Semua Bab ~スーパー・ラバット~ムーン・ラット・キッスはあなたに夢中: Bab 101 - Bab 110

123 Bab

~第十八章⑫~ キラーリ公主が後悔するとき

 フツーではない主婦「キラリ」に変装。ムーン・ラット・キッス女王が「朝井うさ子」を名乗って勝手に「婚約者」と決めつけている朝井悠馬の自宅を偵察に来たキラーリ公主。  キッチンのゴミ箱の中から一枚の写真を拾い上げた。  その写真にはキラーリ公主もよく知っている人間の姿があった。地球総攻撃に向けた調査のため、地球に潜入していたサライである。  サライが悠馬と肩を寄せ合ってVサインをしている写真だった。  ふたりがどんなに親しく、どんなに信頼し合っているか。キラーリ公主は一瞬で理解した。それなのに……。  日本の自衛隊や軍備を探るため、キラーリ公主はサライに田辺との結婚を命じた。  間違いない。サライは悠馬を助けるために地球に向かおうとしたのだ。そのサライを捕え、アマンが助命を願い出ても相手にせずその命を奪った。  キラーリ公主はブルブルと震えて写真を見つめた。丸められていた写真を丁寧に伸ばし、テーブルの上に置いた。写真についたゴミも丁寧に払った。  そのままテーブルの前で、写真を見つめたまま、立ち尽くしていた。  しばらくしてキラーリ公主の目が光り、一筋の涙が流れた。一筋の涙はやがて川となり、キラーリ公主の足元へ滝のように流れ落ちていった。「こめんなさい」 振り絞るような声だった。  すぐにキッチンに近づく足音か聞こえた。キラーリ公主はあわてて写真をハンカチに包んでバッグにしまった。  悠馬が緊張した表情で入ってくる。キラーリは出来るだけ平静な態度を装った。床に出来た涙の湖を、履いていたスリッパで隠した。「分かりました?」 何事もなかったように笑顔で尋ねる。悠馬はうなずき、一枚のメモ差し出した。「ネットで調べてみました。僕たち未成年は見られないデータばかりでしたけど、その会社か入っているビルの名前が分かったので、そこから詳しい場所を調べてみたんです。でも……」 悠馬は真剣な表情でキラーリ公主の顔を見た。「キラリさんが働くような場所じゃありません。どうか、行かないでください。お願いします」 悠馬は大声で訴えると、頭を深く下げた。「お願いします」 悠馬の顔が真っ赤に変わり、恥ずかしそうに下を向いた。「子どもが生意気なこと言ってすみません」 キラーリ公主は心からの笑顔を悠馬に向けた。この少年が真剣に自分のことを心配している様子が
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-09
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~第十八章⑬~ アマンは優しく語る

