デスペアとの契約を解除してから一週間。黒崎麗奈は神崎研究所で新しい生活を始めていた。「おはよう、麗奈」朝の食卓で、リリムが明るく声をかける。「おはようございます」麗奈が小さく微笑んで答える。一週間前とは見違えるほど表情が明るくなっていた。「今日も学校、一緒に行きましょう」「はい」最初の数日は学校を休んでいたが、昨日から復帰している。「でも、本当に大丈夫?」総一が心配そうに聞く。「まだ無理しなくてもいいんだぞ」「大丈夫です」麗奈が頷く。「皆さんがいてくださるので、心強いです」「そうよ」リリムが得意げに胸を張る。「何かあったら、わたしが守ってあげるから」「リリムさん……」麗奈の目が潤む。本当の家族に恵まれなかった彼女にとって、研究所のメンバーは初めての温かい居場所だった。「そうそう」ヴェルダが弁当箱を二つ差し出す。「今日は麗奈さんの分も作りました」「え? いいんですか?」「当然です」ヴェルダが微笑む。「家族なんですから」「家族……」麗奈がその言葉を噛み締める。まだ慣れない響きだったが、とても温かかった。「ありがとうございます」学校への道のり。「麗奈ちゃん、調子はどう?」リリムが気遣う。「はい。おかげさまで、だいぶ良くなりました」「良かった」「でも……」麗奈が少し困ったような顔をする。「クラスの皆さんと、どう接すればいいか分からなくて」「あー、それか」
Last Updated : 2025-09-22 Read more