ん⋯⋯何時だ、今。 すぐL.S.を見ると、≪2030/08/20(水) AM 06:03≫とある。 まだ朝の6時なのかよ。 「⋯⋯え、あれ?」 ふとナイフが刺さっていた右腕の傷跡を確認すると、なんと跡形もなく消えていた。 何回摩(さす)ってみても、された事すらも無かったかのようにも思えてしまう。 そういえば、唇の切れた部分や口内炎があるところも、舌で触ってみたら治っている気がする。 こんな一日で全て治るなんてことあるのか⋯⋯? ってことは、もしかして後頭部も⋯⋯。 ⋯⋯何も無い、どこを触っても何も無い。本ケガしたのかすら怪しく感じてしまうくらいに。 実はまだ寝てるんじゃないか、こんな現実と相違無い世界で。 「ザイ選手、おはようウニャ」 どこかからウサネッコの声が聞こえた。 「見つけられるウニャか?」 「⋯⋯いるならさっさと出て来いよ」 「そう言わず、朝のストレッチだと思うウニャ」 朝から面倒な野郎だが、こいつのおかげで自分がしっかり起きているのが分かった。 仕方なく付き合い、周囲を見渡してみるが、一向にウサネッコの姿が見当たらない。 こんな時は、声の位置に惑わされてはいけない。 と思い、俺は天井を見上げた。 「さすがザイ選手、いとも簡単に見つけたウニャねぇ~」 「なんでそんなとこいんだ、お前は知事より忍者を目指してんのか」 頭上で反重力でも発生したかのように、天井に足を向けて謎に立っていた。 「人間には出来ない体験を見せるのも、AIの面白いとこウニャ」 よく分からない事を言いながら、ウサネッコは俺のベッド横へと、ぼふっと音を立てて降りてくる。 「それはさて置き、"新情報"を入手したウニャ。"理由探し収集用のパンフレット"は、どうやら配布された枚数が1000枚以内ほどに限られているようウニャ」 俺はL.S.のホログラムパネルを複数展開し、改めて"黒いパンフレット"を見る。 これが1000枚以内の限定なんて、早いもの勝ちみたいな状態だったのだろうか? ヤツらから逃げるのに成功すると誰でも得られる、そう思っていたけど、この大阪内で1000人しか持ってないんだな。 でも、例え持っていたとしても、これまで辿った"あべのハルカス屋上新エリアや大阪駅屋上新エリア"を見るに、そこに行くま
Terakhir Diperbarui : 2025-11-18 Baca selengkapnya