 マンションの一室。今、キラーリ公主は月にいるときと同じように、羽毛布団の中央に、半透明のシルバーのシュミーズを着て仰向けに寝そべっている。  胸の乳首とわずかな周辺だけを隠すシルバーのマイクロビキニブラジャー、そしてマイクロビキニランジェリーを身につけ、何度も鏡で自分の姿をながめていた。  アマンは先ほどと同じ、赤のブレザーの学生服姿で、長いつきあいとなるセレネイ王国の実質的な権力者を見つめている。「どうかされましたか?」 アマンが声をかける。キラーリ公主は手にした鏡をベッドの上に放り投げた。「自分の姿を見ていたの」 アマンは鏡を拾い上げてテーブルの上に置いた。「ムーン・ラット・キッス女王が朝井悠馬という少年のそばにいることは間違いありません。今はバレリー広報官のもとに出かけていますが、まもなく戻ってくるでしょう。この情報をエブリー・スタイン公子にお伝えしましょうか?」 「必要ない」 キラーリ公主はキッパリと答えた。「弟は自分で何もかも出来るつもりでいるんでしょう。だからアマンの補佐は必要ないと追い出した。それならサッサと自分で探せばいいじゃない」 ムーン・ラット・キッス女王。彼女は地球総攻撃にあたって必ず抹殺しなければならない人物である。だがキラーリ公主は、セレネイ王国の敵の居場所をエブリー・スタイン公子に秘密にしておくというのだ。エブリー・スタインが女王を探し出せるかどうかも分からないというのに……。  そもそもキラーリ公主は、今では地球総攻撃への興味をすっかり失っているように感じられた。  キラーリ公主がため息をつく。「私ってひどい女だよね。醜いよね」 そう言ってアマンの方に顔を向ける。「あなたも心の中ではそう思ってるんでしょ」 アマンは大きくうなずいた。「はい、その通りです」 「ちょっと! そこまで言わなくてもいいでしょ」 キラーリ公主は大声を出したが、いつもの元気はなかった。「今日ほど自分がイヤになったことはない。これではセレネイの指導者として失格だと思う」 アマンが大きくうなずいた。「これからです。あなたが人間として成長した姿を、私はハッキリ見ました」 アマンの顔には微かな笑みが浮かんでいた。ふとベッドのふちにシャープペンシルらしきものを見つけて手に取ってみた。  これは確か……。  うっかり起動の
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~第十八章⑭~ アマンだって告白します

 説明しよう。銀河系の多くの惑星で広く使われている三次元カメラである。撮影された被写体が立体の静止画や動画で目の前に再現される。 さすがにどの銀河系惑星も、この立体カメラをスマホのカメラ機能に加えるには至っていない。キラーリ公主が使っているのは科学技術が一番進歩しているナショナ星で製造された立体カメラ「ルキッド」である。シャープペンシルのような形態で手軽に持ち運びが出来る。ここまで軽量化された三次元カメラはほかには見当たらない。 ベッドの上に、テーブルに向かって座った悠馬の姿が浮かびあがる。立体動画の中の悠馬が、はにかんだ顔でこちらを見つめる。「やめて。ルキッドを返して」 キラーリ公主ったら、今まで見せたこともないような動揺した表情、叫び声。いつもは絶対服従のアマンだが、例えセレネイ王国の摂政の言葉でも、こればっかりは聞けません。アマンはサッと身をかわす。 立体動画の中の悠馬が口を開く。「キラリさんが働くような場所じゃありません。どうか、行かないでください。お願いします」 悠馬の恥ずかしそうな表情。「子どもが生意気なこと言ってすみません」 アマンが、じっと悠馬の表情を見つめている。キラーリ公主の大声!「ちょっと~、 返しなさいよ! 例えあなたでも反逆罪になるからね」 キラーリ公主がアマンから三次元カメラ「ルキッド」をひったくる。すぐに悠馬の立体動画が消えた。 だがアマンは、悠馬の姿が映っていたベッドの上を、キラキラ目を輝かせて見つめている。「真剣に真面目に相手のことを考えてくれる人」 アマンの目が潤んだ。現実主義者、いつも気難しく厳しい表情を崩さないアマンが、キラーリ公主の前で初めて見せた純情な乙女の表情。そして泣き出しそうな口調。「彼さえいれば、私はもっと大きなことが出来るような気がする」 アマンのつぶやき。だがキラーリ公主の耳には、最初から最後までハッキリと聞こえていた。「反逆罪! 反逆罪」 キラーリ公主が部屋をゆるがす大音声を響かせる。「それ以上言ったら、例えあなたでも反逆罪で軍法会議だからね」 だがアマンといったら、いつもの鋭さは完全に消え失せ、ボンヤリと宙を見つめている。「ア・マ・ン」 キラーリ公主はアマンの手をとった。「私ね、サライが自分の生命を賭してまで助けたいと考えた少年に会ってみたいと思った。ほんの好
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-10
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~第十八章⑮~ アマンだって恋させてもらいます

