温泉旅行二日目の朝。「あー、よく寝た♡」リリムが布団の中で伸びをする。「やっぱり温泉の後の睡眠は最高ね」「ああ……」総一が寝ぼけ眼で答える。「でも、お前寝相悪すぎ……」見ると、布団が完全にめちゃくちゃになっている。リリムの足が総一の顔の近くにあり、髪の毛もぼさぼさだった。「失礼ね! わたしの寝相は上品よ」「どこが上品だよ……」「えー?」リリムが起き上がって鏡を見る。「うわ! 髪がすごいことに!」「だから言っただろ」「もう、なんで起こしてくれなかったのよ」「起こそうとしたけど、肘打ちされたんだよ」「そんなことしてないわよ」「無意識でやってるから自覚がないんだって」二人がじゃれ合っていると、隣の部屋から声が聞こえてきた。「おはようございます」ベルの声だ。「あ、おはよう」「おはようございます」障子越しに挨拶を交わす。「昨夜はよく眠れましたか?」「はい、とても」ベルが嬉しそうに答える。「夢を見ました」「夢?」「はい。みんなで笑っている夢でした」リリムと総一が顔を見合わせる。「それって、いい夢ね」「はい。とても暖かい気持ちになりました」「よかった」朝食を食べた後、一行は旅館の周辺を散策することになった。「わあ、川が流れてる!」リリムが小川に駆け寄る。「お魚もいるわよ!」「本当ですね」ベルも興味深そうに水面を覗き込む。「生き物を見ていると、心が穏やかになります」「それが『癒やし』って感情よ」エリスが説明する。「自然や生き物と触れ合うことで得られる安らぎ」「癒やし……」ベルが小魚を見つめる。「こんな小さな存在でも、私の心を動かすのですね」「そうなんです」セラフィーネが微笑む。「愛は大きなものだけでなく、小さなものにも向けられるんです」川沿いを歩いていると、橋の向こうに立派な建物が見えてきた。「あれは何ですか?」カイが指差す。「ああ、あれは野天風呂です」旅館の女将さんが説明してくれる。「当館自慢の混浴露天風呂でございます」「混浴?」総一の顔が青ざめる。「男女一緒に入るお風呂よ」リリムが嬉しそうに言う。「素敵じゃない♡」「素敵って……」「昔からの伝統でして」女将さんが続ける。「もちろん、水着着用でございますが」「水着なら大丈夫ね!」リリムが手を叩く。
Last Updated : 2025-09-11 Read more