安輝は凌の頬にチュッとキスをして、感謝の気持ちを表した。「凌おじさん、ママは凌おじさんが忙しくて僕に会いに来る時間がないって言ってたよ」安輝は頭をかきながら、忙しいはずの凌おじさんがどうしてまた来たのかがイマイチわからない様子だった。美鈴は少し気まずそうにしていた。凌は美鈴を深く見つめ、安輝の柔らかい髪を撫でた。「もちろん安輝に会いに来るさ。俺は安輝が病気を治して、お腹の中にいる君の妹を守れるようになるのを待ってるんだ」安輝は手を叩いて、かなり嬉しそうにしていた。美鈴は心の中で呆れていた。彼女は気づいた。凌はわざとお腹のいる子の話で安輝を釣っているのだと。凌は、自分が安輝を悲しませないとわかっていた。だから、安輝がお腹の子のことが好きで、産まれてくるのを楽しみにしていれば、自分はお腹の子をしっかり守るだろうと凌は思っているだろう。男が本気で頭を使うときは、女なんて勝ち目ないんだよね。安輝の体は弱っているため、美鈴と安輝は一緒に長くいられず、美鈴は初江が依頼したシッターによって追い出された。初江は安輝のあらゆる面倒を見ていた。償うためなのか、他に理由があるのかはともかく、とにかく美鈴は初江に感謝していた。二人は一緒にエレベーターに乗った。エレベーターは一階ずつ降りていった。凌は変わっていく数字を見つめながら言った。「あとでみんなと食事することになってるんだ。一緒に行こう」「行かないわ」美鈴は拒否した。そして、エレベーターが20階に到着した。美鈴が出ようとした瞬間、凌に手首を掴まれ引き戻された。エレベーターのドアが閉まり、下へ向かって動き出した。「これは相談ではない、決定事項だ」凌は冷たい口調でそう言い、乱暴に美鈴を車の助手席に押し込んだ。美鈴は凌と喧嘩したくなかったので、おとなしくシートベルトを締めた。車は駐車場を出て、30分後にとあるレストランの前に停まった。美鈴は、「来てしまったからもう仕方ない」というような態度で、凌に連れられて二階にある個室へ向かった。個室は上品な雰囲気が漂っており、すでに何人かが着席していた。美鈴は一目で明日香と霖之助がいることに気づいた。単に榊家の家族の食事なのかと思ったが、彰と雲和、そして珠希の姿も見えた。珠希の隣には、威厳
Read more