 キラーリ公主は、アマンが朝井悠馬に心を奪われたことを知り、セレネイ王国摂政の権力を振りかざし、悠馬への思いを断ち切るように断固として命令した。以前のアマンなら権力者の言葉には不満があってもうなずいていた。 だが今のアマンは、キラーリ公主に背を向けて壁にはめこまれた鏡の前に立つ。「ちょっと、アマン! 聞いてるの? これは立派な軍法会議の案件だからね」 キラーリ公主が背中から声をかける。アマンがゆっくり振り返る。「今、気がついたのですが……」 アマンが今まで見せたことのない不敵な笑いを見せる。「私は、この日本の女子高校生の制服が似合うのですよね」 アマンは鏡の前で服装を整えはじめる。スカートを超ミニにする。「ダメ、その鏡は私のなんだから。あなたなんか使っちゃダメ。これは命令だから。分かってる? 命令!」 ずいぶんと理不尽な命令。だがアマンは知らん顔で、今度は化粧を始める。キラーリ公主ったら、怒りのあまりブルブル震え始める。「セレネイ王国摂政として命令する。鏡から離れさい。ここで化粧をすることを禁じる。ちゃんと聞こえてるよね」 キラーリ公主の声がさっきより大きくなる。「公主!」 アマンが振り返る。「私だってセレネイの労働法に基づき、休日は認められています」「だから何? ワケ分かんないこと言わないで。『私の命令が聞こえてるか?』と言ったでしょう」 アマンはサッと右手で髪を払う。「今日、私の耳は休日なんです」 キラーリ公主の絶叫! いつもの独裁者らしい上から目線も冷静さも冷酷さも失い、今はただの学校や会社のどこにでもいるヒステリーな、そして口うるさい女性でしかなかった。「反逆罪、反逆罪。絶対許さないから。ちゃんと恭順の態度取らないと死刑、死刑、死刑!」 キラーリ公主とアマンの戦いは今、始まったばかりだ。
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~第十八話⑯~ エブリー・スタインの陰謀とは?

 町はずれに東京ドームと同じくらいの広さの空き地がある。この空き地の所有者によれば、土壌の関係で農地に転用は不可能であり、同じ理由により建築物も建設出来ない。駐車場にするには、駅から遠すぎる。結局、使いみちがないまま、空き地として放置されている。資材置き場にした場合、トラブルの原因になるため、本当に何もない空地のままである。 無責任な都市伝説が広まり、夜間に肝試しに来る人が後を絶たない。その恐ろしい都市伝説によれば、髪の長い男が月光の下、ギターを弾きながら歌っている。突然、髪がスッポリと地面に落ちる。カツラだったのだ。スキンヘッドの男は、「見たな~」と叫びながら肝試しに来た人々を追いかけるというのだ。 これらはぜーんぶフェイクである。なぜならこの空き地に東京ドームの半分程度の大きさでアダムスキー型の円盤が一日中、着地しているが、そんな恐ろしい経験をした乗組員はエブリー・スタイン以下ひとりもいない。 これこそ、セレネイ王国空軍の戦闘機「ムーン・レーカー」である。 「ブラインドリバーシステム」を使用し、外部からは戦闘機の姿は全く見えない。このシステムにより、例えムーン・ラット・キッスでもムーン・レーカーの姿を見ることは出来ない。ムーン・レーカー内部での会話を聴くことも出来ない。 スマホと同じくらいの大きさである小型の「ブラインドリバーシステム」搭載機器を使用すれば、例え戦闘機の外でも、ムーン・ラット・キッスからはエブリー・スタインの姿も会話も三時間以内はとらえることが出来ない。 エブリー・スタインは村雨春樹に小型の「ブラインドリバーシステム」搭載機器をあらかじめ手渡し、秘密の会話をする場合、必ず搭載機器を起動させるよう指示していた。 つまりムーン・ラット・キッスは、「ブラインドリバーシステム」のために、エブリー・スタインや村雨春樹の姿も会話もとらえることが出来ないのだ。彼らの陰謀を知ることも出来ない。 それがエブリー・スタインの勝利の確信だった。 司令室。タキシードに身を包んだエブリー・スタインの回りには、空軍の制服を着た副官たちが集まっている。「ムーン・ラット・キッスが愛したという地球の男性が、朝井悠馬という少年だということは分かった。だがムーン・ラット・キッス、あの老いぼれの居場所がどうしても分からない。だが悠馬か危機に直面したとき、ムーン
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-12
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~第十八話⑰~ 悪の兄弟

