が広がり、さらには"現状では信じられない光景"があった。 「おい、おいおいおい、コイツら呑気に休んだり遊んだりしてやがんぞッ!?」  ケンが叫ぶのも無理はない。  3階よりも多い"ProtoNeLTたち"が、芝生やハンモックで寝転んだり、サッカーしたりバスケしたりしているのだ。  もっと奥には、簡易的なボーリング場やバッティングセンター、テニスコート、卓球場などもまだまだある。  よくあるレジャー施設ほどではないにしろ、ちょっと遊ぶにはちょうど良さそうな感じだろうか。 「どこまでも乖離があるね、よく見る普段のProtoNeLTとは」 「⋯⋯そうだな」  呟くアマに適当な返事をする。  中には、休み終えて3階の改札口方面へ降りて行くヤツもいる。  こいつら全員も3階同様に何かしてくる様子は無く、この生活を満喫しているようにも見え、まさに大阪府民や観光客という感じだった。  つまり、これらも"成功例の一部"というヤツらに含まれるのだろう。  そして意外だったのは、案外すぐ傍に5階へと続くエスカレーターがあった点で、この4階フロアではいちいち探す必要は無さそうだった。 「⋯⋯さっさと5階へ行っちゃいましょうか。眺めてても得られるものは無さそう」  先輩がエスカレーターへと向かい、俺たちも続く。  乗ってから今一度振り向き、休んだり遊んだりしている"アイツら"を見続けた。 「なんか気になるとこ、ありそう?」  一番後ろに乗っているスアが、後ろから2番目に乗った俺に対し、少し顔を上げて聞いてくる。 「いや⋯⋯やっぱりアイツら、関係あるのかなって」 「さっき話してた【Diversity KiLLer ONLY】ってとことだよね。名前からして何か繋がってそうだけど⋯⋯今は考えるのやめとこ。興奮してまた顔から血が出ちゃうかもよ」  確かにそうだ。  深堀りするべき内容だけど、今するべきことではないか。  これ以上、みんなの邪魔にならないようにしないとだ。  何より、またスアに抱き締められて頭を撫でられるってなったら、恥ずかしくて死にそう。  そこから5階、6階、7階⋯⋯と上へ上へと進んでいったのだが、ヤツらに特に何かされる事も無く、"屋上庭園"へとすんなり来ることが出来た。  夏の夜風が心地よ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-31
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68. 二在≪Reason:2≫

「もぉ~、待ちくたびれましたよ~!」  上がった瞬間に話しかけてきたのはヨハレだった。  そして、俺たちの方へ大勢の視線が向く。  金氷月の他3人、その信者らが30名ほど、自衛隊20名ほど。  こうして見ると、なかなかな人数だな⋯⋯。 「"アレが皆さん集まるで待て"とか言うんで、ここでずっと待ってたんですよ~?」  ヨハレが指差す先には、巨大立体ホログラムで現れた"日岡知事らしき人物"がまた映し出されていた。  あべのハルカス時と大きく違ったのは、大阪駅屋上新エリア【存在しないはずの秘密名所】という名前と、ここには"赤と黒の見た事無い桜"が咲いている点。  その桜は、この秘密名所の天空庭園を囲うように各所に植えられており、まるで浮きながら夜桜をしているのように感じる。 「⋯⋯今度は僕の銃と瓜二つといったところか」  アマの見ているエリアの中央を目を凝らして見ると、"とてつもなくデカい赤と黒の桜の花"が置かれており、その真ん中から"樹竜の顔"がどデカく飛び出している。  まさに、アマの使う"階銃"をモチーフとして作られたような、同じ空気感が漂っている。  『では、集まったようですので始めさせて頂きます』  突如として、巨大立体ホログラムの人物は口を開き始めた。 『こちらで用意した"ProtoNeLTを否定する理由"を、この場で各自記入して下さい。記入された方には、私のサインが左下へと追加されます。それらを6つ全て集め、大阪府庁へと来庁された場合は、私が直に新ダイバーシティ策の是非を問います』  その後、すぐに知事の頭上に"理由2"が現れた。 ≪理由2:ProtoNeLTの目的は×××だから≫ 周りを見ると、金氷月の男3人以外は見様見真似で記入しているが、あの3人だけは腕を組んで突っ立っている。  なんであいつらは書かないんだ⋯⋯?  ヨハレに任せて自分はやらないとか、そんな感じなんだろうか?   なんか見た目通りというか、面倒なことはやりたくなさそうだし、こっちとは正反対で相容れなそう。  "理由2"を記入し終えると、俺の黒いパンフレットの左下に"2つ目のサイン"が浮かび上がっていく。 『最後に、帰るあなたたちに一つ教えておきます。この大阪駅3階からこの屋上までで"変わった人々"を見かけたはずです。彼らは貴重な"ProtoN
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-02
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69. 背後≪Behind≫

