通話を切ると、竜也は片手で腕の中の梨花の腰を抱き寄せ、もう片方の手でメッセージを送った。【安心しろ、先生たちは無事だ】その言葉は、もちろん梨花に向けられたものだ。竜也の余裕綽々な様子を見て、梨花も次第に落ち着きを取り戻した。「うん」返事をしたあと、梨花は彼の胸に寄りかかった。まぶたが重くなり、いつの間にか眠ってしまった。彼女の寝息が規則正しくなったのに気づき、竜也は黒い瞳に微かな呆れを滲ませた。彼は彼女の頭を撫で、孝宏にスピードを落とすよう指示すると、そのまま眠らせておいた。子供の頃から寝相が悪かったが、それは今も変わらないようだ。時折彼の腕の中でモゾモゾと動くものの、まぶたは一度も開くことなく、ぐっすりと眠っているようだ。竜也は視線を落とし、彼女の露出した腰の肌を手のひらで無意識に撫でた。以前に比べて、少しふっくらとした気がする。彼の視線は、かすかに膨らみ始めた彼女の腹部に注がれる。その瞳の奥には、どこか暗く複雑な色が宿っていた。梨花が目を覚ましたのは、着信音のせいだった。今度は、一真からだ。竜也は画面を見て切ろうとしたが、それより先に梨花が目を覚ましてしまった。彼女はスマホを手に取ると、無意識に顔を上げて竜也を見た。それでも、彼女は通話ボタンを押した。今回の事故は、一真がいてくれたおかげで助かったのだ。一真の心配そうな声が電話の向こうから聞こえてきた。「梨花、ネットのニュースを見たよ。明日潮見市に戻るつもりなんだけど、一緒に帰らないか?」今回の件が明るみに出た以上、彼女の性格からして、これ以上紅葉坂には居られないだろうと察していたのだ。十中八九、潮見市に戻って黒川家と共に事態の収拾にあたるはず。梨花は正直に答えた。「大丈夫。もう潮見市に向かってるから」「もう?」一真は驚きの声を上げた。彼が今回紅葉坂に来たのも、重要プロジェクトの詳細を詰めるためだった。今日が最後の会議で、朝から今まで缶詰め状態だったのだ。会議室を出るなり、秘書からネットでの騒ぎを聞かされた。まさか、一足遅かったとは。一真は心配そうに尋ねた。「一人なのか?」先の交通事故のことが、今もトラウマになっているのだ。彼女があんな惨めな姿で横たわっている光景は、二度
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