 春樹が父親にねだって借りている2LDkマンション。それは新しく美しいマンション。 だがそこは、村雨兄弟の悪の巣窟なのだ。 春樹はひとり用の立派なソファにふんぞり返り、宇野、松下、結城や弟の龍たち取り巻きたちが十数名、そばに控えている。春樹がスマホによく似た形の「ブラインドリバーシステム」の機器を起動させる。 こうすればムーン・ラット・キッスからは、春樹の姿や会話を聞くことが出来なくなる。 とはいえ春樹は、大金を支払ってくれたエブリー・スタインからの指示には従っていたが、詳しい事情は全く知らなかった。 玄関のドアが大きな音を立てて開かれる。「入って、早く。ボヤボヤしないでよ」 一応、龍の「カノ女」である真宮子のイライラした声が聞こえてきた。「すみません」「ごめんなさい」 泣き出しそうな声が聞こえてきた。部屋の扉が開かれた。真宮子と五人の取り巻きに囲まれ、三人のセーラー服の女子高校生が入ってきた。三人とも他校の一年生だった。おどおどした落ち着かない様子が、三人の気の弱さを物語っている。「挨拶しなよ。ホント、あんたらバカじゃないの」 三人の女子高校生は青ざめた顔で春樹に大きく頭を下げた。真宮子が三人の学生証を春樹に渡した。春樹が学生証を手に取る。「春日ケ丘高校の伊藤さん、田中さん、藤村さん」 春樹が上から目線を三人に向けた。三人を見下したような冷たい口調だった。「自分たちのやること分かってるよね。失敗したらたぶん学校にいられなくなるよ」 三人の女子高校生は両手で顔を覆って泣き出した。「イヤなんて言えるワケないから」 真宮子が三人をこづき回した。「恥ずかしい動画、SNSで拡散してやろうか? もう生きていられないよ」 春樹が肩をすくめた。「オレたちと戦おうなんて思わない方がいいと思うよ。オレの親父は政治家ともつながりがあるんだ。変なことしたら、お父さんとかお母さん、無職になるよ。名誉棄損だと裁判起こして、君たちの家族を破滅させようか?」 三人の泣き声が部屋中に響き渡る。「泣かなくてもいいよ。言うこと聞けばいいんだ。君らにもいいことあるんだし」 春樹が一万円札を九枚、三人の女子高校生の前に放り投げた。「ほらほら、オレってウソ言わないだろう。拾いなよ。君らの貧乏なお父さんやお母さんもすっごく喜ぶと思うよ」 春樹はそう言うと、お
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-13
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~第十九話 恋のライバル同士①~ 飛鳥が勇気を見せるとき

