要の瞳がわずかに揺れ、天音の言葉の続きを待った。「でも、今夜は……だめ……ちょっと、具合が悪いの」天音は要の首筋に顔をうずめた。要の瞳が暗く光る。電気を消すと、天音を抱きしめた。そしてドレスの裾をめくり、ひんやりと柔らかい肌に手を置くと、下腹部を少しずつ温めながら囁いた。「さすってあげようか?」「うん」天音は甘えるように答えた。「明日には、もうおうちに帰りたいな」帰れば要は仕事に追われて、一日中べったりとはいられなくなる。今回の出張に、要は美優と数人の特殊部隊の隊員しか連れてきていない。ハネムーンを兼ねていたからだ。でも、こうして二人きりで甘い時間を過ごしてばかりはいられない。要はうつむいて、天音の髪にキスを落とした。「うん」天音の体に何か異変が起きているのではないかと、心配だった。今回は周期がずれているだけでなく、様子もいつもと違う。それに、ひどく体もだるそうだ。自分が天音を求めすぎたせいだろうか?要は眉をひそめ、天音を腕に抱き寄せた。そして、彼女が深い眠りに落ちるのを待った。天音を抱きかかえて車に乗せると、B国にある3D心臓実験室へと向かった。天音は明日帰りたがっている。だから、今夜のうちに検査を受けさせなければならない。……ある別荘。机の前に座ったアレックスは、興奮を隠しきれない様子で、返信のないチャット画面を睨みつけていた。「叢雲が、まさかこんなに美しい女だったとは。父さん、彼女が欲しい!」ルークは一瞬言葉を詰まらせた。「だが叢雲は、遠藤隊長の妻だぞ」「遠藤を殺せばいい!未亡人にしてしまえばいいのさ」ルークは慌てた。「アレックス、それは危険すぎる」その時、ウォトソンが外から入ってきた。「大使、アレックス様、遠藤隊長が突然古城を発ちました」「好都合じゃないか。今夜は絶好の機会だ」アレックスの目には、残酷な光が宿っていた。「プライベートな移動だから、護衛の数は10人にも満たない。最高のタイミングだ。プーセンの縄張りで事が起きれば、一番の容疑者はプーセンだ。俺たちに疑いの目が向くことはない」「アレックス、もし我々が遠藤隊長を暗殺したと露見したら、どうなるか……」「叢雲には、それだけの価値がある!」アレックスは、解析されたコードを見つめながら、こう言った。
Magbasa pa