要はベッドの前に立ち、自分の妻が血まみれで横たわっているのを見つめていた。服から覗く首や腕、ふくらはぎ全てに、たくさんの蛇に噛まれた痕が残っている。要は、天音の全身検査が終わるのを、痛ましげな表情で静かに見守っていた。院長が近づいてきた。「隊長、奥様の体に特に大きな問題はありません。心臓も正常ですし、毒のない蛇だったので、傷口の処置だけで大丈夫でした。ですが、脳震盪の可能性がありますので、今夜は入院して様子を見ましょう」「ありがとうございました。では、妻の入院手続きをお願いします」要は静かに頭を下げた。そして、要は看護師が天音の病院服を着替えさせ終わるのを見届けると、部屋を後にした。「佐藤先生を呼んでくれ」暁が「はい」と返事をして立ち去ろうとしたとき、再び要が口を開いた。「大輝を刑務所にぶち込むことも忘れるなよ」その時、蓮司が駆けつけてきた。「天音はどうなんだ?目は覚ましたのか?頼むから会わせてくれ」要が蓮司を静かに一瞥すると、すかさず特殊部隊の隊員が蓮司を押さえつける。「天音を愛しているなら、彼女を俺に返してくれ。ここに彼女の安全はないんだ。白樫市に連れて帰らせてくれ。天音は、俺のそばにいるのが一番安全なんだよ。だって、俺のそばにいた時は、一度も傷ついたことなんてなかったんだから!」蓮司は、何の返事もしない要に向かって叫び続ける。「お前は天音を愛してなんかいない、ただ独占したいだけだ!この自己中野郎が!」要の目に暗い影が落ち、だらりと下げられていた手が、固く握りしめられる。要が拳を握りしめたのは、これが初めてだった。その時、救急処置室の中から天音の声が聞こえてきた。要は急いで部屋の中へと入いる。蓮司も特殊部隊の隊員を突き飛ばして救急処置室に駆け込もうとしたが、またもや取り押さえられた。蓮司はなんとか天音を探す。そして目にした光景は、要が天音を強く抱きしめている姿だった。天音は要の胸に顔をうずめ、優しく囁いていた。「強く抱きしめすぎだよ。息ができない。もう痛くないから大丈夫だよ」蓮司は、こんな天音の姿を一度も見たことがなかった。なぜならば、付き合っていた頃は、いつも自分が天音をなだめる側だったから。蓮司は救急処置室から引きずり出されると、ボディーガード
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