 飛鳥は制服のブレザーを脱いでいた。近くに同じ高校の生徒がいると分かれば、警戒されると考えたのである。桜花高校では認められていないディープ・レディッシュ・フルーのカーディガンをスクールブラウスの上から着て、スカートも桜花高校の制服ではないアイス・ブルーだった。わざわざダイソーに隣接する古着ショップに行って購入したのである。 そしてマンションのそばの駐車場から、じっと村雨たちのマンションを見張っていた。 まず村雨と取り巻きたちがマンションに入るのを見た。 そして神宮司真宮子と取り巻きの女子生徒が、他の高校の女子生徒をマンションに連れ込むのもハッキリ診ていた。 しばらく後。三人の女子高校生は泣きながらマンションを飛び出してきた。そのまま、駅の方向へ向かった。 飛鳥は三人の姿をしっかり記憶した。(悔しいな) 飛鳥は心の中でつぶやいた。(絶対、あの人たち、朝井くんにひどいことしようとしてるの分かっている。何とか村雨くんたちの計画を突き止めたいのに、まだ手がかりだってつかめない) まさか、そんな簡単に、村雨たちの秘密が分かるはずもない。けれども今の飛鳥にそれを教えてもしかたがない。 今の飛鳥は恋しているんだから……。 クラスメイトの村雨と真宮子が悠馬と飛鳥を敵視していることくらい、飛鳥にはよく分かっていた。「陰キャラ」「ぼっち」、そしてクラスメイトから理由もなく嫌がらせを受けた中学時代。悲しい経験から飛鳥が得たのは、鋭い観察力と分析能力だった。 飛鳥は自分の持つ力の全てを使い、自分ではなく悠馬を助けようとしていた。(悠くんを助けてみせる。私の力で絶対……) 飛鳥の純情、そして飛鳥の堅い決意。 だが飛鳥! 君はやっぱり、まず自分自身を守るべきだったのだ。「パシリがどうしてここにいるのさ」 聞き覚えのあるイヤな声がした。 犬の不気味なうなり声。 すぐ後ろに真宮子、そして熊そっくりの獰猛な猟犬、フォレスト・キラー・ベアを連れた雪村が立っていた。ふたりと一匹が残酷な笑いを浮かべた。 フォレスト・キラー・ベアが敵意のこもった目を向けてくる。 飛鳥は蛇に睨まれたカエルと一緒。下を向いたまま、ブルブル震えて一言も話せない。「聞いてるんだけどさ、パシリさん」 真宮子が飛鳥の顔をのぞきこむ。「しゃべれないんだ。パシリさんって、シンショー(身障)
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-14
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~第十九話②~ 絶体絶命の飛鳥

 真宮子は顔中、怒りで真っ赤になり、つりあがった目で飛鳥をにらみつけている。何か言いかけたが、すぐに大きく深呼吸する。内心とは真逆に、余裕ある態度を見せつけてくる。「ねっ、あやまりなよ。少しペナルティあるけど、なかったことにしてあげるから」 飛鳥は首を横に振った。「朝井くんは心が優しくて真面目で成績だってトップクラスのステキな男子だからね。村雨くんなんか、朝井くんにひとつも勝ってない」 真宮子が一歩、前に出た。「今の言葉、すぐ後悔するよ。一緒に来て」 真宮子が飛鳥の手首をつかむ。「あんた、今日は家に帰れないから。覚えといて」 フォレスト・キラー・ベアが大きく口を開けて、舌を突き出す。獲物をどう料理するか、考えている表情だった。「さあ、神宮司さんと一緒に行くんだ」 雪村も声をかけてくる。犬と一緒の凶悪な人相だ。「それともここでフォレスト・キラー・ベアと遊びたいか。さあ、どっちにするだ。決めろ」 駐車場にフォレスト・キラー・ベアの鳴き声が響き渡った。悪魔のような不気味な叫びだった。  村雨たちの部屋に連れ込まれたらどうなるのか? 飛鳥には見当もつかない。  だが駐車場には、フォレスト・キラー・ベアが獲物を求めて舌なめずりしている。  飛鳥は絶体絶命! どうなる、飛鳥!
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-15
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~第十九話③~ 現れた飛鳥のライバル! その名は?

