春樹の身体が、智久の上にそっと覆いかぶさる。ベッドのシーツは、ふたりの熱でしっとりと湿り、静寂のなかにわずかな衣擦れと、浅い吐息の音だけが残る。ふたりの視線が重なる。春樹の眼差しは、ただひたすらに真剣だった。そこにはもう、ためらいや遠慮の影はない。ただ、目の前のこの人を守りたい、触れたい、奪いたいという、切実な祈りのようなものだけが宿っている。春樹が智久の頬に手を添え、指先で髪をやさしく撫でる。その手つきが、どこまでも丁寧で、愛おしさがあふれていた。智久は、春樹の掌に自分の顔を預けるようにしながら、ゆっくりと瞼を閉じた。「…春樹」名前を呼ぶ声は、息の奥でかすかに震えていた。春樹は黙って、そっと唇を重ねる。触れあうだけの、軽いキスだった。それでも、熱は瞬く間に全身に広がる。ふたりの身体がぴたりと密着し、肌と肌のあいだに余白はなくなった。智久の心臓が、ひときわ大きく脈打つ。春樹の手が、背中をゆっくりと滑り降り、やがて腰を抱きしめる。やがて、春樹が身体を沈めていく。智久は一瞬だけ、息を詰めた。痛みが、唐突に腹の奥に走る。その痛みは、鋭く、瞬間的なものだった。智久は奥歯を噛みしめ、指先がシーツを強く握りしめた。逃げるように肩が小さく震える。それでも、春樹の手が髪を撫で、額にそっとキスを落とす。そのたびに、痛みはやわらいでいく。春樹が低く、囁くように息を吐く。「…大丈夫、ゆっくりいくよ」春樹の声は、少しだけ濁っていた。抑えきれない熱と、やわらかな気遣いがまざりあったその声が、智久の耳に残る。身体が、ゆるやかに溶けあうように動き始める。最初は緩慢で、おそるおそる探るような動き。痛みと快楽が、波のように交互に押し寄せる。その狭間で、智久は自分の感覚のすべてが春樹に明け渡されていくのを感じていた。春樹の身体は、じっとりと汗ばんでいる。ふたりの肌のあいだに汗が滲み、光を受けてきらめいた。智久の髪が額にはりつき、首筋を汗がつたう。春樹の手が肩から背中へ、背中から腰へと、何度も確かめるように撫でていく。そのたびに、ふたりの熱が、さらに深く絡み合っていく。智久は、声に
Terakhir Diperbarui : 2025-08-24 Baca selengkapnya