問いかけた直後、竜也が眉をひそめたのを見て、梨花は慌てて言葉を継いだ。「いやいや、誰に作り方を教わったのって聞こうとしたの」危ないところだった。この人はさっき、自分で作ったって言い張っていたのだ。この人が「太陽は西から昇る」と言えば、そうかと頷いておく方が無難だ。 また皮肉を言われるのは御免だから。竜也は横目で彼女を見た。「なんだ、弟子入りでもしたいのか?」「違うわよ、ただの好奇心」 梨花は言葉を詰まらせた。 料理の才能がないことは自覚している。自分を追い込むような真似はしたくない。竜也はだし巻き卵を彼女の前に押しやった。「ほら、早く食え。食ったら向かいに行って薬を飲むんだ」「え?」 梨花はきょとんとしたが、すぐに合点がいった。薬を飲むのをサボりがちな彼女の性格を見越して、先生が奥さんに頼んで朝早くから作らせておいたに違いない。彼女は思わず尋ねた。「朝一番で先生たちのところに行ってきたの?」「ああ」 まあ、そんなところだ。 彼が味噌を取りに行った時、二人はすでに起きていた。綾乃はヨガをしながら漢方薬を作り、優真先生は朝食を買って戻ってきたところだった。二人とも竜也の顔を見るなり冷たい表情になったが、梨花のために朝食を作ると聞くと、ほんの少しだけ顔色が和らいだのだ。昨夜は遅くて聞けなかったが、梨花はふと思い出した。「そういえば、特効薬の件はどうなったの?」今朝目覚めてすぐ、綾香から心配のメッセージが届いていた。何気なくネットを見てみると、相変わらず激しいバッシングが続いていた。 誰かが煽動しているのか、「梨花と竜也は不適切な関係にある」「同じ穴のムジナだ」「最初から金儲けが目的だったんだ」といった中傷が溢れかえっている。中には梨花の住所を特定しようと画策する者までいた。昔篤子の元で散々辛酸を舐め、虐げられてきたおかげで、唯一良かったことといえば、他人の言葉に容易に心を乱されなくなったことだろう。 ネットでどれほど酷いことを言われようと、自分が開発した薬に問題がないという自信がある以上、食事が喉を通らなくなるようなことはない。 あの地獄のような日々に比べれば、今の状況など大したことはないのだ。竜也は焦る様子もなく、淡々と尋ねた。「この前の記
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