 ところが、フォレスト・キラー・ベアの鳴き声は一瞬のうちにかき消された。 けたたましいパトカーのサイレンの音が聞こえてくる。真宮子と雪村は顔を見合わせる。「心配ないよ。私たちには関係ないから」 だが真宮子の楽観を打ち消すように、パトカーのサイレンはだんだんと近づいてくる。「大丈夫だって。いざとなったら龍のお父さん、『ハピー』の村雨社長が私たちを助けてくれるから。政治家ともつながりあるんだから」 真宮子は必死で自分に言い聞かせていた。 だが、パトカーのサイレンはすぐそばまで近づいてくる。 しかも一台ではない。サイレンを聞く限り、何台かのパトカーが、駐車場へ近づいてくる。「そ、そんなどうして? なんで私たちのこと分かったの?」「どうする? いくら春樹さんのお父さんに助けて貰うと言っても、こんな大騒ぎ起こしたこと知ったら、春樹さんが逆切れするのは間違いないし……」 雪村の顔が恐怖で引きつっている。 雪村の恐怖を倍増させるアナウンスが聞こえてきた。「警察の特殊車両が、マンションの駐車場に向かいます。車は直ちに停車してください」 特殊車両! 雪村は犬を連れて逃げ出し、真宮子は飛鳥を置いてマンションに逃げ帰った。 その頃、マンションの屋上には……。 飛鳥もよく知っていて、大嫌いなひとりの女性がたたずんでいた。 その女性、ムーン・ラット・キッス女王の耳は、自分のキャッチした音声を全て保存し、いつでも再生して聴くことが出来る。 さらに自分がキャッチした音声を自由に編集して再生することが出来る。 スピーカー機能を使って再生することも可能である。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-16
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~第十九話④~ 宿命の対決……なの?

 真宮子も雪村も、熊のように恐ろしいフォレスト・キラー・ベアの姿も消えてしまったマンション前の駐車場。 飛鳥は何が起きたのか分からず、ただただあぜんとするばかり。 さっきまで聞こえていたパトカーのサイレンも聞こえない。 飛鳥は真宮子がマンションへ戻るのをハッキリ見届けていた。パトカーのサイレンが聞こえなくなったら、また飛鳥を連れて行こうとするかもしれない。 今のうちに、マンションから離れた方がよさそうだ。飛鳥は足早に駐車場から離れた。 うさ子ことムーン・ラット・キッス女王は、マンションの屋上から飛鳥を見送った。「今回は、あのめざわりな小娘が役に立ったな。挑発すれば、私に対抗するため行動に移ると考えていたら予想通りだ」 うさ子は満足そうにうなずいた。「村雨たちは悠ちゃんの敵。やつらの様子を探ろうとしたのに、あいつらの会話を全くキャッチ出来ない。だがこのマンションにいることは確かだと分かった。なぜ村雨たちの会話をキャッチ出来ないのだ。まさかあいつらはバリアを……」 うさこは血のように真っ赤な瞳で、今、まさに黒いカーテンをかけようとしている夕暮れの広い空を見上げた。悠馬には絶対に見せない残忍で冷酷な表情だった。「地球人がパリアを使えるはずもない。と、するとあいつらの背後にいるのは誰だ? キラーリか、それともエブリー・スタインか? 狙いは悠ちゃんを利用して私を倒すことか……」 うさ子は大きく舌打ちする。「小物の考えそうなことだ。悠ちゃんを巻き込んではならない。何としてもあの子を守らなければ。あいつらに指一本触れさせてはならぬ」 空が黒のカーテンで覆われた。うさ子ことムーン・ラット・キッスは指にはめた悠馬からの婚約指輪を見つめる。本来は彩良先生ことサライがはめていたものだ。「サライ。お前は悠ちゃんを奪った私のことを恨んでいるか? だがお前の力では、悠ちゃんも地球も守ることは出来ないのだ。それが出来るのは私ひとりだけなのだ」 うさ子は婚約指輪にそっと唇をつける。「新しく婚約者になった私が、悠ちゃんを幸せにする。お前は安心して天上にに行くがよい」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-17
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