「いや~、案外話せばいい人らだったっすねッ! エンナ嬢ッ! まぁ、タオルとジュースくれたお姉さんがいたおかげだけど。あの人の名前なんでしたっけ?」 「"ヒバレ"さんね。おかげで金氷月との勘違いを正せたし、いい仲介役を担ってくれたわ。これからも自衛隊の方々と良い関係でいたいわね」  先を歩くケンとエンナ先輩の会話が伝う。  あの自衛隊のお姉さん、俺は女神と勝手に脳内で呼んでいるが、あの人がいなければ和解は無かったんじゃないだろうか。  俺たちに常に寄り添ってくれて、行動する意志の強さも凄く尊重してくれていたように感じる。  さらに"日晴(ひばれ)"って名前も相まって、なんか"夜晴(よはれ)"と対比があるというか⋯⋯。  反対に、白い迷彩柄の人である"西井隊長"は結構昔の考えを持ってるというか、若干昭和感があるんだよな。最初、俺たちの話を最後まで聞いてくれなかったのもあったし。  だけど、ずっと凝り固まった頭脳を持っている訳では無く、腹を割って話せば、高校生の俺にも合わせてくれる人だった。  西井隊長は、誰も死なせたくない、生きて家族と会わせてあげたい、その気持ちが強すぎた結果があれだったのだ。  厳しい反面、愛情ある優しい心の持ち主なのは間違いない。  その隊長が話してくれた内容によると、どうやら"駐屯地"でもヤバすぎる事件があったそうだ。  大阪には二つの代表する駐屯地があり、八尾駐屯地と信太山駐屯地がある。そのうちの勤務していた八尾駐屯地で起こった出来事らしいが、たぶん信太山の方でもあったのではないかという。  新ダイバーシティ策が始まった直後、知事に騙されて多くの部隊が"ProtoNeLT"に襲われ、ほぼ壊滅状態になってしまったとのこと。  そんな生死の境目の中、どうにか生き延びたのが"この部隊"だったようだ。  他にも生き延びているかもしれないが、L.S.での連絡が取れない状況のままらしい。  つまり、残ったこの部隊の仲間たちのためにも死んではいけない、死なせてはいけないという極限の緊迫感の中で、最適解を選んでいかなければという強い思いが西井隊長にはある。  背景を知らなければ、やっぱり分からないことも多い。  まさか自衛隊までもがそこまでやられてるなんて⋯⋯ヤツらの恐ろしさを改めて感じる。  "海銃"が無かったら俺もヤツに
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-04
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70. 銃面≪GunMask≫

「みんなッ! 早く逃げろッ!!」  呼び掛けに返事が無く、4階へのエスカレーターを下りている方を一瞬見ると、なぜか一人もいない。  つい今降りて行ったばっかりなのに、こんなのありえる訳が無い。  おかしい、絶対にこんなのはおかしい。 「⋯⋯みんな⋯⋯どこに」  考える暇無く、"海銃の仮面?"の何者かがまた銃を構えてくる。  それはなんと、"俺と全く同じ海銃"を握っていた。 「なんでそれを持って⋯⋯」  そう言った瞬間、脳裏の視界に見知らぬ動画が浮かび上がり、妄想世界に全身が包まれた。  謎の棺桶のような中から、スノーノイズが張り詰められた天井一面、ただそれだけを眺めているだけの動きもしない一人称視点。  何だったのか分からないまま、ふと現実に視界が戻ると、ヤツが放った"色彩の小波弾"が直前まで迫っていた。  弾速が俺のより圧倒的に遅く、バックステップで避けた後、俺も水色のハイスマートグラスを海銃へと遷移させる。  ⋯⋯こんなに遅いんだったらやれる、こっちの海銃で  反撃に放った"自分の色彩の小波弾"は、ヤツの"海銃の仮面?"の中心に命中し、面が割れて朽ちていく。  その下には"スアの苅銃のような仮面?"があり、まさかのアイツの海銃も苅銃へと突然変異した。  ピンクの新型人工衛星と、鏡のような4枚羽が広がっていく。 「んなッ⋯⋯!? それはスアのだろうが⋯⋯くそがッ!!」  ヤツが苅銃を向けて来た時、また理解不能な動画が脳を支配し、動画再生の妄想世界へと飛ばされた。  そこには、スアが泣きながら冷凍棺桶を見つめていた。 『なんで⋯⋯なんで私を置いて行っちゃうの⋯⋯? ザイの脳を治すために、私はずっと頑張ってきたのに⋯⋯これからどう生きればいいの? ⋯⋯あ、そっか。こうすればまた、一緒にそっちで生きられるもんね⋯⋯?』  すると、スアは唐突に苅銃を自分の額に向け始めた。  なにやってんだ⋯⋯スアやめろッ!!  俺はここにいるだろうがッ!! お前なに見てんだよッ!!  また動画が終わって視界が現実に戻る。  スローに感じた"ピンクの衛星光弾"をスライディングで潜り避け、真下からヤツの顔面へとまた一発ぶち当てる。  さらに割れたヤツの面から、"エンナ先輩の壊銃のような仮面?"が飛び出し、まだ終わる気配が無い様子を見せてくる。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-05
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